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半導体熱を利用した発熱体でつくる床暖房パネル
東北被災地で事業化を進める

[2012/05/23]

 電気エネルギーを熱エネルギーに効率的に変換できる「半導体熱恒温素子」の利用に関心が高まっている。
 「半導体熱恒温素子」とはまだ聞き慣れない言葉だが、半導体(多結晶体)を薄く小さく整列化させたフィルム状の発熱体(図1)。金属酸化物と組み合わせた半導体に通電して、電子を衝突させ熱エネルギーを発生させる。ニクロム線など従来の電熱線を使った発熱体に比べ、電気エネルギーの変換効率が高く、節電効果が高い。さらに、電磁波の発生もなく、完全不燃性であることから、注目が集まっている。
 これまでは、国内外の高速鉄道車両の車両着雪防止装置や変電所の遮断機着氷防止など、主に業務用に使われてきたが、民生用に広がりを見せはじめた。

 半導体熱恒温素子とは、原理的にはパソコン等に使われている半導体が通電により発熱するのと同じ。半導体(多結晶体)を金属酸化物と組み合わせ、薄く小さく整列化させたことにより、フィルム状の発熱体として利用することが可能になった。
 電子的な半導体熱を利用することで従来にない利点が生まれた。
 電熱線(ニクロム線)や白熱灯は、起動の際に大きな電流が流れる突入電流が生じるが、半導体による発熱は、LEDと同様に突入電力が発生しないので、発熱体の寿命が飛躍的に高まる。ニクロム線の寿命は、2千時間程度といわれるが、半導体熱恒温素子の場合は、2万時間以上。また、フィルム上に小さな発熱素子が大量に整列された状態なので、仮に、釘打ちなどで穴を開けたり、一部が破損したとしても、通電がストップしたり、ショートや自己発火することがない。社団法人日本鉄道車両機械技術協会から不燃認定(車材燃試15−259K)も受けており、安全性と耐久性に優れた発熱体といえる。


図1●フィルム状の半導体熱恒温素子
図1●フィルム状の半導体熱恒温素子

従来のニクロム線に比べ、50%以上の省エネ

 また、電子的に発熱するので、熱エネルギーへの変換効率も高く、従来の電熱線に比べて50%以上の効率アップを実現しているという(朝日電子工業株式会社調べ)。
 金属酸化物の選定および素子の配列方法により、3Vからの低電圧から400Vまで様々な電源が利用でき、温度設定も30℃〜400℃まで自由に設計が可能だ。
 こうした耐久性や不燃性、熱効率が高い点が評価されて、国内外の高速鉄道車両の車輪周りの着雪防止装置(図2)として採用されるなど、これまでは業務用途を中心に利用が拡大してきたが、民生用にこの半導体熱恒温素子を利用する動きが広がっている。


図2●高速鉄道車両の車輪周りの着雪防止装置(施工前・施工後)
図2●高速鉄道車両の車輪周りの着雪防止装置(施工前・施工後)

 アウターネット株式会社(本社・東京都新宿区、入江健一郎社長)は、環境技術を民生用に活用することを進めている環境ベンチャーだが、この半導体熱恒温素子に着目し、暖房用パネルの発熱体として活用する事業を計画している。
 「半導体熱恒温素子は耐久性や省エネに優れるだけでなく、環境、健康面でも数々の利点を持っている。まず、自己発火ゼロの完全不燃性の素材だということ、電磁波や有害ガスももちろん発生しないし鉛等重金属なども一切使われていないので、EUや中国のRoHS指令にも完全対応している。また、発生する熱エネルギーのかなりの部分が人の体を芯から温めてくれる遠赤外線であり、健康的な熱源であることが分かってきた」(入江社長)。
 アウターネットでは、こうした特長を持つ半導体熱恒温素子を住宅用の床暖房パネルとして開発し、さらに、東北・被災地で建設されている仮設住宅の床暖房として提供する事業も構想している。


図3●仮設住宅向け床暖房パネルの構造
図3●仮設住宅向け床暖房パネルの構造

床暖房パネルとして被災地東北での事業化を計画

 仮設住宅向けの床暖房パネルは、具体的には、シート状の半導体熱恒温素子をベニア化粧合板、ウレタン素材などでサンドイッチした、シンプルな構造の電化製品の簡易型床暖房パネルとして製造する(図3)。
 これまで建てられた仮設住宅は、断熱材などが充分に施工されていない急ごしらえのものが多く、寒冷地等では、あらためて断熱材の充填工事などが進められている。
 仮設住宅では石油ストーブなどの利用は認められていないため、被災民たちは、電力不足の中、高額な電気料金を負担せざるを得なくなっている。それを嫌って、石油ストーブなどを無断使用しているケース も数多く見受けられるようだが、こうした燃焼系の暖房器具を使用すると、結露などが深刻化するうえに、火災リスクも伴う。
 「弊社が開発している半導体熱恒温素子を活用した床暖房パネルを使ってもらえれば、エアコン暖房に比べ、50%以上の省エネを実現でき、結露も発生しない」(入江社長)と省エネ、健康面でのメリットを強調する。

事業構想について語る アウターネット 入江健一郎社長
事業構想について語る
アウターネット 入江健一郎社長

 また、入江氏はこの事業を被災地で雇用創出事業として立ち上げたいと考えているという。
 「半導体熱恒温素子の民生転用開発拠点を東北に移転して新産業を創出し、製造工場も併設して、地元の雇用確保に繋げたい。復興景気で、建設工事などの人手は足りない状況になっているが、女性や高齢者、身障者などの仕事は無い、ミスマッチの状態。こうした労働弱者といわれる人たちを中心に仕事を提供できる工場にしたい」、「この新規事業は継続事業であり、決して復興事業ではない。日本中、さらにはグローバルにニーズのある製品を東北で開発して生産したい」と構想を語る。
 「ボランティアや募金、義捐金だけではなく、企業だからこそ出来ることがある。短期的な援助では無く、被災地が継続して再建するには働く場の創出が必須。この事業で、長期的視野に立った復興支援を実現したい」。

 アウターネットでは、この事業の支援者および共同事業パートナーを求めている。

説明資料ダウンロード
アウターネット事業計画
「事業概要編」(2.7MB)・「技術概要編」(2.8MB)・「収支計画編」(3.7MB)


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