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「原発震災からエネルギーシフトへ」 [2011/05/12]
いま、日本は未曾有の危機に直面しています。言うまでもなく、東日本大震災と津波が引き起こした壊滅的被害、さらには福島第一原子力発電所の重大事故です。自然災害、それに伴う電力の喪失によって改めてわれわれの生活基盤の脆さを痛感させられました。
こうした中、2011年4月2日にThink the Earth プロジェクトが主催し、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、メディアデザイン研究科が共催した「ほんとうの震災を知ろう−わたしたちにできること」と題する講演会が同大学院で開催され、その一環としてパネル討論会「原発震災からエネルギーシフトへ」が開かれました。参加者は、環境エネルギー政策研究所所長 飯田哲也氏、慶應義塾大学大学院SDM研究科教授 高野研一氏、Think the Earthプロジェクト理事長 水野誠一氏、ワールドシフト・ネットワーク・ジャパン代表理事 谷崎テトラ氏です。原子力発電の安全性とリスクが議論され、将来的には原発から自然エネルギーへの転換が求められるといったことが議論されました。
【ポジショントーク】 「原発から自然エネルギーへの転換を図るべき」 講演者:環境エネルギー政策研究所所長 飯田哲也氏 現在、世界史に残る原子力発電所の事故が進行中です。すでにスリーマイル島原発事故を越えています。この先放射能汚染が数ヶ月、数年続けばチェルノブイリ原発事故も越える恐れがあります。残念ながら現状、終結する見込みはまったくありません。 現在、計画停電が実施されていますが、夏に向けて5700万kWの電力が必要になります。それに対して供給能力は5000万kWと見られています。約1000万kWのギャップがあります。そのギャップを節電と需給調整契約で埋めることになります。実は、需給調整契約はすでに東京電力と一部企業の間で結ばれており、その分の電力削減分がすでに300万kWに達しています。その契約をすべての企業に広げることになるでしょう。全部に広げれば2000万kW以上の電力削減を実施できます。仮に需給調整契約を25%程度実施すれば、500万kW削減できます。 節電等でさらに500万kW削減することは可能です。1000万kWの電力消費を落とすことはさほど難しいことではありません。停電を回避できる需給調整契約等により電力消費量を調整すべきで、いまのような無計画停電は止めるべきです。もしこの夏を乗り切れば2~3年間は問題ないでしょう。その時間的余裕を使って10年後、50年後の長期的電力供給体制を考えるべきです。 原発が日本の電力の30%を供給しているというのは神話 一般的に言われている原発が日本の電力の30%を供給しているというのは神話です。日本の原子力発電所は40年が経過して耐用年数に近づいています。今後、新規増設は考えられません。原発からの電力供給は減少します。2020年には1700万kWとなり、電力供給量は全体の10%程度に下がります。 われわれの試算では省エネ・節電をもっと効率的に実施すれば、日本の電力消費量を20%程度減らせます。日本の電力消費量は年間1兆kWhです。そのうちの20%を省エネ・節電で削減します。現在、水力、地熱、バイオマスを使った発電で電力消費量の10%を賄っています。それを20ポイント増やし30%にします。これは無理なことではありません。事実、ドイツは過去10年でこうした発電からの電力供給量を6%から17%と10ポイント以上増やしました。今後10年間で34%まで増やそうとしています。 10年後にはCO2フリーのエネルギーを50%にします。後は天然ガス、石炭からの発電で賄います。現状、天然ガス、石炭からの発電量は全体の60%ですが、これを40%に低減します。2050年では省エネにより電力消費を50%程度減らしたうえで、自然エネルギーで50%の電力を賄うことをわれわれは提案しています。 原発はもはや経済論理で建設できなくなっている 自然エネルギーはその発電量が毎年30%拡大しています。自然エネルギーによる世界の発電量は昨年末で2億kWです。一方、原子力による発電量は世界で3.8億kWです。自然エネルギーによる発電量が5年後に原子力による発電量を追い越します。今後、古い原発がリタイヤすることによって原子力による発電量は減少していきます。その一方で原発の新設はできません。反対運動があるからではありません。建設コストが高いからです。例えばフィンランドの原発は当初3000億円の予算で建設が始まりましたが、いまやその建設費は1兆5000億円に膨らんでいます。原発はもはや経済論理で建設できなくなっているのです。 自然エネルギーは第四の革命 自然エネルギーはいま、農業革命、産業革命、IT革命に次ぐ第四の革命と言われています。その市場は2004年から毎年60%成長しています。2008年のリーマンショックで縮小したものの、その後30%〜50%で成長し、昨年20兆円に達しました。10年後には200兆円、20年後には500兆円になるとの予測もあります。世界のGDPが6000兆円ですから、20年後の自然エネルギーの市場規模は世界のGDPの約1割に相当します。21世紀の初めにまったく存在しなかった巨大産業がいま生まれようとしているわけです。 太陽エネルギーだけでも、いま使用している化石燃料の1万倍のエネルギーが地球上に降り注いでいます。その0.01%を利用できれば世界のエネルギー供給をすべて自然エネルギーで賄えます。太陽光発電、太陽熱発電、風力発電など、ドイツでは2050年までにエネルギーの供給源をすべて自然エネルギーに代えようとする政策が打ち出されています。 次のページ:
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