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電子チラシもケータイが主流に
長引く不況の中,ITリテラシーが高い主婦層から支持を得るシュフモ


[2009/10/15]



 電子チラシ(またはデジタルチラシ)と呼ばれる,インターネットを経由してパソコンや携帯電話で閲覧できるチラシが普及しつつある()。
 今年6月に調査会社medibaが実施した「『電子チラシサイトと生活』に関する調査」によれば,ケータイ版・電子チラシ・サイトを認知している人の割合は42.3%,専業主婦では47.7%とほぼ2人に1人が携帯版・電子チラシサイトについて何らかの知識を持っていることが分かった。
 同社の調査で認知率・利用率いずれでも1位となったのが,ニフティやサンケイリビング新聞社などが2008年11月にサービスを開始したばかりの「シュフモ」である。

表  主要な電子チラシ・サイトの一覧
電子チラシサイト名 サイトURL 運営企業
オリコミーオ! http://www.dnp-orikomio.com/ 大日本印刷株式会社
Shufoo! http://www.shufoo.net/ 凸版印刷株式会社
シュフモ http://shuf.jp/ 三菱商事,ニフティ,サンケイリビング出版社
タウンマーケット http://townmarket.jp/ 株式会社リクルート
毎日特売 http://www.navit-tokubai.jp/ 株式会社ナビット


新規参入からケータイ電子チラシのトップを走るシュフモ

 昨年11月に運営を開始したシュフモでは,この9月に会員数が37万人を突破,9月度のページビューは約830万の実績となっている。パソコンによる電子チラシの情報サービス分野では先行者がいたこともあり,携帯電話でのコンテンツに特化,これまで順調に会員数とサイトのページビューを伸ばしてきた。後発ながらもケータイ電子チラシ・サービスでは認知度・利用度ともにトップという実績を挙げているのは,その運営体制による所が大きい。

 他の電子チラシの運営主体は,印刷会社や情報メディア会社,またはベンチャー企業といった単体の企業である。それに対しシュフモでは,ニフティ,サンケイリビング新聞社と三菱商事によるジョイント・プロジェクト,それぞれの分野に強みを持つ企業がスクラムを組む“バーチャル・コーポレーション(仮想企業)”となっている。ニフティは携帯サイトのサーバやデータ通信システムの構築と運用を,サンケイリビング新聞社は主婦向けのサービス企画を,三菱商事はパートナー企業開拓と事業開発と,それぞれ得意分野を担当している。
写真1 シュフモを運営するニフティ株式会社サービスビジネス事業本部事業開発部ゼネラルマネージャーの細川玲理氏
写真1 
シュフモを運営するニフティ株式会社サービスビジネス事業本部事業開発部ゼネラルマネージャーの細川玲理氏

 ニフティ・サービスビジネス事業本部事業開発部ゼネラルマネージャーの細川玲理氏(写真1)は,「当初,現在のシュフモのコンセプトやターゲット層をすぐにはイメージできなかった」が,事業企画段階でグループ・インタビュー等を通じて主婦層の生の声を聞いていくうちに徐々に手ごたえを感じるようになっていったという。

 ケータイ電子チラシが普及しつつある理由の一つは,まず長引く不況や昨年来の経済危機などによる生活や将来への不安だ。消費者,中でも家計を握る主婦層が,生活費を節約するためにいくつものスーパーの特売情報などを簡単に入手し比較できるケータイ電子チラシを活用している姿が見えてくる。
 二つ目の理由は,新聞を購読しない消費者の増加である。従来なら,折り込みチラシは毎日配達される新聞と一緒に家庭に配布されていた。ところが,若年層を中心に新聞を定期的に購読しない世帯が次第に増えつつある。元毎日新聞社取締役編集局長の歌川令三氏は日経BP社のインタビューで「若い人は新聞を読まなくなっている。学生なら新聞の購読者は2〜3割」と指摘している。このため,新聞と共に配布されていたチラシを見なくなった消費者が,インターネットで電子チラシを見るようになっているのである。

