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中国企業との連携でCO2を低減する樹脂充填材を開発
指定ゴミ袋に採用する自治体が相次ぐ


[2010/05/13]

  環境対応の材料を強みに勢いづいている中堅企業がある。三重県伊勢市に拠点を置く中京商事である。同社は環境材料やLED等の電子部品を取り扱う商社だが、中国の環境ビジネス企業と共同で樹脂充填材「エコプラット」を開発した。同社が開発した樹脂充填材はPE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)に混ぜると,燃焼時のCO2発生量が抑えられるという特徴があり、自治体を中心に採用が相次いでいる。

 まず、地元の三重県玉城町が、同社の樹脂充填材の入ったPE製の家庭用ゴミ袋を2009年度から指定ゴミ袋とした(写真)。さらに本年度からは,同様に三重県の度会町と明和町が採用を決め,愛知県の一宮市と稲沢市も同社をゴミ袋の製造業者として認定した。
  一般に,樹脂充填材を混ぜると強度が落ちゴミ袋が破れやすくなったり,強度を高めるために添加剤などを使用すると価格が高くなったりしてしまうことが多い。これに対して同社の樹脂充填材「エコプラット」の場合,「強度の低下が抑えられ,価格も従来品と同等以下を実現している。他社は追随できないだろう」(中京商事、南平勝見社長)と言う(写真)。


 
写真1:樹脂充填材「エコプラット」を使ったゴミ袋を三重県玉城町が採用
  写真2:中京商事社長の南平勝見氏
 


中国、合弁企業との連携で追随許さないコスト競争力を実現

  こうしたコスト競争力を実現できた背景には、ビジネスモデルの問題がある。材料の製造は合弁会社である中京科林環境材料有限公司(深?市),ゴミ袋への成型加工はライセンスを供与した丸萬塑料包装有限公司(東莞市)と,いずれも中国に拠点を置く工場を利用している。流通も中間業者を省いて簡素化した。これらにより,付加価値を高めた製品でも従来品と同等以下の価格帯に抑えることができたのだ。

  「中国では環境ビジネスの育成に各地方政府が熱心に取り組んでおり、合弁企業の技術力と日本市場に製品を売り込んでいる点が評価されて、支援を受けることができたこともプラスになった」と南平勝見社長は話す。

  今回、中京科林環境材料有限公司との共同開発で第3世代にあたる樹脂充填材「エコプラット」を製品化した。これまでの第1世代(Ver.1)と第2世代(Ver.2)ではCaCO3(炭酸カルシウム)を含む充填材であり,最大15%混ぜることによって樹脂の量を減らしコストダウンを実現していた。これに対し,第3世代はCaCO3(炭酸カルシウム)に代えて「炭素(C)を含まない無機物」(南平氏)を採用したことで燃焼時の二酸化炭素の発生量を抑えることに成功した。第三者の評価機関である化学物質評価研究機構による試験結果では,第3世代(Ver.3)の充填材を30%混ぜた場合,燃焼ガス分析でCO2が最大24%削減された。引っ張り強さについては横方向で−1.1%,縦方向で−7.6%に抑え,引っ張り伸び率は横方向で+6.7%,縦方向で+4.0%と逆に増加している。こうした性能アップが可能になったのは「充填材を複数組み合わせ、最適化することに成功したから」(南平氏)と説明する。


更なる低炭素化を実現する第4、第5世代も開発にめど

  同社の充填材の進化はこれにとどまらない。すでに第4世代(Ver.4),第5世代(Ver.5)への展開が具体化している。第4世代はゼオライトを含む充填材であり,第3世代品に比べて充填材の量が少なくてもCO2の発生量をさらに削減できるという。すでに試作は済んでおり,早ければ2010年内に製品化する。第5世代は植物性の生分解性プラスチックを含む充填材を採用する。充填材40%でCO2削減量60%の達成を目指す。

  さらに,日本国内でこれから低炭素化を推進する自治体が増えることに備え,増産体制を整えている。中国の中央政府および地方政府の支援を受け,約4万m2の土地を新たに確保した。2010年7月に完成する新工場では,中京科林の材料製造ライン2本分を移設し,新たに1本を追加した合計3ラインを稼働させる。これにより,材料の生産能力は現在の430トン/月から640トン/月と約1.5倍になる。その後,空いた敷地内に製造ラインを増設することで「今後5年のうちに現状の約10倍の規模に拡大したい」(南平氏)と意気込む。

(朝倉博史=テクノアソシエーツ)

●次世代プラスチック充填剤「エコプラット」
URL:http://www.chukyo-gp.co.jp/pc/free01.html

●株式会社中京商事 ホームページ
URL:http://www.chukyo-gp.co.jp/pc/index.html


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