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岩根研究所,“CV技術”コアに
3次元ビデオGIS「ALV」や「iiCosmo」,「RCG」などを開発


[2007/12/05]

 ITベンチャーの岩根研究所(札幌市,岩根社長)は,独自の「カメラベクトル(CV)」技術をコアに(1)3次元ビデオGIS「ALV (Active Link Vision」(2)Webパラレルワールド「iiCosmo」(3)3次元地形モデル自動作成システム「RCG(Real Computer Graphics)」――などを開発している。同社は2007年11月15〜16日に東京都立産業貿易センター(東京・港)で開催された「デジタルマップ フェア2007」(主催:日本地図センター)に開発製品を出展した。

「デジタルマップフェア2007」の岩根研究所ブース
「デジタルマップフェア2007」の岩根研究所ブース

 岩根研究所は,北海道大学応用電気研究所で「ヒトの視覚系の情報処理機構」について研究していた岩根助手(当時)が,その実用化を目指して,1979年4月に設立したITベンチャー。「ロボットの目,すなわち視覚情報による人工知能の実現を目指して起業した。1991年から“道路ビデオGISシステム”の開発に取り組み,ここ5年で実際に撮影した全周囲動画映像からカメラ位置を自動的に求めることができる“CV映像”に関する基礎技術を確立した」(岩根研究 所の岩根社長)。

カナダのPoint Grey Research社製の全方向ビデオカメラ「Ladybug2」
カナダのPoint Grey Research社製の
全方向ビデオカメラ「Ladybug2」
   岩根研究所のコア技術ともいえる「CV(カメラベクトル)演算」を用いると,実際に撮影した全周囲動画映像からカメラ位置を自動的に高精度で求めることができる。使用するカナダのPoint Grey Research社製の全方向ビデオカメラ「Ladybug2」(最高フレームレート:30FPS)は,6個(水平方向:5個,垂直方向:1個)のCCD レンズ(1024×768ピクセル)を搭載しており,これを独自技術で加工することで360度の水平方向のみでなく,完全な仰角・俯角を持つ映像を得ることができる(4πビデオ映像)。

 同社の独自技術では,まず,撮影した全周囲動画から「特徴点」を自動的に抽出し,全周囲画像内で追跡する。次に独自開発したアルゴリズムを用いて画像処理し,3次元情報を取得できる「CV映像」に変換する。その結果,各フレームに対応するカメラの位置(X,Y,Z)と姿勢(θx,θy,θz)が得られる。この3次元データ(CV値)を取得する演算を「CV演算」と呼ぶ。
岩根研究所の岩根社長(中)と研究開発員の荒屋敷PM(左),山田PM(右)
岩根研究所の岩根社長(中)と
研究開発員の荒屋敷PM(左),山田PM(右)

 「4πビデオ映像の各ピクセル座標はカメラ中心からの方向を示しており,従って演算に必要な特徴点の座標はカメラ中心からの方向となり,三角測量に用いる線形代数の範囲で演算処理できる。しかも全方向に対して取得できるので精度が向上する」(岩根研究所の岩根社長)。

 「CV演算」の結果,実際に撮影した全フレームのカメラ位置と姿勢が“既知”となり,カメラが移動した近傍の対象物を広範囲の視角から捉え,対象物の3次元座標や3次元形状を座標と共に自動的に読み取ることができるので,映像そのものをCGのように加工できるとしている。

「ALV」の実写画像と特徴点,カメラベクトル。【出典】岩根研究所
「ALV」の実写画像と特徴点,カメラベクトル。【出典】岩根研究所
 また,同社では(1)歪み(2)明るさ(3)穴埋め――などの補正技術を独自開発しており,6個のCCDカメラから取得した映像を“歪み”のない全周囲映像 に合成する。CCDカメラの撮影映像には,どうしても道路上で撮影されない部分「死角」が存在するが,前後のフレームから最適画像を3次元的に抽出して自動合成することで,死角のない映像を作り出せるとしている。

 もうひとつ,全周囲映像は基本的に2次元映像だが,任意点の3次元座標を計測できるので,その任意点にCGを配置し,「CV値」から得たカメラ視点に合わせて表示できる。そのCG画像は動画再生時にCV値を共有しており,周囲の映像と同期するので,向きや大きさを変えても,実際の全周囲映像と整合性をとり ながら映像の一部のように描画できる。

 岩根研究所が「デジタルマップフェア2007」に出展した3次元ビデオGIS「ALV(Active Link Vision」は,「CV映像」のさまざまな基本技術をすべて網羅するもので,汎用ライブラリーを持つ。「ALV」を用いれば,各種データを関連付けなが ら,(1)地図や航空写真,全周囲映像の同時表示(2)CG合成(3)3次元計測(4)CGアニメーションの合成(5)超広角映像(6)実写対象物のアイ コン化と属性登録(CVタグ)(7)地図と他のGISエンジンとのリンク――などが実現できるとしている。

  「ALV」を用いた実写画像(銀座)とCG(東京タワー)の合成
「ALV」を用いた実写画像(銀座)
とCG(東京タワー)の合成
 「ALV」では撮影映像とCGの合成機能を用いて,目的の対象物に3次元アイコンを貼り付けることができるので,対象物そのものがアイコンとして機能する。映像の中でCGをクリックすれば,あらかじめ“紐付け”していたWebページを表示するなど,任意の属性データをCGアイコンに付加できる。その「CVタグ」は3元位置情報を持っているので,映像内の「どこにでも」設置でき,各種情報を動画にリンクすれば,利用者が独自にカスタマイズする3次元GISデータベース を構築できることになる。

