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水耕栽培を活用した障害者雇用創出プログラム
障害者に自立と働きがいを提供
[2010/07/06]

  株式会社夢農会(本社:三重県伊賀市、代表取締役:上山夢三郎氏)の構築してきた水耕栽培農場での障害者雇用創出プログラムを、企業との連携を通じて普及、促進させるため、この度「NPO法人 水耕栽培福祉普及協会」が設立された。これは、企業が農業事業に参入する際、水耕栽培福祉普及協会が仲立ちとなり、まず働き手となる障害者・定年退職者に夢農会の水耕栽培農場へ出向してもらい作業研修などを行うもの。研修といえども研修期間を通じてかなりの量の野菜が生産されるため、参入企業はこれらを自社の社員食堂で使用したり、外食産業などの場合は店舗で使用することもできる。年間に生産される野菜の売上げで、雇用費用、水耕栽培の必要経費がほぼ賄えることから、障害者雇用や定年退職者への仕事創出を検討している企業から問い合わせが相次いでいる。

 水耕栽培福祉普及協会と連携して、水耕栽培のシステムを提供しているのが、三重県に本部を置く夢農会である。同社は、独自に開発した養液や栽培技術により高回転率の水耕栽培システムを実現し、直営農場を運営する。一方で、パートナーズ農場(加盟事業者)の拡大化も進めており、現在、三重県下を中心に45農場が稼動中または建設中である。
 同社の水耕栽培の特徴は、高回転であること。一般的には15作が平均といわれている小松菜であれば、年24作以上を実現しているという。小松菜以外にほうれん草、大葉、九条葱といった葉物を中心に20品目以上の野菜が商品化されていて、年24作の安定収穫が可能だという。
 「完全無農薬栽培であることから外食産業などからの評価が高く、生産された野菜はほぼ全量が契約販売されている」(夢農会、上山代表取締役)。本部としてパートナーズ農場に対しては、栽培設備、養液、種子・苗の提供、栽培指導を行うほか、生産された作物の販売先の紹介斡旋も行っている。


20品目以上の野菜で年24作の安定収穫を実現

 代表取締役の上山氏は、大手外食産業の生鮮バイヤーとして全国の産地を飛び回っていた際にこの農法と出会った。その後、長年の研究を経て、3年前に法人化した。障害者、高齢者を雇用して農場経営を行うアイデアは、生産物販売先からの相談に乗ったことから生まれ、実際の取り組みは昨年から始まったという。障害者雇用促進法に定められた法定雇用率(1.8%)の達成に悩む取引先から相談を受けた上山氏は、企業の採用した障害者の研修出向を受け入れることで問題解決に動いた。その後、様々な問題をクリアして、現在では「三方よし」(企業・障害者・農場)のプログラムを完成させた。

:企業参画の仕組み

 企業参画の仕組みは、次の通りだ()。まず、企業が夢農会グループ農場との間で、水耕栽培の設備の使用契約と出向栽培研修の契約を結ぶ。その上で、企業はその農場で研修を受ける障害者や就労支援者を募集して雇用する。農作業の研修指導は、夢農会が担当する。農作業には刃物を使用するケースもあり、安全管理、事故などへの気配りなどリスクマネジメントが課題となるが、同社には障害者雇用農場として数多くのノウハウを持つ。事前に父兄も含めて面接を行い、働き始めた後にも月1回は保護者に農場へ見学に来てもらうなど、細かい気配りを怠らない。
 露地栽培の農園の場合、収穫などの農作業はかなりの重労働になる。しかし、夢農会の水耕栽培は、腰の高さの水耕ベッドで規則的に生育するので、収穫作業は格段に楽であり、障害者、定年退職した高齢者にも負荷がかからない(写真)。

 
写真:障害者、定年退職者に働きがいを提供する水耕栽培農場


農業は障害者、定年退職者に働きがいを提供できる

 事業収支のシミュレーションでは、障害者を年間1名雇用して小松菜を栽培した場合、年間24作を前提にすると野菜の売上げは338万円になる。それに対して、障害者の年間給与は約100万円(時給ベース)。その他就労支援者給与および栽培ベッドの使用・栽培管理費の支出は年間236万円で、合計支出は336万円となり、黒字になる。法定雇用率が未達成の場合、企業に対して課せられる5万円/人・月の違反金が不要になることを考え合わせると、企業のメリットは更に大きなものとなる。保護される立場にあった障害者が納税者に変わることは、企業としての社会貢献、CSRの観点からも収支以上の意味がある。

 障害者や定年退職者にとって、農業は自己実現と達成感の得られるとても魅力ある仕事。企業は法定雇用率をクリアするために企業内に無理に仕事を作っている場合もあるが、農業現場では誰もがいきいき働いている」と水耕栽培による農業現場での“働きがい”を上山代表は強調する。企業にとっては、法定雇用率のクリアと働きがいを提供できる。特に、外食産業や社員食堂などを保有している企業にとってはメリットの多いプログラムといえそうだ。

(中村友亮=テクノアソシエーツ)

【お問い合せ】
●水耕栽培福祉普及協会 ホームページ
URL:http://npo-syoku.jp/
●夢農会 ホームページ
URL:http://www.yumenokai.jp/index.html




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