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「求む,坂本龍馬」長崎県庁が地域振興アイデアを募集

[2008/06/19]

 長崎県は6月9日,新たな地域振興策である「長崎夢プロジェクト」の募集を開始した。長崎県の魅力向上につながる営利事業・非営利事業について,プランやアイデアを募るものだ。応募者の現住所,国籍は問わない。幕末期,現在の高知県出身である坂本龍馬が,日本初の株式会社「亀山社中(後の海援隊)」を長崎で立ち上げたのにちなみ,長崎県知事公室長の田中桂之助氏は「外からの目で,長崎の再生につながるプランやアイデアを寄せて欲しい」と期待を寄せる。


 長崎県は歴史的にも古くから栄えた地域で,遺跡調査などから,紀元前から中国大陸との交流があったことが分かっている。フランシスコ・ザビエルの平戸来航や天正遣欧使節のローマへの派遣は,長崎が海外との交流拠点だったことを如実に物語るものとして有名である。鎖国時代にも,出島や唐人屋敷といった外国人居留地が維持され,海外との貴重な窓口であり続けた。
 明治期以降は炭坑,造船など,日本における重工業発展の担い手となり,1920年に行われた日本初の国勢調査では,長崎市は全国7番目の都市にランクインした。

田中桂之助 知事公室長
田中桂之助 知事公室長
 だが,「現状は非常に厳しい」と田中氏は話す。

 「石炭生産が最盛期だった1960年,県の人口は176万人に達していた。それが現在は約148万人。特に離島では5割以上の減となっている。最後の炭坑である池島炭坑も,平成の時代になって閉山した。もう一方の柱だった造船業も,1975年には従業員数2万5000人を数えたが,現在では約8000人だ。産業構造が変化しており,特に全国と比べても二次産業の比率が低い」(田中氏)

 歴史的な名跡が多数あり,修学旅行を始めとした観光産業も大事な収入源ではある。だが県そのものを盛り上げるところまでは至っていない。離島住民を支えてきた公共事業は減り続け,県直轄事業は最盛期に比べて半減した。公共事業削減の波に飲まれ,県全体が地盤沈下している。

 今回のプロジェクトは,公共事業に頼らない,県そのものの活力を生み出すためのものと位置付けている。
  募集の間口は広く,「長崎の魅力向上(交流人口の増加)につながる営利事業・非営利事業」であり,魅力のあるプラン・アイデアであれば,何でも構わない。

 例えば新たな観光事業の創設なども想定している。
 「長崎は日本でも沖縄,鹿児島,宮崎に次いで四番目に気候の温暖なところ。離島が数多いのも特徴だ。海に目を向ければ,船で1日あれば到達できる距離に,東アジアの大都市がすっぽり入る地理的な優位性もある。日本国内にとらわれず,世界に目を向けたプランも歓迎だ」と,田中氏は話す。

 世界遺産登録に向けての運動も始まっている。長崎は一時「日本の小ローマ」とも称されたほどキリスト教文化が盛えた地であると同時に,時の権力者の迫害を受け続けた地でもある。信者は離島や山間部に逃れ,密かに信仰を守り続けた。その後明治に入りキリスト教の禁教が解かれると信者たちはそれぞれ教会を建てた。今も130ヶ所におよぶ教会が長崎県下にはある。
 「厳しい条件の土地で,信者たちは質素な集団生活を続けて教会を完成させた。今も根の深い信仰が残っている。単に歴史的な建造物として価値があるというのではなく,教会群がその歴史の痕跡を今に残しているところに価値がある。隠れキリシタンたちの信仰が受け継がれた場所に建てられている教会は,離島の山間部など,簡単には行けなかった場所にある。当時の空気感は,現地に立つと今でも感じられる。」(同)

長崎に残る教会群,世界遺産への登録を目指す
旧野首教会  
堂崎教会
 
黒島天主堂
旧野首教会
 
堂崎教会
 
黒島天主堂


 ただし募集プランは観光に限定されるものではない。例えば,九州各県には企業のコールセンターが数多く移転しているが,長崎もその一つ。人材の質の面で,長崎の評判は高いという。県外,海外を相手に稼ぐことができる新規事業が創設されれば,結果的に県の活力につながるはずだ。
 また,諫早湾の干拓事業が完了し,営農者の入植なども始まっている。今後,長崎県ではこの諫早湾などを拠点として,21世紀型の農業ビジネスが創出されていくことが期待されている。「長崎」の高いブランド価値を組み合わせれば,新たな地域産品やアグリビジネスを構想することも可能だろう。

 応募の前提条件として2年以内に事業を開始できることとしているが,10年以内に花開くことを期待する。中期的なプランということができる。
  県としては,農林,水産,商工など,すでに存在する既存の県補助制度を総動員するほか,必要であれば起業のための支援アドバイスなども行う。選考で優秀と認められたプラン・アイデアには,賞金として最優秀賞100万円,優秀賞30万円,奨励賞10万円が与えられる。最優秀賞・優秀賞のプラン・アイデアの事業化に当たっては,その財源として事業費総額の50%(最大500万円)が補助される。
  県が窓口となる国の各種補助,国民生活金融公庫や県所管の財団による金融支援が受けられるようバックアップにも力を入れるという。

 募集の締め切りは9月22日を期限とし,10月に書類選考(一次審査),11〜12月に公開プレゼンテーション(二次審査)を実施する。募集段階で公開している選考視点としては,(1)長崎の対外的な魅力向上度,県内経済への寄与度,(2)新規性・独創性,(3)実現可能性・継続性,(4)市場性(非営利事業の場合は社会性)――を挙げている。

 「司馬遼太郎さんの小説「竜馬がゆく」には,坂本龍馬が船の上で『長崎はわしの希望じゃ』と叫ぶシーンがある。改めて,そんな新進気鋭の人物をバックアップする土壌を生み出したい。平成の坂本龍馬に,内部の我々が分からない,あっても気にも留めない,そんな長崎の良さを発掘してもらいたい」。――田中氏はそう期待を込めて応募を呼びかけている。

●長崎夢プロジェクトについて http://www.pref.nagasaki.jp/dream/index.html




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