(株)テクノアソシエーツ TOPページへ テクノアソシエーツサイトへ

TOPページへニュースへ連携提案へ注目技術&事業コラムへコラムへ

自治体SaaSの取り組みを進めるHARP,全国展開へ

[2008/12/17]


 自治体向け共同アウトソーシングのプラットフォームを提供する北海道の第3セクターとして設立されたHARP社(本社:札幌市 久保田俊昭社長)が次世代型プラットフォーム「HARP2.0」の取り組みを進めている。平成16年の設立以来,共同アウトソーシングASP方式により電子申請システムなどのフロントオフィス系業務のサービスを「HARP1.0」上で,北海道および道内市町村を中心に提供してきた。HARP社は,全国の自治体から要望の強いバックオフィス系業務のサービスを「HARP2.0」基盤を活用したSaaS(Software as a Service)方式による全国に向けたサービス提供をめざし,事業を本格スタートさせた。


 HARP社の取り組みは,e-Japan戦略,電子自治体推進戦略を受け,北海道によってまとめられたHARP(Harmonized Applications Relational Platform)構想からスタートする。
 HARP構想とは,北海道および道内市町村の電子自治体化を推進するために,共同アウトソーシング・プラットフォームを構築し,自治体の業務プロセスの合理化と大幅なコスト削減を目指したもの。ここで構想されたアウトソーシング事業の運営会社として,平成16年,HARP社が,北海道および道内の社会インフラを担う地元企業,NTT東日本が出資する第3セクターとして設立された(図1)。


 図1 HARP関係図
図1 HARP関係図



高コスト体質となる自治体の情報システム

 多くの自治体では,情報システムは縦割りとなっている。個々の業務や担当セクションごとに情報システムの調達・運用が行われているために無駄が生まれ,全体として高コスト体質になっている。また,ITに関する専門的な知識を持つ職員を十分に確保できないため,情報セキュリティなどへの対応も不十分になったり,システムを開発・運用するベンダーに依存せざるを得ないという状況が生まれている。HARP構想では,こうした問題を共同化によって解決することが求められた。
 さらに,HARP社は,北海道が株主として参画する第3セクターとして,設立当初から道内自治体のIT化推進という公的ミッションも担っていた。道と道内市町村が参加する「北海道電子自治体共同運営協議会」が組織され,協議会に参加した自治体の声や要望を受けとめながらシステム構築が進められた。

 「ASP方式という言葉も余り馴染みがなく,システムを自ら『作らない』・『持たない』という発想はまだまだ浸透していない現状の中,共同化による割り勘効果と重複する機能の部品化をどう進めるか,各自治体の意向を最大限踏まえ共通化と標準化をどのように進めるかが大きな課題だった」と同社,村上順一取締役総務部長は当時のことを振り返る。
 「しかし,システムの構築には,当時最先端であったSOAの手法を採用し,共通のサービスのコンポーネント化や複数のサービスを相互連携するプラットフォーム化が実現できたこと。協議会と十分話し合い,自治体の抱えている様々な課題や業務フローを正確に把握できたことにより,当初の課題が克服できた」(村上取締役)。

 こうしたプロセスを経て,平成18年4月からは電子申請システムのサービス提供が開始され,現在,北海道および道内117市町村で運用が行われている。平成19年2月からは,北海道に電子調達システムを提供,道内の公共工事などの入札や公開情報収集をインターネットを通じて行えるようになった。続いて,同年,4月からは札幌市に対して施設予約システムの運用を開始。札幌市では体育館など学校の施設を市民に開放しているが,その予約申し込みがインターネットを通じてできるようになり,施設管理者は,一元的にその情報を管理できるようになった。

 また,広大な北海道では,電子調達や電子申請をネットを通じて役所に出向かなくてもできることは,住民サービスの向上や企業活動の大幅な効率化につながっているという。
 「例えば,これまで函館の企業が釧路の入札に参加する場合は,従来だと1日かけて東京・大阪間より遠い距離を移動しなければならないが,電子入札システムが整備されそうした労力が軽減された」(村上取締役)というようにHARP社が提供するサービスは企業活動や住民のくらしに根付きつつある。


行政の効率化・高度化を目標にしたHARP2.0
株式会社HARP 金川泰之 常務取締役
株式会社HARP
金川泰之 常務取締役

 こうしたフロント系業務のサービス提供の実績を踏まえて,バックオフィス系業務のサービス提供に向け次世代型プラットフォームとして開発が進められているHARP2.0「行政の効率化・高度化」に貢献することが大きな目標テーマとなっている。
 システム構築のフレームワークを担当している金川泰之常務取締役は「道内180の市町村のバックオフィス系業務のプロセスを考えると,それぞれに独自性があり,共通化による効率化と独自性への配慮という相反する課題に対応する必要がある」と説明する。杓子定規に共通化を進めれば,逆に業務の混乱や停滞をまねきかねない,かといって,自治体ごとにカスタマイズに際限なく対応すると,システム構築費用や保守の負担が大きくなってしまう。システム構築・運用面における,こうしたジレンマを解決する方法として採用されたのが,HARP2.0の個別のワークフローや業務システムを動的に切り替える方式だった(図2)。


 図2 HARP2.0 動的切替方式イメージ
図2 HARP2.0 動的切替方式イメージ


全国に向けてサービス提供を

 各自治体で独自性のある業務プロセスをサービスコンポーネントとして用意し,必要に応じて切り替える。こうすることによって自治体ごとにシステムをカスタマイズする必要がなくなり,メンテナンスの煩雑さからも解放され,結果として大幅なコスト削減を実現することが可能になる。HARP2.0は,いわばSaaS(Software as a Service)型のシステム提供のバックボーンとなる。(図3)。
 HARP2.0の取り組みに共鳴し,開発協力ベンダーが増えれば,それぞれの独自性を反映させたサービスコンポーネントも次々と開発され,その分だけさらにシステム全体の対応力,柔軟性が高まることになる。

 HARP社は,HARP2.0の取り組みの輪を積極的に広げていきたいとしている。
 金川泰之常務取締役は「HARP社には,これまでの道内自治体との共同開発を通じて,行政の業務プロセスに精通できた最大の財産がある。この知見を注ぎ込んだHARP2.0の取り組みに多くのベンダーに参画いただき,自治体SaaSの取り組みを進め,電子自治体化に大いに寄与したい」と全国展開に向けた強い意欲を語った。


● 問い合わせ先
株式会社HARP  http://www.e-harp.jp/


 図3 HARPのSaaS型モデル
図3 HARPのSaaS型モデル




オープンイノベーション・フォーラム

オープンイノベーション静岡

トピックス
パナソニックの住宅関連事業を支える耐酸被覆鋼板、接着技術や樹脂コーティング法に独自ノウハウ

【座談会】レアアース泥の採泥・揚泥は戦略技術、焦らず段階を踏んで確実に商用化を目指す

IoT、大手自動車メーカーが製造ラインに導入約60万円のシステムで不良品の発生を大幅低減

人気記事ランキング(2018年8月)










オープンイノベーションコラム

オープンイノベーション・フォーラム




| 産業イノベーションHOME | 技術&事業インキュベーション・フォーラムHOME |
Copyright (c) 2005-2013 TechnoAssociates, Inc. All rights reserved.

INTERVIEW Index ブレークスルー技術Index 提案Index コラムIndex イベントIndex お問い合せ