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燃料の完全燃焼を促進する新素材、車両の燃費改善に大きな効果

[2011/07/29]

 原油価格等エネルギーコストが世界的に高騰する中、京都の環境関連資材会社タシン(田中信夫社長、京都府宇治市)が取り扱う「ワープエアクリーン」という新素材が注目されている。ワープエアクリーンはシリコンに竹炭から抽出した炭素系素材を加工した1枚あたり3〜4センチ角の素材だが、これを自動車のエンジンの吸気口(エアクリーナー)に一定数取り付けるだけで、ガソリン、軽油、天然ガスなど燃料の種別に関わらず、完全燃焼が促進され、燃費が6〜8%程度改善するというデータが、この素材を採用した物流・運輸会社から報告されている。また、ディーゼルエンジンの場合には、スモーク(黒煙)を大幅に低減させる測定結果が出ている。

 タカラ物流システム(京都府京田辺市、大谷将夫社長)は、平成17年にワープエアクリーンを試験的に導入し、現在ではすべての保有十トン車に装着させている。同社の燃費改善エコドライブ運動の推進責任者である丸山利明常務執行役員は「燃費改善をうたう商品は色々あるがどれも実際に使ってみるとほとんど効果が無かった。これもそうしたまがい物のひとつだろうという気持ちで試してみた」と導入当時のことを振り返る。 実際に取り付けた結果は「10%近い燃費改善がみられ驚くべきものだった」(丸山常務)という。丸山常務は、その結果を信じられなかったため、今度はドライバーに外して走行するように指示したが、逆に「燃費だけでなく、馬力も落ちて坂道がのぼりにくい、早く付け直してくれ」と苦情が上がり全車への導入を決めたという。

平均で9.56%の燃費向上効果

 この時、タカラ物流システムが行った導入試験では、テスト車両3台について、前年の平均燃費、ワープエアクリーン装着前、装着後、取り外し後、そして未装着車のそれぞれについて燃費データを取得し比較分析を行った。その結果、ワープエアクリーンを装着したテスト車では平均で9.56%の燃費向上が見られ、未装着車平均と比べても4.48%上回っていた。次に装着効果を確認するために、1ヶ月取り外して計測したところテスト車両3台とも燃費が下がることがわかった(表1)。

表1:燃費データ比較(データ提供:タカラ物流システム)
表1:燃費データ比較(データ提供:タカラ物流システム)

 ベンチマークテストでもその効果は実証されている。パワーテスター(イヤサカEPT-1500)を使って、3000ccセダンの燃費をワープエアクリーン装着前、装着後で比較測定したところ、装着前に見られた燃費のバラツキ(6.8km/L〜16.0 km /L)が見られたが、装着後は顕著に安定(16.0km/L〜20.0 km /L)し、全体としても201%の燃費向上率が見られたという。(写真1
 また、排気ガス計測器メーカー、ヤナコ計測が、同様に排気ガスを装着前、装着後で計測したところ、CO(一酸化炭素)、HC(ハイドロカーボン)の値が平均80%以上減少し、完全燃焼が促進されていることが確認されている(表2)。

写真1:装着後燃費のばらつきが平準化される(データ提供:タシン)
写真1:装着後燃費のばらつきが平準化される(データ提供:タシン)

表2:排気ガス測定データ(データ提供:ヤナコ計測)
表2:排気ガス測定データ(データ提供:ヤナコ計測)

 自動車のエンジン内の燃料を燃焼させるためには、エンジン内に送り込まれる空気(外気)が大きな影響を与える。例えば空気中に不純物や水分が多いと燃焼効率が下がることが既に知られている。そこでトラックなどの吸気口には、エアクリーナーなどが装着されているわけだが、ワープエアクリーンの機能についてタシンの田中社長は「燃焼の妨げとなる空気中の不純物を取り除き、燃料の完全燃焼を促進する何らかの作用があると考えている。」と説明する。しかし、その原理はまだはっきりと解明されているわけではない。

 そこで、ワープエアクリーンの燃費向上機能を原理的に解明しようと、現在、関西の大学と共同研究が進められている。ワープエアクリーンは環境改善素材として既に特許を取得済みだが、「今後は原理解明を前提により強力な知財戦略を展開していきたい」(タシン田中社長)と自信を示している。

ディーゼルエンジンのスモーク(黒煙)削減にも効果

 また、ワープエアクリーンをディーゼルエンジンの吸気口に装着した場合、スモーク(黒煙)を大幅に削減するという測定結果も報告されている。
 タシンと帝産湖南交通は、平成23年4月〜6月にかけてワープエアクリーンを路線バスに装着してスモークテストを実施したが、装着10日後、50日後、100日後のそれぞれにおいて安定的に96%(アイドリング時)の削減効果が認められた。
 また、本年6月に東京港青海埠頭で行われた港湾関連車両を対象としたスモークテストにおいても、ストラドルキャリア(貨物積み替え用自動車)では38.5%、サイドリフター(コンテナ運搬用トラック)では80.3%、トラクターヘッド(牽引自動車)では58.5%の削減効果(それぞれ最高値)が認められた。
 ディーゼル車両のスモーク(黒煙)は環境問題化しており、事業者に対して抜本的な対策を求める声が日増しに高まっている。吸気口に装着するだけで大きな削減効果が得られるという簡便さから、スモーク対策に頭を悩ませる担当者から問い合わせが相次いでいるという。

エコドライブ運動と組み合わせ年間1000万円の燃費節減

 ワープエアクリーンを全車両に導入したタカラ物流システムの取り組みは、エコドライブ運動と組み合わせたことで、経済的にも大きな節減効果を生み出している。「ワープエアクリーンの導入をハード面だけでなく、全社的な燃費改善運動、ソフト面の改革にもつなげた。会社がハードに対してコストをかけ、本気だという姿勢を示すことで、ドライバーにはアイドリング・ストップやエコドライブを徹底させるなど意識改革を進めた」と丸山常務は、ソフト面での取り組みの重要性を強調する。こうしたハード、ソフト両面の取り組みを通じて、「全社で10%以上の燃費向上、その結果年間約1000万円の経費削減が実現できた」(丸山常務)という。ワープエアクリーンの導入コストは、十トン車一両あたり24枚約7万5千円となり有効期限は約2年。タカラ物流システムの場合、「導入コストは約半年で回収できた」(丸山常務)。

 タカラ物流システムでは、この成果を提携物流会社にも広げようと、グループ関連企業を巻き込んで燃費改善運動への新たな取り組みが始まっている。

説明資料ダウンロード
株式会社タシン 「ワープエアクリーン」概要書


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