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高硬度,ひび割れなしのアルマイトでステンレスを代替

[2009/08/04]

 金属表面処理加工の熊防メタル(熊本市,前田博明社長)は,従来の約2倍の硬度を持ちながら硬質アルマイトやひび割れが少ない硬質アルマイトをアルミニウム表面に形成する技術を開発した。アルミ表面に硬いアルマイトの皮膜を作る処理技術はこれまでにもあるが,従来の硬質アルマイトは“ひび割れ(crack)”が発生する問題があった。同社が「イーマイトCL」と名付けた処理技術はこの問題を解決した。同社はこの新技術の用途として医療機器分野や食品製造分野などへの展開を模索しており,将来的にはステンレスの代替を目指すという。


硬質アルマイトのひび割れを軽減
 熊防メタルが開発したアルマイト処理技術「イーマイト」シリーズは,用途に応じて2種をラインナップしている。「イーマイトCL」と「イーマイトSH」である。イーマイトの処理工程は従来の硬質アルマイトとほぼ同じである。

 イーマイトCL(crack-less)の最大の特徴は,従来の硬質アルマイト(酸化アルミニウム:Al2O3)の問題点であった「微細なひび割れ」を軽減している点である。従来の硬質アルマイトは,アルミの素材やアルマイトの膜厚・硬度,使用環境などの諸条件によって微細なひび割れが発生した。ひびから薬品などが侵入するとアルミが腐食する。
 イーマイトCLは,ひび割れしにくいだけでなく,硬度も十分高い。物質の硬度を示す“ビッカース硬度(Hv)”は,従来の硬質アルマイトが300〜350Hvであるのに対し,イーマイトCLは300〜400Hvである(写真1)。
 イーマイトCLは,半導体や液晶ディスプレイの製造装置メーカーなどからの引き合いが多く,従来の硬質アルマイト処理したアルミ部品との置き換えを図っているという。熊防メタル社長の前田博明氏はイーマイトCLの用途について「抗菌性を付加できるので将来的に医療機器や食品加工分野にも利用できるだろう」と語る。ビジネス・パートナが新しい用途を提案してくることもあるという。

写真1:イーマイトCL
 
熊防メタル社長前田博明氏
写真1:イーマイトCL
 
熊防メタル社長 前田博明氏


 一方,硬質アルマイトのひび割れの最大の原因は“温度差”である。アルミとアルマイトでは,熱膨張係数が異なるため,アルミの熱膨張にアルマイトがついていけず,応力がかかってひび割れを起こす。この根本的な問題に対して熊防メタルでは,硬度を下げ(200〜300Hv),膜厚を従来の1/3以下(5〜10μm)に抑える「スーパーアルマイト」という処理技術で対応している。


写真2:イーマイトSH
写真2:イーマイトSH

摩耗に強く表面が滑らかな超硬質アルマイト
 イーマイトSH(super hard)の表面硬度は400〜500Hvである。磨耗にも強く,硬質アルマイトの2.5倍の耐磨耗性(200SD/mg)を持つ。皮膜表面の滑らかさを示す“面粗度”の変化も硬質アルマイトの3倍以下である。これらの特性を総合すると,機械の摺(しゅう)動部(注1)への適性が高いことが分かる。例えば,車のエンジン内のピストンやシリンダなどの場合,「膜厚の均一化などより精密な加工が必要だが,イーマイトSHは有効だろう」(前田氏)(写真2)。
 同社が想定する用途で競合する可能性のあるPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などのスーパーエンプラに対しても「イーマイトSHは安価であると同時に削れにくい」と前田氏は自信を見せる。

 超硬質アルマイト加工で精密部品への応用をめざす熊防メタルは,アルマイトのさらなる高硬度化,超々硬質アルマイトの実用化を目指す。実験ではすでに600Hv以上を達成しており,量産化に向けた開発を進めている。


ステンレスの代替が将来の目標
 前田氏は超々硬質アルマイト加工の応用用途として「ステンレスとの置き換え」を挙げる。アルマイトの硬度が600Hv以上になると,SUS440Cなどのステンレスに匹敵するようになる。アルミはステンレスに比べて表面処理コストが安くすむ。比重も軽いために製造装置を軽量化でき,ランニング・コストを抑えることができる。「機器のステンレス部品を置き換えようと動きだす顧客が増えている」(前田氏)。
 「われわれは,長さ3800×深さ3000×幅200(mm)まで表面処理できる施設を持っている。まずは既存の硬質アルマイトをイーマイトに置き換え,将来的にはステンレスの代替を目指したい」と前田氏は将来の抱負を語った。

(テクノアソシエーツ=品田茂)


<お知らせ>
熊防メタルでは,イーマイトを始めとした金属表面処理の各種サンプルを提供している。
資料サンプルの請求はこちらから。
株式会社熊防メタル
ホームページ URL: http://www.kb-m.co.jp/





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