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中部地区発の産業クラスタの形成に向け
「フィールドサーバー」を核とした国際プロジェクトがスタート


[2007/05/29]

 農作物の安全確保や環境保全の取り組みとして三重大学とIT企業のイーラボ・エクスペリエンス(代表取締役・島村博氏)が産学連携プロジェクトとして推進している「フィールドサーバー」が世界的な注目を集めている。今年1月31日には,世界各国のセンサー専業メーカーを一堂に会した対日投資推進のためのシンポジュウムが開催され,「フィールドサーバー」を核とする中部地区発のユビキタスネットワーク産業クラスタ形成のための国際プロジェクトとして動き始めた。

 フィールドサーバーとは,日照や気候,大気,土壌などのさまざまな環境を測定するセンサーと小型コンピュータ,Webサーバー,無線LAN機能を備えた環境計測や動植物の遠隔モニタリングを可能にした屋外向けのネットワークセンサーディバイス。独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センターが開発し,三重大学と三重県津市のIT企業イーラボ・エクスペリエンスが産学連携プロジェクトとして事業化に向けた実証実験を進めているものだ。

イーラボ・エクスペリエンスが三重大学と共同開発したフィールドサーバー
イーラボ・エクスペリエンスが三重大学と共同開発したフィールドサーバー

食の安全・安心と地球環境の測定を可能にするフィールドサーバー
 フィールドサーバーを設置することで,農場では,圃場の環境や作物の生育状況が24時間ネットワーク監視でき,作物の品質向上,病害虫防止などの管理が可能になる。また,センサーで取得した土壌の水分やpH,気温などの環境データは,ネットワークを通じてデータベースに取り込むことができるようになっているので,作物の生育状況とデータを分析することにより,科学的な裏づけをもとにした「振り返り農業」を可能とすることもできる。そのため,フィールドサーバーは,これまで勘と経験に頼ってきた農業を大きく変革する可能性を秘めている。

 イーラボ・エクスペリエンスの島村氏は,「フィールドサーバーが普及すれば,農業の変革だけでなく,水や食資源,温暖化の状況を的確に捉えることを通じて,温暖化防止のための糸口につなげることができるほか,子どもへの環境教育に用いることもできます」とフィールドサーバーの普及による効果を強調している。
 すでに,開発元の中央農業総合研究センターの国内の圃場やタイなど海外の圃場で実証実験が進められているほか,農業や環境研究に取り組む大学向けに200台以上のフィールドサーバーが出荷されている。また,食品加工メーカーが契約している海外の大規模農場で採用したり,三重県の防災危機管理システム「BIRD」に“電子百葉箱”として採用されるなど,次々に採用実績が増え,注目が高まっている。

北京郊外JICA昌平基地に設置されたフィールドサーバー
北京郊外JICA昌平基地に設置されたフィールドサーバー

フィールドサーバーを中核にした
センサーネットワークの国際シンポジュウム開催

 このフィールドサーバーに国際的な注目が集まり,今年1月30日には,グレーター・ナゴヤ・イニシアティブ協議会と日本貿易振興機構の主催によるグレーター・ナゴヤ・イニシアティブ・シンポジウムin津「世界連携型ユビキタス産業クラスター」も開催された。
 基調講演には,パーソナルコンピュータやグラフィカルユーザーインターフェイスの概念・理念の提唱・開発やメディアオーサリングツール「スクイーク」の開発者として世界的に有名なアラン・ケイ博士を招へい。同氏による「ユビキタスコンピューティング時代へ向けて」と題した講演のほか,フィールドサーバーを中核にしたセンサーネットワークの可能性について,中央農業総合研究センターの二宮正士氏,平藤雅之氏,福井弘道慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所副所長による講演が行われた。
 基調講演を行ったアラン・ケイ博士は,地球規模での環境保全の取り組み,子供たちに向けた国際環境教育が大きな課題になっていることを指摘。国境を越えて,フィールド(圃場,都市空間,森林など)の状態を24時間モニタリングするフィールドサーバー普及の重要性を訴えた。
 また,プレゼンテーションには,土壌水分センサーのトップ企業であるデカゴンデバイセズ社(アメリカ)や物理量測定機器で知られるデルタオーム社(イタリア9,二酸化炭素センサーのセンスエア社(スウェーデン)などがグローバルニッチなセンサー専業メーカー4社が参加。個別商談会には,世界各地からIT関係やセンサーネット,セキュリティネット,GPSなどに関わる企業が参集し,フィールドサーバーを中核ディバイスとする新しい産業クラスタの形成のための国際プロジェクトが始動した。

フィールドサーバーを前に講演するアラン・ケイ博士
フィールドサーバーを前に講演するアラン・ケイ博士

協議会によるデータベースを形成で新たなビジネスモデルの立ち上げも
 フィールドサーバーのプロジェクトでもうひとつ注目すべきなのが,集めた環境データのデータベース化事業である。
 フィールドサーバーで収集した日射や土壌,大気状態などの環境データは,特定の農場のデータとして活用するだけでなく,地球規模で統合し,データマイニングすることもできる。このデータベースが新たなビジネスとして立ち上がろうとしているのである。
 「フィールドサーバによる環境データや定点撮影された生態系の変化に関する画像情報は人類共通の知的資産であり,蓄積・共有することで大きな価値を生み出します。そのため,先行して大規模なセンサーネットワークのプラットフォームを形成できれば,日本発のデファクトスタンダードとして,データベースプラットフォームビジネスが新たに展開できます」とイーラボ・エクスペリエンスの島村氏は,フィールドサーバによる大規模なセンサーネットワークの早期形成の必要性を説いている。
 すでにオープンビジネスプラットホームとして中央農業総合研究センターを幹事とするフィールドサーバー協議会が発足。松下電工や横河電機,住友電工など大手メーカーが参加し,フィールドサーバのセンサや通信方式の互換性維持,データの共用化のためのデータベースの統合利用技術(MetBrokerなどのデータ・グリッド技術)や生物情報交換規約(BIX),フィールドサーバのデータを用いたJavaアプレット等Webアプリケーションの開発など研究が進められている。
 大手小売業者では,農業の生産現場で収集されるフィールドサーバーのデータを消費者に公開することで“食の安全・安心”を高めたプライベートブランドを立ち上げる動きが出てきており,今後,フィールドサーバーのプロジェクトはさらに注目を集める可能性が高まっている。

フィールドサーバー活用概念図
フィールドサーバー活用概念図

(株)イーラボ・エクスペリエンス
ホームページ: http://www.elab-experience.com
お問い合わせ先: info@elab-experience.com

記事要点掲載先:日経BP.netTech-On!


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