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「電気自動車=動く電池」が変える住宅・都市インフラ
2020年の電気自動車のある暮らしを展望する


[2009/07/31]


図1:第6回「ecoうちecoまちアカデミー」
図1:第6回「ecoうちecoまちアカデミー」

 三菱自動車工業が7月より電気自動車「i-MiEV」の販売を開始した。
 電気自動車(EV)は,2次電池(繰返し充放電ができる電池)を搭載し電力のみを動力としている点で,これまでのガソリン車やハイブリッド車とは大きく異なる。排気ガスが出ず,エンジンがないので音もほとんど感じられない。将来的には,昼間,太陽光発電で蓄電した電力を,夜間に電気自動車の動力源以外の用途で使用するなど「動く蓄電池」として住宅や都市における新しい役割が想定されている。4月28日,「ecoうちecoまちアカデミー」(事務局 東京都足立区,善養寺幸子 代表)が建築家会館で開催され,三菱自動車工業の電気自動車「i-MiEV」と都市との関わりについてプレゼンテーションがおこなわれ,建築家,都市計画の専門家との間で活発な意見交換が行われた(図1)。



電気自動車「i-MiEV」で未来を創る三菱自動車

 今回のアカデミーで最初の講演を行ったのは,三菱自動車工業 MiEV事業統括室 ビジネス企画チームリーダーの松下容一郎氏である(図2)。松下氏はまず,同社の電気自動車に関する取り組みの現状と今後について報告した。
 MiEVとは Mitsubishi Innovative Electric Vehicle(三菱自動車の革新的な電気自動車)の意であり,三菱自動車工業の軽自動車「i(アイ)」をベースとした電気自動車(EV)として世界に先駆けた量産車となる(図3)。同社が全国の主要電力会社や自治体と共同で行っている実証実験も順調に推移し,初年度は,企業法人,自治体などを中心に約1400台を販売する計画だが,発売前予約によりほぼ完売している。同社では,好調な受注をうけて,2010年度以降の生産量を大幅に引き上げるとしている。

図2:三菱自動車工業 MiEV事業統括室の松下容一郎氏
 
図3:三菱自動車工業が今年7月に発売予定の電気自動車「i-MiEV」
図2:三菱自動車工業 MiEV事業統括室の松下容一郎氏
 
図3:三菱自動車工業が今年7月に発売予定の電気自動車「i-MiEV」


 世界に先駆けてEVの量産に踏み切った三菱自動車工業だが,数年前までは,EVの将来性については懐疑的な意見も少なくなかったと松下氏はいう。当時の日本の自動車業界では,ガソリン車の後継となる次世代エコカーは,燃料電池車が有力と考えられており,EVの存在感は薄かった。しかし,実用に耐えうる高性能蓄電池の開発が進んだこと,ガソリン価格の高騰や低炭素社会実現に向けた社会的要請が追い風となってEVに対する評価や期待が急速に高まりを見せた。EVの普及には,給電ステーションの設置など社会インフラの整備も不可欠だが,電気自動車やプラグインハイブリッド車の普及が間近いとの認識が広がり,ショッピングセンターや神奈川県などを始めとした地方自治体も積極的に充電設備の整備に乗り出している。
図4:「i-MiEVなど電気自動車により事業機会が増え,産業界も強い関心を持つ」と松下氏
図4:「i-MiEVなど電気自動車により事業機会が増え,産業界も強い関心を持つ」と松下氏

 また,ここにきて住宅会社や大手ゼネコンなどが家づくり,街づくりの中で電気自動車が果たす役割について注目しはじめている。太陽光発電などで創電した電力をEVの蓄電池に貯め,夜間,移動先の電力源として利用することや,夜間の余剰電力をEVに蓄電しておき,昼間にその電力を利用する事も将来的には可能で,こうすることによって都市全体の電力使用のピーク値の平準化したり省エネを実現することが期待されている。
 「電気自動車は,環境に配慮した家づくり,街作りにとって不可欠なアイテムになるはず」と松下氏はEVの今後の普及に向けて自信を示した(図4)。




電気自動車普及から発想する,2020年のくらし

 続いて,博報堂 マーケティングセンター シニア・ストラテジック・プランニング・ディレクターの深谷信介氏が,10年後の電気自動車を取り巻く暮らしのビジョンを披露した(図5)。「動く蓄電池」としての電気自動車の役割に着目し,電気自動車の街における新たな役割,利用シーンを提案している。
 深谷氏は,松下氏の講演をうけ,EVの特徴として,(1)充電,移動型大容量バッテリー,(2)静かであること,(3)排ガスが出ないこと,無臭,(4)低燃費で省エネルギー,などを挙げ,こうした際だった特徴をもった電気自動車が普及することで,住宅,街,都市インフラにも大きな進化が生じると指摘した。
 また,EVの登場で街や人々のライフスタイルがどのように変化するのかを示すために,EVの特徴や将来技術と都市の構成要素や課題を掛け合わせることで,合計108個の構想パーツとしてつくりあげた。そして,この構想パーツをもとにどのような事業や価値が創造される可能性があるかの検討を行ったという。今回のアカデミーではそのうちの10個ほどを紹介した。


図5:博報堂 マーケティングセンターの深谷信介氏
図5:博報堂 マーケティングセンターの深谷信介氏

 例えば,排気ガスが出ないというEVの特徴と都市構成要素としての住宅を掛け合わせた結果として「クルマが家の一部に」という構想パーツが誕生した。EVは排気ガスを出さないため,家の居住スペースと駐車スペースの境界線が無くなるとした。その結果,人の意識が変わり,クルマが移動手段から居住空間に変化すると予測する。このような変化によって,住宅のようなクルマやクルマのような住宅が出現したり,屋内ガレージ設計の住宅が増えたりする,という変化の兆しを捉えている。
 実際に,クルマ社会のアメリカなどでは電気自動車はまだ普及していないものの,ガレージが住居の一部となっている場合が珍しくない。日本では,こうした例はまだ少ないが,充電が必須のEVが今後普及するとともに,充電器付きの屋内ガレージが広く普及する可能性は十分に考えられる。
 この他にも,移動店舗の増加,排出権取引都市,駐車場の緑化,などEVを取り巻く様々な生活シーンが紹介された。 電気自動車(EV)は,これまでのガソリン自動車にはない特徴を持っており,街づくりや人々のライフスタイルを大きく変える可能性を秘めている。「EVの新しい可能性を開花させるために,建築家や都市計画に携わる人々と積極的に対話していきたい」と講演をしめくくった。



【資料請求・お問い合わせ】
三菱自動車工業
ホームページ URL:http://www.mitsubishi-motors.co.jp/




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