 加えてシュフモのユーザーに特徴的なのは,「価格志向が高いだけでなく,冷静に情報を比較して,自分にとって最適な商品を選び出す合理的な志向の高いスマートな生活者」(細川玲理氏)であることだという。これまでのように特売情報に踊らされていた消費者とは一味違う生活者がシュフモを賢く活用している姿が浮かび上がってくる。
 シュフモでは,地域の一番店,特徴のある中堅スーパーなどにこの情報サービスシステムのパートナーとして参加してもらい,地域に密着したサービスとして更なる会員拡大を目指しているが,スマートな生活者を顧客として開拓できる点に着目して,地域の有力スーパーもシュフモをプロモーションツールとして活用しはじめている。


地域有力スーパーがシュフモを販促ツールとして活用
写真2 KEIHOKUスーパー柏店(千葉県柏市)
写真2 
KEIHOKUスーパー柏店(千葉県柏市)

 柏市に本店を置き,東葛地域に8店舗を展開するKEIHOKUスーパーは,生鮮食料品を主体とした地元の中堅有力スーパーだが,この4月からシュフモをプロモーションツールとして試験導入した(写真2)。同社は1963年に柏で創業したが,相次いで大型スーパー,百貨店が進出して厳しい競争にさらされてきた。その中で他店との差別化策として打ち出したのが,ワンランク上の品揃えと店作り。商品の品質にこだわり,「ここぞという時に使えるスーパー」という評判を地元で確立している。
 同社の販売促進を担当する小金井取締役は「シュフモを活用しはじめたのは,ケータイを使いこなしている情報感度の高い若い世代(20代後半〜40代)のお客様との接点を広げるため」と導入の動機を説明する。

 KEIHOKUスーパーは,高品質な商品をリーズナブルな価格で提供するという路線をとっているために価格訴求型のチラシを発行していない。そのかわりに季刊の情報誌の発行,あわせて会員制のポイント提供サービスを実施している。バイヤーが自信を持って薦めるイチオシの商品を情報誌で紹介したり,その商品にポイントを加算する仕組みを通じて「商品の品質に対するこだわりをお客様に伝えてきた」(小金井取締役)という(写真3)。
写真3 シュフモに掲載されたKEIHOKUスーパーからのメッセージ
写真3 
シュフモに掲載されたKEIHOKUスーパーからのメッセージ

 小金井氏は,シュフモを活用することで,さらに密度の濃い情報を顧客に提供でき,KEIHOKUスーパーのファンづくりに役立つと期待する。「店側が一方的にチラシを配る方法と違い,お客様に選んでいただき,情報を取りに来ていただける点がシュフモの魅力です。KEIHOKUスーパーの品揃えやサービス,バイヤーのこだわりなどをもっと認知してもらいたい」。

 KEIHOKUスーパーでは,店舗内やレジ周りにシュフモのポスターを掲出し,来店客に対しても積極的に登録を呼びかけている(写真4)。シュフモの試験導入からまだ半年だが,既に登録者は1000名にせまり,その半数が若い世代だという。
 「情報ツールはコンテンツがあってこそ生きてきます。シュフモから価格情報を流すだけではもったいない。当社ではバイヤーからのメッセージやマグロの解体ショーといった店舗のイベント情報など,KEIHOKUのファンになっていただける情報をどんどん提供していきたい」(小金井氏)と抱負を語る。

 長引く不況の下で,チラシ情報をキラーコンテンツに急伸するシュフモだが,単なる電子チラシを超えて,新たなショッピング情報コミュニティへと進化する可能性を秘めているようだ。


写真4 来店客にもシュフモへの登録をよびかけ(KEIHOKUスーパー)
写真4
来店客にもシュフモへの登録をよびかけ(KEIHOKUスーパー柏店)

シュフモ
(携帯サイト) http://shuf.jp/  (PCサイト) http://www.nifty.com/shuf/






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