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機器間通信、920MHz近距離無線の開放で創出される事業機会が拡大
ユーザー・ソフト組み込み可能なマイコン搭載通信モジュールも登場

[2012/09/05]

 機器間通信(マシン・ツー・マシン=M2M)の市場成長が加速しそうだ。調査会社のROAホールディングスは2012年のM2M国内市場規模を約1500億円と推定し、2015年には3300億円程度まで拡大すると予測する。M2Mの具体的な用途は、スマートグリッド/スマートシティ、工場の自動化(FA)、ヘルスケア・サービス、農業IT化、道路交通状況の監視、自動販売機の管理、自然保護など多岐にわたる。

 日本国内でM2Mの市場が急拡大する背景には、総務省の「周波数再編アクションプラン」に基づく「プラチナバンド」の開放がある。プラチナバンドとは、主に700〜900MHzの電波の周波数帯域を指す。テレビの地上アナログ放送が2011年7月(東北の福島、宮城、岩手の三県では2012年3月)に停波し、電波利用効率がより高い地上デジタル放送に移行した。これによって、空いたプラチナバンドを携帯電話網や他の無線通信サービスで今年の7月25日から使用できるようになった。900MHz帯に隣接する920MHz帯(915M〜928MHz)でも近距離無線の本格運用が解禁された。920MHz帯の開放によって上述のような用途で、M2Mを活用した新たな事業機会が創出されると期待されている。

CMエンジニアリング、ユーザー・ソフト組み込み可能な通信モジュールを製品化

 M2Mは、データを取得し伝送する多数の通信モジュールから成るセンサネットワークと、伝送されたデータの保存や処理を行うクラウドネットワークの両方で構成される。M2Mではセンサネットワークの果たす役割が大きく、その優劣を決めるのが通信モジュールである。920MHz帯近距離無線モジュールという新たな市場に向け、多くのモジュール・メーカーが製品を投入し始めている。

図1●CMエンジニアリングの920MHz帯向け通信モジュール「CRESSON-MD920」(テクノアソシエーツが撮影)
図1●CMエンジニアリングの920MHz帯向け通信モジュール「CRESSON-MD920」
(テクノアソシエーツが撮影)

 そうした中でCMエンジニアリングは、ユーザーが自由にアプリケーションソフトを実装できるユニークな通信モジュール「CRESSON-MD920」の販売を開始した(図1、図2、表1)。例えばユーザーは、搭載ソフトで間欠動作や待機時間を細かく制御することにより、システム全体の消費電力を低く抑えることが可能となる。CRESSON-MD920はIEEE802.15.4gプロトコルを標準装備しており、同社はMACソフトのソースコードも提供する。このためユーザーによるプロトコルのカスタマイズも可能となる。
 CRESSON-MD920にユーザーのソフトを実装できるのは、フラッシュ・メモリー内蔵の32ビットPICマイコンを搭載しているためである。今後同社は32ビットPICマイコン以外にも、ARM系や24ビット、8ビットへと搭載マイコンを順次拡大していく計画だ(図3)。インタフェースは、既存システムへの組み込みを考慮して汎用I/Fに対応している。


図2●「CRESSON-MD920」のブロック図と搭載ソフトIP(出典:CMエンジニアリング社資料)
図2●「CRESSON-MD920」のブロック図と搭載ソフトIP
(出典:CMエンジニアリング社資料)
表1●「CRESSON-MD920」のハードウェア主要諸元(出典:CMエンジニアリング社資料)
表1●「CRESSON-MD920」のハードウェア主要諸元
(出典:CMエンジニアリング社資料)
図3●CRESSON-MDシリーズ開発ロードマップ(出典:CMエンジニアリング社資料)
図3●CRESSON-MDシリーズ開発ロードマップ
(出典:CMエンジニアリング社資料)

 CRESSON-MD920の販売を担当するCMエンジニアリング営業部のジェネラルマネージャ、栗田敏明氏は「ユーザーの要求に応じてアプリケーションソフトやプロトコルのカスタマイズ・サービスにも対応する。CRESSON-MD920はユーザーが他社と差別化しやすい通信モジュールとなっている」と、カスタマイズの利点を強調する。加えて、技術基準適合証明(技適)の取得も支援すると言う。

 さらに同氏は「2.4GHz帯を使用しているユーザーはコスト面で満足していないケースが多い。920MHz帯でシステムを最適化すれば50%以上のコストダウンも実現可能」と言う。同社はRFチップを開発中であり、さらなるコストダウンを実現したいとしている。

図4●スマートメーターの米国最大手・米Itron社のスマートメーター(テクノアソシエーツが撮影)
図4●スマートメーターの米国最大手・米Itron社のスマートメーター
(テクノアソシエーツが撮影)

 センサネットワークで使用する通信モジュールには、これまで2.4GHz帯などの周波数が利用されていた。920MHz帯は2.4GHz帯と比較して無線チャネ ルの帯域幅が狭くデータ伝送速度の点で劣るものの、電波伝搬に伴う減衰が小さく、2.4GHz帯と比べて長距離伝送が可能で、障害物へ回り込みやすい特性を持つ。高いデータ伝送速度が要求されない用途では 、通信モジュールのコストを削減しつつ、通信回線の品質を向上させることが容易になる。また、同じ距離を伝送する場合、送信電圧を抑圧できるため通信モジュールの消費電力を低く抑えることも可能になる。

920MHz帯近距離通信モジュールが起爆剤に

 こうしたサブGHz帯の特性を生かし、すでに海外では屋外のスマートメーターや工場、病院など障害物の多い場所で、サブGHz帯を使ったM2Mの導入が進んでいる(図4)。一方日本でも、東日本大震災に伴う東京電力の福島第1原発の事故をきっかけに、送配電網のスマートグリッド化が一気に進むとみられる。このため、家庭に設置されるスマートメーターに920MHz帯近距離通信モジュールが普及する可能性が高まっている。

 M2Mは当面、工場での自動化やビルエネルギー管理システム(BEMS)、自動販売機の監視など産業用の分野から導入が徐々に広まるものとみられる。その後、スマートメーターやスマートハウスに代表される家庭向けのシステムへと市場が拡大すると予測される。920MHz帯近距離通信モジュールは、そうした動きの起爆剤になろう。

(大場淳一=テクノアソシエーツ)

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