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「しょうがオイル」に骨代謝のアンバランス改善効果
生姜の世界を広げる辻製油の研究開発

[2012/12/25]

  三重県の製油メーカー辻製油(本社、松阪市嬉野、辻保彦社長)が三重大学と共同で行ったショウガ抽出物に関する研究成果が注目を集めている。
 ショウガは生薬として解熱、鎮痛、抗炎症効果、代謝アップの働きがあることなどが広く知られていたが、今回の三重大学との共同研究では、骨代謝の改善効果があることが示唆された。

 生姜(ショウガ)は、世界各地で生産され、食材、生薬として古来から利用されてきた。近年のショウガブームを背景に全国の生産量も伸び、平成14年に2万3500トンだった国内出荷量は、平成21年には3万9900トンに増加している(農林水産省、野菜出荷統計)。
 ショウガの機能性に関する研究も進んでいる。昔から生薬として利用されてきたなかで、解熱、鎮痛、鎮咳、抗炎症効果などが広く知られており、また、体温を上げ、代謝をアップさせることから冷え症対策になると女性誌などで特集が組まれるなど、多くの女性からショウガ関連商品は支持を受けている。

 三重県の辻製油は、とうもろこし、なたね等から食用油を製造している製油メーカーだが、独自の抽出・精製技術を駆使して大豆レシチン、とうもろこし胚芽由来のセラミドといった機能性素材を数多く製造し、健康食品、化粧品メーカー等に供給している。平成21年からは、グループ子会社の「うれし野ラボ」を通じて自社ブランド商品の販売も開始している。

 また、三重大学と共同で行ったショウガ抽出物(しょうがオイル)の機能性研究が注目を集めている。研究の対象となったのは、当社独自の抽出技術で製造された「しょうがオイル」。
 当社の「しょうがオイル」は、前処理として一般的に行われている乾燥を行わずに低温での抽出を行っているために、生姜特有の辛み成分と香りを持ち合わせた力価の強いオイルに仕上がった。成分分析(HPLC分析)をおこなって見ると、生姜本来の辛みや香りの主成分であるジンゲロールなどを高濃度で含むことがわかった。ごく微量で生姜の爽やかな香気を生み出すことから、天然由来の食品向け香料として利用が広がっている。

三重大学との共同研究で骨代謝の改善効果を確認

 今回の三重大学との共同研究は、第59回日本食品科学工学学会で学術報告されたものだが、本研究を通じて、辻製油が抽出した「しょうがオイル」に骨粗鬆症等の原因となる骨代謝異常を改善する作用があることが示唆された。

 この研究では、マウスの骨芽細胞様細胞株(MC3TE-E1)および破骨細胞分化モデルとしてマウスマクロファージRAW264.7細胞に「しょうがオイル」を加え、骨芽細胞の石灰化促進効果と破骨細胞の分化抑制効果を検証した。
 その結果、石灰化促進作用については、「しょうがオイル」は濃度依存的に骨芽細胞の石灰化を促進し、6-ショウガオール、6-ジンゲロールといった代表的なしょうが関連成分には同等の効果が認められず、それ以外の成分にこの機能性があることが推定されている(図1)。

 また、「しょうがオイル」には、破骨細胞の多核化を抑制するとともに、細胞融合に必須の因子DC-STAMPの発現を抑制することで、破骨細胞の活性化を抑制し、骨量を増加させる可能性が確認された(図2)。ショウガと骨との関わりについては、ショウガの抗炎症作用が、変形性関節炎やリウマチ痛を和らげる働きがあることなどが報告されているものの、骨代謝に関与している可能性を示唆する研究は、ほとんどないことから、辻製油、三重大学の発表は関心を集めている。

図1●しょうがオイルは濃度依存的に骨芽細胞の石灰化を促進 AR染色領域定量結果(データ提供:辻製油)
図1●しょうがオイルは濃度依存的に骨芽細胞の石灰化を促進
AR染色領域定量結果(データ提供:辻製油)
図2●しょうがオイル処理で破骨細胞の多角化が抑制され骨量が増加する DC-STAMP(破骨細胞融合因子)の発現が減少(データ提供:辻製油)
図2●しょうがオイル処理で破骨細胞の多角化が抑制され骨量が増加する
DC-STAMP(破骨細胞融合因子)の発現が減少(データ提供:辻製油)

 「しょうがオイル」が骨代謝を改善する作用メカニズムは、まだ解明されていない。今後は、動物実験などを通じて、ショウガと骨代謝の関係について更に研究を深めていきたい」(辻製油第一研究室長 籠谷和弘氏)と話す。

 現在、「しょうがオイル」は、主に食品メーカー向けの香料として商品供給されているが、辻製油では、自社製品として「かける生姜」を製品化した(図3)。これは、当社の「しょうがオイル」を粉末顆粒に加工し、ショウガの風味を簡単に楽しめる調味料にしたもの。また、この製品と同じ製造方法で「かおる柚子」を10月19日に新発売した(図4)。冷や奴や煮魚、吸い物、また、紅茶などの飲み物などにもふりかけるだけで清新な生姜、柚子の香りが立ち上がる。

図3●辻製油「かける生姜」
図3●辻製油「かける生姜」

 
図4●辻製油「かおる柚子」(2012年10月19日新発売)
図4●辻製油「かおる柚子」
(2012年10月19日新発売)

 「生姜は、今や日本の食文化を支える素材のひとつ。三重大学との共同研究で骨代謝との関わりが示唆され、ショウガの機能性が更に広がる可能性が生まれた。今後も研究開発を更に進めてショウガの世界を広げていきたい」と辻保彦社長は抱負を語る。

説明資料ダウンロード
辻製油 「かける生姜」「かおる柚子」商品資料


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