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直径100〜200nmの微細気泡、ウルトラファインバブルが広範な産業で応用へ
業界団体設立や国際標準化で産業発展のスタートラインに

[2014/1/17]

 水に分散して長期間浮遊する目に見えない直径100〜200nmの微細気泡、いわゆるウルトラファインバブルが注目を集めている。2012年7月には同技術の産業化を促進し、定義、計測方法また応用方法のISO国際標準化を推進するため、ファインバブル発生装置、計測器メーカーやユーザー企業が中心となり微細気泡産業会が設立された。微細気泡の発生装置や利用技術は世界的に見ても日本が圧倒的に進んでおり、ファインバブル技術は将来グローバルな基幹産業へ発展する可能性を秘めている。経済産業省も同技術の基盤技術の確立と国際標準化を支援する委託事業に乗り出している。2013年12月には京都で微細気泡産業会と産業技術総合研究所が主催する「第2回ファインバブル国際シンポジウム」も開催された。

 微細気泡が注目を集める理由は応用範囲の広さとその効果にある。電子産業分野、洗浄分野、医療・薬品分野、健康分野、農業・水産分野、食品・飲料分野などで応用技術の開発や利用が進んでいる。例えば、電子産業分野では、太陽電池ウエーハの枚葉剥離装置が実用化されている。剥離槽にウルトラファインバブルを分散することで、密着したウエーハ間に微細気泡が入り込み、ウエーハに衝撃を与えず1枚ごとに剥離し搬出することが可能になる。また農業分野ではレタスやイチゴ、トマトの水耕栽培などにウルトラファインバブル水を使用することで、収穫量がアップすることなどが報告されている。

図1●微細気泡産業会でISO国際標準化を主導するIDEC 常務執行役員 技術戦略本部長、IDECグループC.T.O.の藤田俊弘氏(テクノアソシエーツ撮影)
図1●微細気泡産業会でISO国際標準化を主導するIDEC 常務執行役員 技術戦略本部長、IDECグループC.T.O.の藤田俊弘氏
(テクノアソシエーツ撮影)

 これまでにもファインバブルを発生する装置や応用製品はあった。ところが気泡径や気泡密度などの計測方法が確立されておらず、科学的な裏付けが乏しかった。こうした状況を変えたのが計測技術の進歩である。島津製作所や大塚電子、英Malvern Instruments社、英NanoSight社、独Sympatec社からナノオーダーのバブルを計測可能な装置が次々と発売され、ファインバブル水中に直径100〜200nmのウルトラファインバブルが数十億個/ml存在することを計測できるようになってきた。中でもMalvern Instruments社によって開発された「Archimedes」のインパクトは大きかったと、微細気泡産業会で国際標準化を主導するIDEC 常務執行役員 技術戦略本部長、IDECグループC.T.O.の藤田俊弘氏(図1)は語る。Archimedes は「Resonant Mass Measurement」と呼ぶ計測方法を活用した装置で、水中に分散するナノオーダーの粒子が固体粒子か気体粒子かを直接判別できる(図2)。こうした計測技術の進歩によってファインバブルの直径や密度と、ファインバブルが生み出す効果との相関関係が科学的に測定できるようになり、ファインバブル技術は一つの産業へ発展する基盤が整備され始めた。

図2●英Malvern Instruments社「Archimedes」のMEMSを使ったResonant Mass Measurement法(出所:微細気泡産業会資料)
図2●英Malvern Instruments社「Archimedes」のMEMSを使ったResonant Mass Measurement法
(出所:微細気泡産業会資料)
流路を通ってウルトラファインバブルが振動板の先端に到着すると、振動板の固有周波数が変化する。固体粒子の場合長周期側へ、気体粒子の場合短周期側へシフトする。この変化を利用して粒子の種類や径、密度などを測定する。

 このようなファインバブルの技術動向を反映し、今後20年間でファインバブルの関連市場が大きく伸びるとの予測も出てきている(図3)。2010年のファインバブル国内市場規模は200億円だった。それが2020年には4,300億円と急拡大すると調査会社のベンチャーラボは予測する。また同社の調査によれば、世界市場規模は2020年に4兆4300億円になる。ちなみに2010年は1,260億円だった。今まさにファインバブルが一つの産業として大きく発展するためのスタートラインに立ったと言えよう。

図3●ファインバブルの国内、世界市場規模(出所:微細気泡産業会資料)
図3●ファインバブルの国内、世界市場規模 (出所:微細気泡産業会資料)

ISOへファインバブル技術に関する専門委員会の設立提案

 2012年に発足した微細気泡産業会(FBIA)にはIDECをはじめ、資生堂、島津製作所、シャープ、西日本高速道路、パナソニック、キユーピーなど、発生・計測装置メーカーからユーザー企業まで国内外の37社が参加している。現在FBIAは経済産業省の支援を受けファインバブルの国際標準化に取り組んでいる。ファインバブル技術を一つの産業へ発展させるためには、その定義、測定方法、性能の評価方法などの標準化や認証方法などの確立が不可欠である。ファインバブルやその技術を明確に定義しなければ、様々な事業者がそれぞれの解釈でファインバブル製品の性能を謳いユーザーの混乱を招きかねない。ファインバブル技術の標準化を推進するIDECの藤田俊弘氏は「光触媒が産業として発展できた理由の一つは評価技術のISO標準化を推進したことにある。光触媒が出てきた当初、まがい物も多数あった。評価技術を確立させたことによってそうしたものを駆逐できた」と言う。

 2013年2月にFBIAは、迅速な国際標準化の提案を図る経済産業省のトップスタンダード制度を利用して、日本工業標準調査会(JISC)から国際標準化機構(ISO)へファインバブル技術に関する専門委員会(Technical Committee)の設立を提案した。微細気泡産業会が目指す国際規格体系は、@基本規格、A計測方法規格、B個別応用規格の3階層構造から成る(図4)。第一階層の基本規格はファインバブル技術に関する共通基本要素の規格である。気泡径、気泡密度、液中滞在時間などを定義する。第ニ階層の計測方法規格では、レーザー回折・散乱光法、ブラウン運動トラッキング法、電気的検知帯法など複数の手法によるファインバブルの計測方法を規定する。第三階層の個別応用規格では、特定の産業分野におけるファインバブル応用技術要件を規定する。個別応用規格はファインバブルの応用範囲の広さを反映し、広範な産業分野に及ぶ。具体的には、食品、飲料水、化粧品、医療、薬品、農業栽培、洗浄、トイレ洗浄、土壌洗浄、除染、水処理、化学、液晶・半導体・太陽電池製造、新機能材料製造などである。

図4●微細気泡産業会が目指す国際規格体系(出所:微細気泡産業会資料)
図4●微細気泡産業会が目指す国際規格体系 (出所:微細気泡産業会資料)

 経済産業省もこうした動きを積極的に支援している。2014年度の予算でファインバブル基盤技術研究開発事業として2億円の枠を設けている。同省は支援策を通して、工業利用・農業利用など幅広い応用が期待されるファインバブルに関して、原理研究、用途開拓、国際標準化の一体的推進を図り、基盤技術を確立するとしている。2013年12月に京都で開催された「第2回ファインバブル国際シンポジウム」も2013年度の経済産業省委託事業の一環として開催された。

説明資料ダウンロード
「超微細気泡生成技術GALFの原理と環境分野でのアプリケーション」
ウルトラファインバブル発生装置「UltrafineGALF」 説明資料
農業・植物工場向け「agriGALF」

(IDEC社 提供)


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