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ディスプレイテック21がカーボンナノチューブを用いた
LCD向け平面光源バックライトの試作に成功

〜技術の普及と量産に向けてパートナーを募集〜

[2007/03/02]

 三重県のベンチャー企業,ディスプレイテック21(本社:三重県多気郡・笠野和彦社長)がLCDの高画質化と低コスト化の両立に向けた新方式のバックライト「真空蛍光バックライト(FE-BL)」の試作品の開発に成功した。カーボンナノチューブ(CNT)カソードと蛍光体を組み合わせて構成している。
 FE-BLの技術は,高価なLED方式のバックライトでないと実現できない高画質と,現状ではまだ割高であるが,将来の量産時点で現行の冷陰極管(CCFL)方式のバックライトと比較しても遜色ないコストの低減を両立させる。しかも今後ますます厳しくなることが予想される環境対策という面でも優れた特徴がある。このFE-BLのアドバンテージや従来技術との比較,同社の将来のR&Dロードマップについて笠野氏に話を聞いた。

カーボンナノチューブがもたらすバックライトの新方式
 今回試作に成功したFE-BLの最大の特徴は,光源が平面であり,平面上が均一に発光する。管状の光源を並べる現行のCCFLバックライトや点光源であるLEDバックライトと比較して,光源の発光自体が均一なため,高価な光学フィルムを使わなくてもバックライトを構成できる。また,同様の面光源であるFFL(Flat Fluorescent Lamp)とは異なり,FE-BLでは発光原理にCRTテレビで確立された長寿命の真空管技術を用いる点も特徴である。「液晶パネルはフラット,だからバックライトもフラットであるべきだ」と笠野氏はいう(図1)。

図1
図1 ディスプレイテック21社提供

 同社が,面光源にCNTを用いた理由は,電子銃とカソードを面状に形成する事が容易であり,かつ直接成長法,印刷法,液相形成法など多様な製造プロセスの中から状況に応じて選択できる点である。
 これ以外の方式でも面カソードに得られるが,いずれもアドレスを必要とするディスプレイに向いている。バックライトはアドレシングが不要であるので,CNTのベタ付けが最も良い手法と判断した。
 ただし,高価なCNTを不必要に全面に形成する必要は無く,適度な電子密度になるように隙間を空ける事で価格を抑えることができる。
 この手法が同社の提唱する「ランダムホール形成プロセス」である。こうすることでCNTの使用量を全面ベタの3分の1程度に抑え,必要な電子放出量を確保して均一な発光面を得ることができる。

エリア駆動が可能な真空蛍光バックライト
 FE-BLのもうひとつの特徴にLCDのコントラスト比を劇的に向上させるための技術である「エリア駆動」に対応できる点が挙がる。従来の液晶パネルは,バックライトの光量が一定であり,画像のコントラストは前面のパネル中の液晶分子によるシャッター動作のみで作られていた。特に光漏れなどによる黒の十分な表現が不可能だった。全体的に暗い映像の場合で,画像の一部だけ不自然に明るい映像があるといった一画面内での映像のダイナミック・レンジが広い画像を不得手としていた。これはPDPなど自発光方式のFPDと比較した場合のLCDの欠点である。これを解消する技術として脚光を浴びているのがエリア駆動である。これは強調したいエリアの輝度をコントロールし,ブーストすることで画像のダイナミック・レンジを広げる技術であり,LEDバックライトの開発目標の1つとなっている。エリア駆動にはCCFLを光源としたバックライトでは対応できない。FE-BLは最初からエリア駆動であり,エリアブーストも可能である点でFE-BLの優位性は大きい。

真空蛍光バックライトの開発が液晶パネル業界に与えるインパクト
 従来,バックライトに用いられてきた技術にCCFLバックライトがある。しかしCCFLバックライトは有害な水銀を使用するという点で,今後のRoHS(Restriction of Hazardous Substances:危険物質の制限)指令への対応の問題がある。CCFLバックライトはRoHS指令の適用免除となっているが,代替技術が完成した時点でそれ以降のバックライトへの水銀の使用は不可能になる。
 LEDバックライトにも解決すべき課題は多い。LEDバックライトは,R,G,Bの3個をバンドルして多数配置しなければならない(40型パネルで約400個必要)。またR,G,BそれぞれのLEDの劣化が一様に起こらないことによる「カラービニング」という時間とともに発生する色ずれの問題もある。
 またLEDバックライトは,高輝度であるが点光源であり,これをパネルに拡大するために分厚い拡散板を必要とする。これは線光源であるCCFLバックライトに関しても同様の問題が発生する。この拡散後の透過率は40%程度である。つまり電力の6割を拡散という行為で捨てていることになる。面光源ならば分厚い拡散板は不要で,CNTエミッターのムラを解消する薄い拡散板,あるいはプリズムシートで十分である。FE-BLの場合,拡散による損失は15%と計算されている。拡散板が不要となる特徴は,バックライトを構成する部材のコスト,組み立てコストといった面でも有利になる。
 FE-BLは上記のCCFLバックライトやLEDバックライトの欠点を解消する技術である。FE-BLは一気に従来のバックライトに取って代わる可能性を秘めている。
 同社がFE-BLの最小単位と考えている8インチ・サイズの量産が開始されるとカーナビゲーションや携帯型DVDプレイヤー,携帯ゲーム機などへの搭載が考えられる。屋外などでも高精細な画面でゲームや映画を楽しむことができるだろう。
 またFE-BLを搭載した8インチ・パネルをタイルのように組み合わせて使用することによってテレビ用の大型パネルへの応用が可能になる。規格化した形状のパネルを大量生産し,サイズのバリエーションに対応できることはコスト削減の面で有利である。パネル間にできるスリットにはプリズムシートを用いてスリット部の輝度を補完する(図2)。

図2
図2
ディスプレイテック21社提供

FE-BLの普及のために必要な生産コストの低減
 このようなFE-BLであるが,普及までにはいくつかの条件をクリアーする必要がある。
 光源のコストはLEDバックライトよりは安いがCCFLバックライトよりは高い。このコストをCCFL並みにおさえる事がFE-BLの普及を加速することになる。
 またCCFLバックライトやLEDバックライトと比較して回路のコストが高いという問題もある。特に高圧電源コンバータとDC-DCコンバータのコストを下げる必要がある(図3)。

図3
図3
この問題に関しては部品メーカーと協力して対応をしている。

FE-BLの製造・販売に関するパートナーの必要性
 同社は少人数でR&D活動を続けており,ファブレス・メーカーを目指している。今回試作に成功したFE-BLに関しても,同社で量産することは考えていない。同社は今後この技術の普及に向けて,量産に適した製造プロセスを持つ企業との協業が必須であると考えている。また将来の量産を見越した販売のパートナーも募集している。

>>ディスプレイテック21の詳細はこちら / e-mail:info@displaytech21.jp

記事要点掲載先:日経BP.netFPD internationalTech-On!


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