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炎症の元を上流で断つアスタキサンチン
COX2の働きを特異的に阻害も

[2008/05/29]
  「炎症」は,腫れや痛みといった“症状”を引き起こすばかりでなく,内臓障害やアレルギー,生活習慣病,加齢性の疾患などを引き起こす原因でもある。特に最近では,動脈硬化や糖尿病といった生活習慣病が,サイトカインやエイコサノイドといった炎症性メディエーターによって起こる「慢性の炎症」によるものだということがわかってきた。このため,こうした生活習慣病予防や進行の抑制,アンチエイジングのためにも,炎症をいかに抑えていくかが重要になる。
  近年のヤマハ発動機の研究で,これらの炎症が起こる過程で「アスタキサンチン」がその上流の複数のプロセス抑えることがわかってきた。


インターロイキンの放出を押さえ炎症を抑制
  アスタキサンチンは,サケやイクラ,マダイ,エビ,カニなどに含まれる赤からオレンジを呈する天然の色素成分。βカロチンやリコピンと同じカロチノイドの一種だ(図1)。強力な抗酸化作用があることが知られ,その面からの研究も進んでいる。既知の生物の中では,ヘマトコッカス藻が最も高濃度にアスタキサンチンを含み,機能性食品としてのアスタキサンチンの多くは,ヘマトコッカス藻から生成されている。

 炎症では,物理的刺激や化学的刺激,薬物といったイニシエーターの刺激により,脂肪細胞やマクロファージなどから炎症性メディエーターが放出され,組織障害が引き起こされる。炎症性メディエーターには,サイトカインやエイコサノイド,ヒスタミンなど様々なものがある。
  インターロイキン(IL)もこのサイトカインの一種だ。ILのうち,IL-6は,慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患に関与し,IL-8は,非感染性の炎症疾患に関与することがわかっている。ヤマハ発動機では,アスタキサンンチンがインターロイキンの放出に及ぼす影響を見るため,ヒト末梢単核細胞を,グラム陰性菌の細胞壁表層にあるリポ多糖類であるLPSと,たんぱく質・コンカナバリンA(ConA)で刺激した上で,アスタキサンチンを添加して培養し,そのときに培地中に放出されたインターロイキンを測定した。その結果,IL-6,IL-8ともに濃度依存的に細胞からのインターロイキンの放出が抑えられ(グラフ1),アスタキサンチンがIL放出を抑えることがわかった。



COX-2のみを特異的に阻害
  また,別の実験では,アスタキサンチンがサイトカインのみならず,プロスタグランジン(PG)やロイコトリエン(LT)などのエイコサノイドの生成も抑えることがわかった。これは,アスタキサンチンがPGの生成に必要な酵素であるシクロオキシナーゼ(COX)の活性を抑えるため。COXには,恒常的に体内にあって胃粘膜保護や利尿,血流の維持などの生理機能に関与するCOX-1(構成型)と,炎症性サイトカインなどの刺激により発現するCOX-2(誘導型)の2種類がある。アスタキサンンチンは,このうちCOX-2を特異的に阻害するため,体に本来必要な生理機能維持のためのPGの生成に影響を与ることなく,過剰なPGの生成を阻害するのが特徴だ(図2)

 ヤマハ発動機の実験では,COX-1またはCOX-2を基質と反応させてPGを生成させるときに,アスタキサンチンを添加してPGの生成量を測った。その結果,COX-1は生成阻害を受けないのに対し,COX-2はアスタキサンチンの濃度依存的に阻害を受けた(グラフ2)
  アスピリンなどの一般的な非ステロイド系抗炎症薬の場合,COX-1とCOX-2の両方の働きを阻害してしまうため,生理機能の維持に必要なPGも低下し,胃腸障害などの副作用が起こるという課題があったが,アスタキサンチンの場合はそれがない。
  さらに,アスタキサンチンは,細胞膜のリン脂質から,PGやLTの原料となるアラキドン酸を生成する酵素であるホスホリパーゼA2(PLA2)の活性を阻害する作用もある。これにより,アラキドン酸から生成されるLTの生成が抑えられ,またLTを生成する酵素であるリポキシゲナーゼを阻害することにより,過剰なLTで起こるアスピリン喘息などの副作用も起こりにくいと考えられる。

 このように,アスタキサンチンは,炎症性サイトカインの生成をその上流でバランス良く断ち,炎症を抑える成分として今後も注目されると考えられる。


図1:アスタキサンチンの構造
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グラフ1:アスタキサンンチン濃度がIL放出阻害に及ぼす影響
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図2:COX-2と炎症の関係
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グラフ2:COX-2阻害活性
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