 同社では「ALV」の対象用途として,「次世代のカーナビゲーション・システムやドライビング・シミュレーター,建築計画や設計調査などの設計業務,交通 標識の改良調査,歩道敷設やガードレールなどの設置シミュレーション,景観シミュレーションなどを想定している」(岩根研究所の岩根社長)。

 2つ目のWebパラレルワールド「iiCosmo」は,岩根研究所が全く新しい概念のコミュニケーションツールとして開発したもので,CV映像の基本技術 をWeb上で展開することで,現在,地図データベース(GIS)上で実現しつつあるユーザー参加型の自己増殖型データベース(Web2.0)を3次元空間 に拡張するものと位置づけられる。

 「iiCosmo」の特徴としては,(1)Web上で全周囲360度の映像を操作できる(2)映像内にいろいろな「CVタグ」(3次元CG)を配置できる (3)ユーザーが「CVタグ」に情報を登録し,Web上でその情報を共有できる(4)「CVタグ」を検索し,ジャンプできる(5)「CVタグ」から他の Webサイトに直接アクセスできる――などが挙げられる。同社では次の時代に向けて,映像を情報の出入り口(I/O)とする,まったく新しいツールと位置づけている。 一方,映像だけを楽しみたいユーザー向けには,世界各地の観光ポイントの超広角映像を順次発表していく予定で,面倒な操作なしに気軽にドライブ気分を味わえるようにしている。

映像内に「CVタグ(3次元CG)」を配置できる「iiCosmo」。【出典】岩根研究所
映像内に「CVタグ(3次元CG)」を配置できる「iiCosmo」。【出典】岩根研究所
 その同社では現在,「iiCosmo」のα版として(1)秋葉原(2)銀座(3)桜――の3つのバージョンを日本語と英語で一般公開し,2007年3月から実証実験を実施している。

 例えばα版の「秋葉原」では,同社が2006年末,実際にCCDカメラを搭載した自動車で東京・秋葉原の電気街500m四方を撮影し,「CV映像」に変換してWeb上に街を再現している。道路から撮影した映像は,どこででも停止できるし,全方位の風景を見ることもできる。CV映像内の店舗や建物に「マーク(CVタグ)」を付けて,文字情報を書き込んだり,画像や音楽データなども添付できる。「iiCosmo」では,(1)店舗あるいは店舗内の商品そのもの に「CVタグ」を付けてネット販売したり(2)広告を掲載したり(3)掲示板として消費者が店舗の評価を書き込んだり(4)店舗側が商品の在庫状況を知らせたり――することができるとしている。

それぞれの「CVタグ」は,分野別に構成されて1つのレイヤーを構成しており,そこに「参加するか否か」はユーザーの自由選択となる。参加したければ,所望のレイヤーを選択するだけで済む。もし,自分専用のレイヤーが欲しい場合は,岩根研究所が個別にレイヤーを販売するとしている。

自動抽出した特徴点の高精度トラッキング。【出典】岩根研究所
自動抽出した特徴点の高精度トラッキング。
【出典】岩根研究所
 もう1つの3次元地形モデル自動作成システム「RCG(Real Computer Graphics)」では,全周囲CCDカメラをヘリコプターなどの航空機に搭載し,撮影した全周囲動画から「特徴点」を自動的に抽出する。この特徴点は 均一に抽出されるが,重要地点では手動で特徴点を追加する。すべての特徴点を200フレーム以上にわたって正確にトラッキングし,「CV演算」により全特徴点の3次元座標を得る(高精度長フレームトラッキング)。

 そして,その特徴点の3次元座標を「CV演算」で求めて,自動で「3次元ポリゴン」を作成する。表示時のポリゴンには,テクスチャーとして最適な動画フレー ムがマッピングされているので,見る角度を変えても,動画像から自動的に最適なテクスチャーを貼り替え表示できる。その結果,“より自然”で“よりリアル”なCGを表示できるという。たとえ空撮した画像がベースになっていても,視点位置を地上のある特定場所に移せば,リアリティーのある地上からの風景を 再現することができるとしている。

 RCGの特徴としては,(1)「GPS/IMU」を必要とせず(2)すべての処理を動画像からのみ行い(3)正確な3次元モデルを作成する――などが挙げられる。

「GPS/IMU測量ではないので大幅に制作コストを削減できる。おもに測量や災害対策シミュレーションなどで用途を見込んでいるが,ゲーム・ソフトや訓練用シミュレーターなどにも幅広く応用できる」(岩根研究所の岩根社長)としている。

※地理情報システム(GIS:Geographical Information System)
地理情報システムでは,数値化された地図データと台帳などの属性データを組み合わせてコンピュータ上で一元管理する。情報検索や処理,解析などが容易に行える。
※慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)
「GPS/IMU」測量では航空写真撮影や航空レーザー計測を行なう場合,GPSで航空機の位置を割り出すと同時に,IMUで航空機の姿勢や傾きを観測し,写真撮影やレーザー計測の効率化を図っている。

【お問い合せ】
株式会社 岩根研究所 
本社/〒064-0944 北海道札幌市中央区円山西町7-8-3
ホームページ: http://www.iwane.com/
TEL: 011-643-0872 FAX: 011-643-4182
E-mail: sales@iwane.com


記事要点掲載先:日経BP.netTech-On!


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