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低コストのオゾン排水処理を実現,食品メーカーにも導入が広がる

[2009/06/22]

 帯広の排水処理プラント開発,施工のヒューエンス(帯広市,設樂守良社長)はオゾンを使って食品加工工場などから排出される排水を低コストで処理できる環境浄化システムを開発し,全国の食品メーカーなどへの導入が拡大している。
 オゾンを活用した排水処理は,オゾンの強い酸化力によって微生物処理では分解が難しい排水や脱色,脱臭ができることが大きな利点だが,オゾン処理プラントの建設に高額な費用がかかることがネックとなっていた。これに対し,ヒューエンスは,北海道大学大学院工学研究科が開発した流体工学の知見を活用して,オゾン排水処理プラントの建設コストを従来装置に比べて約1/3のまで引き下げることに成功した。



 ヒューエンスが,オゾン排水処理プラントを開発したきっかけは,地元,十勝地方の酪農家の要請に応じたものだった。搾乳施設から出る排水(パーラー廃液)には,脂肪分,洗浄剤,殺菌剤などが混ざっており,通常の下水処理のように微生物などで分解処理することが難しい。設樂社長はオゾンによる処理に着目したが,プラント建設には億単位の費用が必要であり,しかも高価な割には分解効率が悪いということが難点となっていた。
 そこで設樂社長は,北海道大学大学院工学研究科の井口學教授と共同で「旋回噴流式オゾン酸化法」(特許登録済)を開発し,オゾンの利用効率を飛躍的に高め,設備費,ランニングコストを大幅に低減させることに成功した。


「旋回噴流式オゾン酸化法」で低コスト化を実現

 「旋回噴流式オゾン酸化法」とは,円筒状のタンクにオゾンガスの吹き込み方法を工夫することで旋回現象が生じるのを利用したもの。プロペラなどの駆動源なしにオゾンを微細な気泡にすることで,オゾンと汚水との反応効率を高め,タンクの底からオゾンを単純に注入する従来のオゾン酸化法に比べて処理効率を約6割向上させることができた(図1)。
 これにより,オゾンの注入量も少量で済み,発生装置や処理タンクなども従来の約1/3にまでコンパクト化,最も小型の浄化装置は1台800万円から製品化することを実現した(図2図3)。

図1:「旋回噴流式オゾン酸化法」と従来技術の比較
図1:「旋回噴流式オゾン酸化法」と従来技術の比較

図2:搾乳施設洗浄排水処理システム
 
図3:食品加工場排水処理システム
図2:搾乳施設洗浄排水処理システム  
図3:食品加工場排水処理システム


 オゾンによる分解処理には,もともと大きな利点がある。微生物では分解できない排水も処理できることに加え,運用管理に手間がかからない点だ。微生物処理の場合は,処理プロセスで必ず発生する汚泥を処理することが必要となる。また,微生物の管理は,温度や気候によって左右されるため,どうしても経験を持った専門家を置く必要が生じる。
 しかし,同社のオゾン処理システムの場合は,そうした管理スタッフを置く必要がなく,設備プラントの運用・管理も施主から委託される場合がほとんどで,インターネットを通じて24時間センター管理されている。中堅企業にとっては,設備プラントにかかるイニシャルコストの問題もさることながら,管理に手間が要らないことが採用の大きな条件になるだろう。


設備の運営管理に手間がかからない,脱色,脱臭も可能

 排水処理をめぐる環境規制は年々強化される方向にある。特に2007年からは業種別の規制が強化されており,ロンドン条約の改正で海洋投棄に対する規制も大幅に強まった。
 こうした動きを背景に中堅の食品メーカーなどにおいても排水処理への対応が大きな経営課題になりつつあり,同社のオゾンによる処理プラントは,運営管理に手間がかからないことや,脱臭や脱色にも対応できる利点が評価され,食品メーカーを中心に導入が広がっている。一般的な食品メーカーを念頭においた場合に「有機排水処理であれば,300〜400トン(1日当たり処理量),脱色処理だけであれば2000〜3000トンまで現状の装置で処理対応が可能」(設樂社長)という。
 また,一般的な有機排水だけでなく,油汚染水やダイオキシン等難分解性物質の処理もできることから,地方公共団体や,工業関係者などからも期待が集まっている。



【問い合わせ】 ヒューエンス
ホームページ URL: http://www.huens.co.jp/





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