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PPP手法を用いた都市景観事業,全国展開へ
三菱商事と仏・ジェーシードゥコーの合弁,「バス停広告」事業

[2007/05/11]

 公共空間を利用した屋外広告を世界的に展開する仏・ジェーシードゥコーと三菱商事の合弁会社であるエムシードゥコーが,地方自治体のバスシェルターに広告を掲示する「B-Stop®」事業を全国で本格展開する。2003年に国土交通省がバスシェルターへの広告設置を許可して以降,エムシードゥコーは同年3月の岡山市を皮切りに,横浜市,名古屋市,神戸市などで「B-Stop®」(広告パネル付バスシェルター)を設置してきた。
 自治体の財政が逼迫する中で,PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ,公民連携事業:公共と民間の連携・協働によって公共性の高い事業をよりよく進める手法)への関心が高まっている。規制緩和によって公共空間を広告スペースとして民間に委託し,そこから上がる収益でバスシェルターなど都市インフラの整備を進めるというものだ。費用負担がなく街のインフラを整備できるバスシェルター整備事業は,バス事業者や行政関係者からの関心が高い。新しい広告メディアとしても注目を集める「B-Stop®」事業を同社は日本全国の主要都市に拡充していく予定だ。

欧州型屋外広告のビジネス・モデルを日本で展開
 ジェーシードゥコーは1964年にフランスで誕生して以来,ヨーロッパを始め,45カ国3500都市で屋外広告を展開する実績をもつ。バスシェルターや公衆トイレ,無料貸出自転車,音声認知フロアガイドなどを屋外広告として公共空間に設置する事業で世界的地位を築いている。バス停広告は同社がフランスで初めて考案したビジネス・モデルで,バス事業者と契約を結び,バスシェルターを無償で設置,維持管理を行い,そのコストを広告収入でまかなっている。同社とバス事業者は標準で20年という長期契約を結び投資回収を行う。多くの公共交通機関が公営である西ヨーロッパでは,PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ,公民連携事業:公共と民間の連携・協働によって公共性の高い事業をよりよく進める手法)としてこうしたビジネス・モデルが1960年代から発展してきた。
 日本では,2003年の国交省と警察庁の通達によって規制緩和が行われ,バスシェルターへの広告掲出が認められるようになった。従来,バスを待つ人が風雨をしのぐシェルターはバス事業者が自費で設置していたが,これをうけて,エムシードゥコーは同年,両備バスと契約し,岡山市に日本初の広告パネル付きバスシェルター「B-Stop®」を設置した。

仏・ジェーシードゥコー社の社長
ジャンシャルル・ドゥコー氏
今後,全国主要都市に「B-Stop®」を設置
 エムシードゥコーの「B-Stop®」は2007年3月現在で,横浜市に121基,名古屋市に65基,神戸市に35基,福岡市5基,岡山市19基,広島市6基,静岡市1基が設置されている。2007年4月からは新潟市で3基の設置が予定されている。これを足がかりに,今後,同社は大阪市では300基,福岡市では350基,名古屋市,神戸市でも各300基,広島市で100基の設置を進めるなど,全国主要都市で本格展開する予定だ。新たな広告メディアとして,またバス事業・地域経済の活性剤として広告パネル付きバス停シェルター「B-Stop®」の今後の展開に大きな期待がよせられている。

 仏・ジェーシードゥコー社のCEO(最高経営責任者),ジャンシャルル・ドゥコー氏に同社の都市景観事業と日本における「B-Stop®」の展開について聞いた。


PPP手法を用いた「B-Stop®」のバス事業者や自治体にとってのメリットは何ですか。




 「B-Stop®」事業はバス事業者,利用者,自治体それぞれにメリットを生みます。(1)バス事業者はシェルターの整備・維持を負担なしに整備できます。(2)利用者は清潔で快適なバス停を使うことができ,夜間点灯による防犯効果を期待できます。(3)自治体は財政が困難な中で,費用負担がなく街のインフラが整備でき,都市景観の向上を期待できます。(4)バスシェルターの維持管理を,それぞれの地域の人材会社や,バス会社の関連会社に委託しているため,地域の雇用にも貢献します。
 バスシェルターの設置費用は,自治体が自らの予算で行った場合,1基あたり約500〜1,000万円かかるといわれ,大きな初期投資が必要です。メンテナンスの費用も毎年発生するので,バス事業者にとっては大きな負担となりますが,「B-Stop®」事業を採用していただければ,そのコストを削減でき,自治体の場合であれば,限られた予算を他の行政サービスの向上に投入することができるようになります。
広告は都市景観を向上させることができるでしょうか。また,地域性に対する考慮はありますか。




 バスシェルターは各都市の表情にあわせ,デザインやカラーを地域性にマッチする形で提案しています。広告パネル部は内側から照らすバックライト方式で,外観もすっきり見えるように工夫しています。また,掲載される広告はラグジュアリー系のアパレルや化粧品など,世界的に有名な大手ブランドのイメージ広告が中心ですので,美しい広告は景観を向上させます。夜間はバスシェルターを照明で照らしているので,安全性を確保につながり,市民のみなさんには外観的にも心理的にも快く受け入れられています。
 提携自治体と共同で実施した調査によると,80%以上の方がバスシェルターに広告パネルがあることで楽しく安全であると評価しています。このように「B-Stop®」は街に美観とアクセントを与えており,我々はこの効果をBeautification & Animationと呼んでいます。
米国から同業他社が,あらたに参入したり,東京都は,独自に広告パネル付きバスシェルターの設置事業を始めます。エムシードゥコーは何で差異をつけますか。




 まず,第一に我々がこのビジネス・モデルの草案者であることです。日本へもいち早く2000年に参入しました。また,都市景観とのマッチングを大切にしており,バスシェルターのデザイン性が高いことも我々の特徴です。日本市場では,基本デザインを日本の有名建築家,デザイナー,安藤忠雄氏や槙文彦氏,伊東豊雄氏などに依頼しています。
 これまで日本でこうした事業を手がけるのは,エムシードゥコーだけでしたが,米クリアチャンネルが参入するなど,新しい動きが出ています。競争環境が生まれることはお客様にとって望ましいことで,この分野自体に対する関心も高まるので,他社との競争はむしろ歓迎です。
 ただ,東京都交通局が,民間を採用せずに独自に広告パネル付きバスシェルターを設置するという判断は我々にとてって残念な結果でした。「 B-Stop®」事業では自治体は費用をかけることなくバス停を設置できるので,当社のサービスを採用してもらえれば,自治体は大切な税金を他の行政サービスの向上に使うことができ,また,バスシェルターの設置規模や整備のスピードを格段に高めることができるというメリットがあります。東京都の判断を尊重するのはいうまでもないことですが,将来的に,一緒にやらせていただく機会が生まれれば,ぜひお手伝いしたいと思っています。
 ジェーシードゥコー社は,ヨーロッパを中心に,この「B-Stop®」事業だけでなく,公共空間を活性化させるストリート・ファーニチャー事業を幅広く展開しています。単に広告ビジネスの手段として公共空間を利用するのではなく,街の景観そのものをプロデュースする景観事業として,この「B-Stop®」事業を手がけていくことが,我々の使命です。
(テクノアソシエーツ 牧野安与)

記事要点掲載先:日経BP.net


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