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NEDO支援ベンチャーが、都市油田の活用を可能にする
バイオマス・リサイクル燃料の実証実験を開始


[2013/1/8]

 三重県のベンチャー企業、グローイングジャパン(本社:伊賀市、伊藤文社長)は、ボイラー用バイオマス・リサイクル燃料「NEF(New Energy Fuel)」を開発し、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の新エネルギーベンチャー技術革新事業の委託を受け、2012年7月から三重大学と共同で実証実験に取り組んでいる。
 グローイングジャパンが開発したバイオマス・リサイクル燃料は、使用後のてんぷら油等、廃食用油を回収し、独自の添加剤を用いて重油や灯油と混合させ、ボイラーやディーゼル発電機の燃料として再活用するというもの。経済性が高く、植物油を利用することからカーボンニュートラルなエコ燃料として注目を集めており、今回の実証実験を通じて実用性が実証されれば、地域循環型のバイオマス発電事業を立ち上げる予定だ。

  世界的な原油価格の高騰や東日本大震災以降の省エネ志向の高まりから、石油代替燃料に対する関心が高まっている。例えば、重油・灯油と水を乳化剤を用いて混合させたエマルジョン燃料、あるいは植物由来の油や廃食用油から作られるバイオ・ディーゼル燃料(軽油代替燃料)等がこれまで注目されたが、いずれも実用化の面で壁に突き当たっている。これらの代替燃料は、CO2を削減するという面ではメリットがあるものの、精製加工によりコスト高になったり、不純物が残存することによりエンジンの腐食や故障が発生することが問題となっていた。
 グローイングジャパンのボイラー用バイオマス・リサイクル燃料「NEF」は、こうした代替燃料のデメリットを解消するものとして期待されている。NEFの製造プロセスはいたってシンプルで、燃料油(重油、軽油等)に当社が開発した界面活性剤を含む添加剤と廃食用油を混ぜ、攪拌するだけ。廃食用油に含まれる不純物が核となって油滴が26.5nm〜28.7nmにまで微粒子化され燃焼効率が向上し、完全燃焼が実現する(図1)。完全燃焼することで不純物が残らないので燃料としての信頼性も高まった。

図1●NEF 製造から燃焼までの仕組み: イメージ図(グローイングジャパン作成)
図1●NEF 製造から燃焼までの仕組み: イメージ図
(グローイングジャパン作成)

 廃食油を回収して、バイオ・ディーゼル燃料(BDF)としてリサイクルする取り組みも各地で始まっているが、「廃食油を燃料として使えるまでに精製するための専用装置を設置したり、様々な添加剤を使用しなければならず、結果的にコスト高となり、化石燃料に対して競争力がないのがネック」とグローイングジャパンの伊藤文代表取締役社長は指摘する。
 「環境貢献事業として廃食油をリサイクルしたBDF事業に取り組むことの意義はありますが、結果的に化石燃料より高くつくものを買ってくださいというのではビジネスとしては成立しない」(伊藤文社長)と考え、当社では燃料油に廃食用油を混合させる現在のNEFを開発したという。

都市には、年間10万トンのミニ油田が存在する

 廃食用油は、国内から年間で約45万トン余り発生している(全国油脂事業協同組合調べ)。
その内、事業所から発生している35万トンについては、リサイクルが比較的進んでいるものの、残りの一般家庭から出ている10万トンについては、廃棄されるだけでほとんど手つかずの状態という。見方をかえれば、日本には、年間産油量10万トンの「ミニ都市油田」が存在していることになる。
 この「ミニ都市油田」を掘り当て事業化することを目指して、2008年にグローイングジャパンは設立された。燃料油に廃食用油を混合させるだけのシンプルな製造法のNEFを開発したことで、コスト競争力が生まれ、一般的な産廃業者に比べ倍近い価格で廃食用油を買い取り、それをリサイクルしNEFとして一般の燃料油よりも低価格で販売できる、現在のビジネスモデルを確立した。こうしたビジネスモデルが評価され、2011年、当社は独立行政法人中小企業基盤整備機構主催「大学発ベンチャービジネスコンテスト」で準グランプリに選出された。

 三重県松阪市の地元でガソリンスタンドを経営する山室石油、山本清社長は、今秋からNEFの事業への参画することを決めた。
 「会社設立当初から、グローイングジャパンのNEF事業には注目していたが、三重大学との共同研究を進めるなど技術面での信頼性が高いことが評価できた。また、弊社は地元での灯油販売等を通じて一般家庭向けルート、および重油・軽油等を事業者に販売する企業向けルートの両方を持っているので、NEF事業に取り組むことで廃食用油の回収およびNEFのボイラー燃料として販売するという、両面から本事業に取り組むことができる」と本事業への参画メリットを山本社長は説明する。
 グローイングジャパンでは、こうした事業パートナーを、地元だけでなく、大阪、東京でも求めていく予定で、2012年10月より大阪、東京事務所も開設した。

地域バイオマス発電事業にも進出

  2012年7月から開始された、三重大学と共同で行うNEDOの実証事業では、NEFを小型ボイラーの実機で長期使用することで、ボイラー効率や設備に対する影響度などを検証することとなっている。この実証試験が完了した後には、小型ディーゼル発電機を使用し、地域のバイオマス発電事業としての事業性を検証する実証事業も予定されているという。
 日本でも2012年7月からFIT(Feed in Tariff:再生可能エネルギー電力全量固定価格買取制度)が導入されたことで、発電事業にかつてない追い風が吹いている。この機会をとらえて「地域のバイオマス原料から製造されたNEFを燃料に小型ディーゼル発電機による発電事業を成立させることができれば、エネルギーの地産地消というビジネスモデルを地域産業として成立させる道が開ける」と伊藤文社長の夢は広がる。

(テクノアソシエーツ:加藤芳男)
説明資料ダウンロード
グローイングジャパン(株) NEF事業概要・提案資料


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