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様々なメタボ指標を改善するアスタキサンチン
ヤマハ発動機が研究開発に力


[2008/11/06]



 2008年4月より,「特定健康診査・特定保健指導」(特定健診制度)が施行・義務化され,メタボリックシンドロームの予防・改善が“国民運動”として注目されている。メタボリックシンドローム予備軍に該当した対象者は,保健指導として食生活の改善や運動不足解消が指示され,生活習慣の改善に努めなければならない。
 こうした“メタボ対策”市場に着目し,食品分野において健康素材の開発や商品展開が活気を帯びている。サケやエビに含まれる天然の色素成分「アスタキサンチン」の抗メタボリックシンドローム効果を検証するヤマハ発動機もその1社。
 これまでの研究で,アスタキサンチンは血圧やHDL値や血糖値,中性脂肪値を正常な範囲に調整することが確認されている。さらに今年6月22日〜27日に開催された「第15回国際カロテノイドシンポジウム」では,アスタキサンチンにはHbA1c(ヘモグロビンA1c)とTNF-α(腫瘍壊死因子)を低下,アディポネクチンを増加させる作用があることを発表。エビデンスの充実とともに,メタボ予防の健康素材として期待が高まっている。同社に,今後の展望を含め,メタボリックシンドロームに関する研究開発状況を聞いた。

 なお,同社は11月12日に開催される「日経ヘルスビジネスカンファレンス2008」において,「アスタキサンチンの脳機能改善効果について」と題して,アスタキサンチンに関する最新の研究成果を発表する(関連記事)。


多彩な生理活性を発揮するアスタキサンチン

 カロテノイドの一種であるアスタキサンチンは優れた抗酸化作用があり,生体内において多彩な生理作用を発揮し,疾患予防に関連することが確認されている(関連記事)(関連記事)(関連記事)。最近では,脳機能に対する健康効果について注目を集め,脳の認知行動能力を向上させる可能性や,パーキンソン病症状の改善作用の可能性などが示唆されている(関連記事)(関連記事)。

 メタボリックシンドロームに対する効果も,こうしたアスタキサンチンの幅広い生理活性の1つ。特定健診制度の施行に伴い,“メタボ対策食品”の中心素材として脚光を浴びている。メタボリックシンドロームとは,内蔵脂肪型の肥満があり,動脈硬化が起こりやすくなった状態のこと。診断基準では,お腹周りが女性90cm以上,男性85cm以上またはBMI(体格指数)25以上で,かつ検査値で高脂血症,高血圧,高血糖のうち2項目以上に該当すると,メタボリックシンドロームとなる。また,腹囲に加えて検査値がどれか1項目高ければ“メタボ予備軍”だ。


インスリン抵抗性を改善

 通常,脂肪細胞からは,インスリンの効きを良くする「アディポネクチン」というホルモンが分泌される。しかし,メタボリックシンドロームで内蔵脂肪が肥大化すると,このアディポネクチンの分泌が低下。一方で,炎症成分であるTNF-αが増加することがわかっている。その結果,インスリンの効きが悪くなり,糖尿病や高脂血症,高血圧といった症状が出る。つまり,メタボ改善のためには,内蔵脂肪の肥大化を抑え,アディポネクチンやTNF-αを調節することが重要になる。

 昨年の日本栄養・食糧学会でヤマハ発動機が発表したマウスを使った研究で,アスタキサンチンが脂肪の蓄積を抑え,さらにインスリン効きが悪くなる「インスリン抵抗性」を抑制する効果を持つことがわかった。
 この研究では,マウスを普通食を食べるグループ,高脂肪食を食べるグループ,高脂肪食とアスタキサンチンを食べるグループに分け,16週間飼育。その後の内蔵脂肪と皮下脂肪量,血糖値とインスリン分泌量を測定した。その結果,アスタキサンチンを摂取したマウスの脂肪量は,高脂肪食を食べたマウスに比べ,内蔵脂肪で30%弱,皮下脂肪で40%程度抑制された(グラフ1)。また,アスタキサンチンを摂取したマウスの血糖値は高脂肪食摂取マウスに比べ低く,普通食を食べたマウスとほぼ同程度。さらに,インスリンの分泌量も,アスタキサンチンをとったマウスでは高脂肪食群に比べて低いことがわかった(グラフ2)。

グラフ1:脂肪組織従量の変化
グラフ1:脂肪組織従量の変化

グラフ2:血糖値の上昇を抑え,インスリン抵抗性を改善
グラフ2:血糖値の上昇を抑え,インスリン抵抗性を改善



アディポネクチン増加などで抗メタボ効果

 こうした結果を踏まえ,同社ではアスタキサンチンのヒトでのメタボリックシンドロームに対する効果を検証した。まず,社内ボランティア73人に1カ月間1日4mgのアスタキサンチンを摂取してもらい,血圧や血中コレステロール値,中性脂肪,空腹時血糖などを測定。その結果,「もともと血圧が高めの人の血圧は抑え,低い人の血圧は下げないことが分かった。総コレステロール値や血糖値,中性脂肪値についても同じ傾向で,アスタキサンチンは,これらの指標を適正な範囲に調整する機能があると考えられる」と,ヤマハ発動機ライフサイエンス事業推進部研究開発グループの岡田裕実春主事は話す。
 また,メタボリックシンドローム予備軍の人16人(男性12人,女性4人)に,3カ月間1日16mgのアスタキサンチンを飲んでもらい,それぞれメタボリックシンドロームの指標であるHbA1c(糖尿病の指標)や,アディポネクチン,TNF-α量も見た。その結果,HbA1cとTNF-αは低下,アディポネクチンは増加することがわかった(グラフ3)。この結果は,「第15回国際カロテノイドシンポジウム」で発表された。

 岡田氏は,「今後は,アスタキサンチンがどのようなメカニズムでメタボリックシンドロームの改善に寄与するのかに着目している。まずは,インスリンの感受性を高めるといわれている細胞核レセプターの一つであるPPAR-γとの関わりを研究していく」と話す。今後の商品開発への応用が期待される。

グラフ3:ヒト試験におけるメタボリックシンドローム改善効果
グラフ3:ヒト試験におけるメタボリックシンドローム改善効果




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