(株)テクノアソシエーツ TOPページへ テクノアソシエーツサイトへ

TOPページへニュースへ連携提案へ注目技術&事業コラムへコラムへ

歯周病のリスク判定が歯科医の間で注目

インプラント治療や予防歯科での活用広がる
[2008/10/21]


 日本人の成人8割がかかっているといわれる歯周病。「歯周病細菌による感染」が原因とされ,歯を失う原因の第一位でもある。これまでは,「歯ぐきから出血する」「実際に歯が抜ける」などの症状が出てから歯周病と診断されるケースが多かったが,ここ数年,口内の歯周病細菌の分布割合を検査して,歯周病の発症リスクを判定する「歯周病細菌検査サービス」に注目が集まっている。
 インプラント治療において歯周病細菌検査を導入している吉野歯科診療所(横浜市)の吉野敏明院長は,9月14日に行われた第38回日本口腔インプラント学会のセミナーで,「歯周病のリスクをコントロールせずにインプラント治療をした場合,歯周病菌がインプラント周囲炎を引き起こし,インプラント歯が脱落する結果を招きかねない。画像診断や血液検査に加え,歯周病細菌検査で口内の菌分布を把握することが,インプラント治療のリスクコントロールでは重要になる」と,検査の有用性を強調した。
 米国サードウェイブ社が開発した「インベーダー法」と呼ばれる遺伝子検査技術で歯周病細菌検査サービスを展開するビー・エム・エル(BML)は,「この検査の一番の目的は,ハイリスクの歯周病細菌の検知と定量で,インプラント治療は対象領域の一つ。2000年からこのサービスを展開しているが,歯科医からの引合いは年々高まっている」(BML臨床ゲノム部ゲノム開発課課長補佐の河村勝美氏)と話す。
 オーラルケアや歯周病に対する消費者の意識やニーズは,この20年で大幅に向上している(サンスターによる意識調査結果)。予防歯科や口腔ケアに,歯周病菌検査サービスという新たな“メニュー”が加わったことで,高まる消費者ニーズに応える環境が整いつつある。


唾液または歯周ポケットから歯周病菌を検査

 BMLが提供する歯周病細菌検査サービスでは,患者から採取した唾液もしくは歯周ポケットに含まれる歯周病菌を検査する。歯科医は,歯周病細菌の種類や存在比からリスクを判定し,ブラッシング指導や治療などの処置を施す。具体的な治療としては,(1)歯周病細菌が住みついているバイオフィルムを機械的に除去,(2)殺菌消毒薬や外用抗生物質軟膏の塗布,(3)抗生物質の内服,といったアプローチが行われる。重症の場合は,約半年〜1年間の治療期間を経て,歯周病菌を除去していく。
 現在,導入をしている歯科医は,(a)インプラント治療における歯周病リスク管理,(b)予防歯科:歯周病予防,として活用するケースが多いという。(a)では,インプラント治療に先立ち,細菌検査を実施し,歯周病リスクが高い場合は,歯周病治療を先行させ,菌が減ったことを確認してからインプラント治療を開始する。
 一方(b)では,将来の歯周病リスクを管理し,総合的な口腔ケアの一環として歯周病菌検査を実施している。さらに,ここ数年歯周病が,糖尿病,高脂血症や早産のリスクを高めることが分かってきており,「歯科から全身の健康維持に貢献したい」というニーズを持つ歯科医も増えてきているという。


臨床的にも医療経済的にも波及効果大きい

 実際,日本糖尿病学会と日本歯周病学会が共同で進める「JDCP Study(Japan Diabetes Complication and its Prevention prospective Study; 糖尿病における合併症の実態把握とその治療に関するデータベース構築による大規模前向き研究)」では,糖尿病の合併症の一つとして歯周病を捉え,罹患実態の把握および治療に必要なデータ収集を進めている。
 また,BMLは,自治体や企業の健康保険組合などと連携して,歯周病細菌検査,虫歯の原因であるミュータンス菌および生化学検査(唾液遊離ヘモグロビンや乳酸脱水水素酵素の検査)を健康診断の一環として実施し,口内の健康管理を支援している。検査を通じて歯周病をコントロールし,糖尿病などの全身疾患の発症や悪化を抑制できれば,臨床的にも医療経済的にも波及効果は大きいと考えられる。

 そもそも,日本人は“歯医者嫌い”の人が多い。北欧をはじめとする欧米諸国では,歯科医や歯科衛生士による専門的な歯のクリーニングを定期的に受ける習慣を持つ人が多いという。その習慣が,高齢者が自分の歯を多く残し,食べる楽しみ,全身の良好な健康状態を保つことに貢献している。「意識が高まりつつも歯科医にはなかなか行かない」という日本の現状とは,大きな隔たりがある。

 審美的な理由だけでなく,全身疾患管理やQOLという観点からも歯周病細菌検査および口内環境の正常化は大きな意義がある。臨床と医療経済という両面からそのメリットを実証するとともに,国民意識の向上が歯周病細菌検査サービスの普及のカギを握りそうだ。





オープンイノベーション・フォーラム

オープンイノベーション静岡

トピックス
【座談会】レアアース泥の採泥・揚泥は戦略技術、焦らず段階を踏んで確実に商用化を目指す

【座談会】安定・潤沢な国産レアアースの利用に、日本の産業界は飛躍の未来を感じている

IoT、大手自動車メーカーが製造ラインに導入約60万円のシステムで不良品の発生を大幅低減

人気記事ランキング(2017年10月-12月)















オープンイノベーションコラム

オープンイノベーション・フォーラム




| 産業イノベーションHOME | 技術&事業インキュベーション・フォーラムHOME |
Copyright (c) 2005-2013 TechnoAssociates, Inc. All rights reserved.

INTERVIEW Index ブレークスルー技術Index 提案Index コラムIndex イベントIndex お問い合せ