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東北大とコニカミノルタ、医療向けの位相型X線撮像装置を開発

[2012/11/22]

 東北大学多元物質科学研究所の百生敦教授とコニカミノルタエムジー(東京都日野市)は、位相型X線撮像装置を医療向けの画像診断装置のプロトタイプとして開発し、医療機関と臨床研究を始めたと発表した。

 2012年11月19日に科学技術振興機構(JST)が開催した理事長記者説明会で、中村道治理事長が「最先端の国産計測分析技術の開発」を説明した中で、JSTが推進する先端計測分析技術・機器開発プログラムの具体例として、百生教授が研究開発している位相型X線撮像装置が取り上げられたもの。

 位相型X線撮像装置は、先端計測分析技術・機器開発プログラムの要素技術開発タイプ、機器開発タイプに継続して採択され、現在はプロトタイプ実証・実用化タイプ(2010年〜2013年)に引き継がれて、開発・実用化が進められている。

 位相型X線撮像装置は、X線が物質を透過した時に、約1万分の1と微細な角度で屈折する現象を利用することによって、生体の軟組織などの画像解析ができる計測機器である。「従来のX線透過画像は、ごくわずかな屈折を無視して、骨などを観察してきたが、軟組織が観察できるようになると、ガン診断などが可能になる」と、百生教授は説明する。現行のNMR(核磁気共鳴)装置に比べて、1桁安い医療用計測機器の実用化を目指す計画だ。

 今回、コニカミノルタエムジー開発本部の画像応用開発チームが開発したプロトタイプを利用し、2012年から埼玉医科大学の田中淳司教授のチームが関節リウマチ診断向けに臨床試験を開始した。従来はX線の画像診断では識別できなかった関節部の軟骨が画像診断できるようになった成果である。さらに、今後は名古屋医療センターが乳ガンの画像診断の臨床研究を始める予定だ。

 位相型X線撮像装置は連続X線を照射し、物質を透過したX線の微細な屈折を計測するために、微細な間隔の格子を利用する仕組みがポイントだ。格子は、微細な間隔に、X線を通さない物質を配置したもので、今回はケイ素結晶の上に、半導体デバイスで使うレジストを塗布し、すだれ状のマスクをかけて露光し、すだれ状の溝を作製した。この細長い溝に、金(Au)をメッキし、すだれ状の溝を埋めた。金はX線を透過させない。この結果、X線を格子に照射すると、格子のケイ素部分を透過した格子状の並行X線が観察対象に照射される。観察対象を透過し、微小に屈折した並行X線を、別の格子を透過させると、モアレ現象によって屈折が強調される。このモアレ現象を起こしたX線を、FPD(Flat Panel Detector、平面型検出器)によって、入射したX線を電子に変換し、画像として可視化する。

 連続X線源(X線管は40kV)のすぐ後に、G0と呼ぶ格子を配置する。プロトタイプでは格子は22.8μm周期。また、観察対象の直後に置くG1格子は間隔が4.3μmとした。今回はFPDの直前にG3と呼ぶ格子を置いた。間隔は5.3μm周期である。

 開発した位相型X線撮像装置は3種類の画像を観察できる(得られた観察画像は画像処理される)。第一番目は従来のX線透過画像に相当する吸収画像、二番目は屈折したX線のモアレ現象を利用した微分位相画像、三番目はコンプトン散乱を観察する散乱画像である。散乱画像は、線維組織などを観察できる利点があると説明する。

 コニカミノルタエムジーの長束澄也画像応用開発チームリーダーは「2014年には医療機器として、薬事申請する予定」という。
(技術ジャーナリスト 丸山正明)





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