技術&事業インキュベーション・フォーラム

TOPページへニュースへ連携提案へ注目技術&事業コラムへお問合せ


古河電工,太陽電池や有機ELデバイスに応用可能なフレキシブルガラス基板を開発
樹脂フィルム基板が抱える課題解消へ


[2009/10/23]

 古河電気工業は,同社が得意とする光ファイバの製造技術を応用して太陽電池や有機ELデバイスなどに応用可能なフレキシブルガラス基板を開発した(図1)。開発したガラス基板は,厚さ30〜600μm,幅〜5cmで樹脂フィルムのように曲げられる。基板全面には透明導電膜(SnO2膜)も形成されている。これまでフィルム基板といえば樹脂製のものがほとんどだった。ガラスのフィルム基板が開発されたことにより,樹脂のフィルム基板が抱える耐湿性や耐熱性,熱的寸法安定性の課題をクリアし,太陽電池や有機ELデバイスなどで大幅な機能向上やコスト低減を見込むことが可能となる。


耐湿性や耐熱性などの課題を解消

 開発したフレキシブルガラス基板の特徴は,光ファイバ製造技術を応用した独自生産方式によって低コスト化が可能なこと,表面平坦性(Ra<0.2nm以下)に優れていること,基板の長手方向に多彩な断面形状(中空,凹凸:ピッチ6.4μm,深さ0.49μm)を形成できることなどが挙げられる(図2)
 このプロセスは大気圧連続プロセスであり,しかもプロセス領域が局在化しており,装置を小型化できることから,初期の投資コストも抑制できて低コストなガラス基板の製造が可能になる。

図1:曲げても割れないフレキシブルガラス基板
  図2:凹凸など多彩な断面形状を形成可能
図1:曲げても割れないフレキシブルガラス基板
 
図2:凹凸など多彩な断面形状を形成可能



 これまでフィルム基板にはPP,PET,PEN,PCなどの樹脂が検討されてきた。これらの高分子フィルム基板は,ガラス基板と比べて一般にガス(酸素)や水蒸気を透過しやすい。そのため,太陽電池や有機ELデバイスに使用した場合,水分による性能低下が懸念される。樹脂のフィルム基板では耐湿性を高めるため,バリア層の形成が必要になる。ガラス基板であれば,こうしたバリア層の形成は不要となる(図3)。

図3:樹脂フィルム基板と比べ耐湿性,耐熱性,耐久性に優れる
図3:樹脂フィルム基板と比べ耐湿性,耐熱性,耐久性に優れる


 ガラス基板を使えば耐熱性の課題も解決される。太陽電池に樹脂フィルム基板を使うためには,プロセス温度を300℃以下にする必要があるが,ガラス基板なら1000℃のプロセスを使用することも可能であり,プロセスを低温化する必要はない。このほか,樹脂フィルム基板には反りの問題もある。電極層やシリコン膜層を形成するため高温環境下に置かれると,基板に反りが生じる。素子の微細化が進むにつれて,それが大きな問題となる可能性もある。


ロール・ツー・ロールでデバイスの製造コストを低減

 携帯機器の普及に伴い,フィルム基板に対するニーズが高まっている。フィルム基板を採用することによって,電子ペーパーに代表される,薄くて,軽くて,曲げられるデバイスが実現できる。こうした機能的なメリットに加え,フィルム基板にはもう一つの大きなメリットがある。デバイスの形成にリソグラフィではなく印刷技術を使い,ロール・ツー・ロールの生産方式と組み合わせることによってデバイスの製造コストを大幅に低下できることである。フレキシブルガラス基板の実用化によってロール・ツー・ロールの生産方式が太陽電池や有機ELデバイスの製造プロセスに採用されれば,デバイスの製造コストを劇的に低減できる可能性がある。
 今回,フレキシブルガラス基板を開発した古河電工は同基板を5年後に製品化するとしている。今後,同社は,デバイス・メーカーや,ロール・ツー・ロールの生産方式を開発する製造装置メーカーと協力し,実デバイスを使ったフレキシブルガラス基板の検証やブラシュアップ,チューニングを実施したい考えだ。そのための共同開発パートナーを求めている。



オープンイノベーション・フォーラム

オープンイノベーション静岡

トピックス
【座談会】レアアース泥の採泥・揚泥は戦略技術、焦らず段階を踏んで確実に商用化を目指す

【座談会】安定・潤沢な国産レアアースの利用に、日本の産業界は飛躍の未来を感じている

IoT、大手自動車メーカーが製造ラインに導入約60万円のシステムで不良品の発生を大幅低減

人気記事ランキング(2017年10月-12月)















オープンイノベーションコラム

オープンイノベーション・フォーラム




| 産業イノベーションHOME | 技術&事業インキュベーション・フォーラムHOME |
Copyright (c) 2005-2013 TechnoAssociates, Inc. All rights reserved.

お問い合せ イベントIndex コラムIndex 提案Index ブレークスルー技術Index INTERVIEW Index topへ テクノアソシエーツへ