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1mL あたり1.0×109個以上のナノバブルを発生できる装置が登場
ウエーハ枚葉剥離装置、水耕栽培システムなどへ広範な分野へ応用

[2014/1/21]

 ファインバブルとはマイクロバブルとウルトラファインバブルの総称として定義されている。マイクロバブルは径が1〜60μmの気泡である。マイクロバブルを含む水は白濁する。マイクロバブルは水中を非常に遅い速度で上昇し、水面に到達するまでに消滅することがある。一方ウルトラファインバブルは径が1μm以下(100〜200nmが多い)の気泡である。マイクロバブルと異なり、ウルトラファインバブルを含む水は白濁せず透明である。また、一旦生成したウルトラファインバブルは水中で数ヶ月間消滅せずに浮遊していることが確認されている。

 ウルトラファインバブルの生成には四つの方式がある。@加圧溶解方式、A高速旋回液流方式、B界面活性剤添加微細孔式、C超音波キャビテーション方式である。前2者は液体中にマイクロバブルを生成し、マイクロバブルをベースにウルトラファインバブルを生成する方式である。液体中にマイクロバブルを生成し、適切な条件でマイクロバブルを急速溶解させて過剰なマイクロバブルを浮上分離すると、残った透明液にはウルトラファインバブルが含まれる。後の2者はウルトラファインバブルを直接生成する方式である。

 多くの装置メーカーからウルトラファインバブルの生成装置が発売されている。中でも高濃度なウルトラファインバブルを発生可能なIDECの「UltrafineGALF(Gas Liquid Form)」方式(図1)を通してその生成方法について見てみよう。UltrafineGALFは加圧溶解方式に分類される。ポンプなどの圧送手段でベンチュリー管状の流路に形成されたのど部に液体を圧送して液体の静圧を低下させる。気体吸引部分をのど部の平行管路に設け、気体を吸引させて気液混相流を形成する。加圧部で管路を徐々に拡大することにより、気液混相流は流速が減少し静圧が上昇する。静圧が上昇した気液混相流は、下流の加圧部で気体が液体に溶解することで加圧水を形成する。加圧水は、管路出口に設けられた減圧部で流速が上昇して静圧が減少することで、溶解している気体が過飽和状態となる。気液溶解管路の流速・圧力などの最適化、管路出口の減圧部分に平行部を設けて減圧時の流速を安定させるなどの工夫で、UltrafineGALFは1mL あたり1.0×108 〜109個程度のウルトラファインバブルを容易に発生でき、また装置改良により1mL あたり1.0×1010個発生できているとIDECは言う。

図1●IDECの「UltrafineGALF」のファインバブル発生機構(出所:IDEC)
図1●IDECの「UltrafineGALF」のファインバブル発生機構(出所:IDEC)

ファインバブルの効果を実証

図2●太陽電池ウエーハ枚葉剥離装置(出所:IDEC)
図2●太陽電池ウエーハ枚葉剥離装置(出所:IDEC)

 ファインバブル水は広範な分野での応用が可能だ。図2が冒頭で紹介したウルトラファインバブルを応用したIDECの太陽電池ウエーハ枚葉剥離装置である。太陽電池ウエーハは粗洗浄後、複数枚重なったスタック状態で供給される。太陽電池ウエーハは、太陽電池のコストダウンの必要性から急速に薄厚化が進んでいる。このため超音波を使った枚葉剥離中にウエーハが割れることがあった。ウルトラファインバブルを活用した太陽電池ウエーハ枚葉剥離装置を導入することでウエーハが割れるという問題を解決できた

 太陽電池ウエーハ枚葉剥離装置は次のように動作する(図3)。カッテング粗洗浄後のウエーハスタックを枚葉剥離槽に降下させる。枚葉剥離槽内にウルトラファインバブルを発生させると、ウエーハ間にウルトラファインバブルが入り込み気泡層を形成する。十分な気泡層が形成された後、ウエーハスタックを90度旋回させる。その後ローラで1枚ごとにウエーハを搬送する。各ウエーハの隙間に形成された気泡層がクッションの役割を果たし、ウエーハに衝撃を与えずに剥離を行うことができる。

図3●太陽電池ウエーハ枚葉剥離装置の動作(出所:IDEC)
図3●太陽電池ウエーハ枚葉剥離装置の動作(出所:IDEC)

 このほかにもIDECはウルトラファインバブル水を利用した水耕栽培システムの開発を進めている。図4は同社が開発中のレタスの水耕栽培システムを示している。水温の上昇を抑え、水中の酸素濃度の高濃度化とウルトラファインバブルの供給を実現できる装置「agriGALF」を開発し、実験を行った。@はレタスの成長に必要な液肥成分と調整した養液容器である。@の養液をAのagriGALF装置へ流入させてウルトラファインバブル水を生成する。生成したウルトラファインバブル水を@の養液容器に戻し、貯蔵する。ウルトラファインバブル水をBのポンプで圧送し、Cのレタス栽培ベンチに送る。その後ウルトラファインバブル水をDから流出させ、@の養液容器へ戻し、循環させる。

図4●レタスの水耕栽培システムとその効果(出所:IDEC)
図4●レタスの水耕栽培システムとその効果(出所:IDEC)

 栽培条件を同一にし、ウルトラファインバブル水と水道水を使ってそれぞれレタスを栽培した。播種後栽培50日目のウルトラファインバブル水と水道水の違いによるレタスの成長差を調べたところ、水道水を使った栽培と比較してウルトラファインバブル水で栽培したレタスは葉部の重さで271%、根部の長さで147%大きい値が得られた。レタスの栽培にウルトラファインバブル水を利用することで葉や根の成長が促進されることが明らかになったとIDECはしている。同社はレタス以外の葉菜類10種についても実験し、ウルトラファインバブル水の成長促進効果を確認できたとしている。

ファインバブルの効果の理論的解明が課題

 ファインバブルは分野横断的な産業へと発展する可能性を秘めている。すでに応用も進んでおり、広範な分野でその効果も明らかになりつつある。「次のステップとしてファインバブル水の効果を理論的に解明することが求められる」(IDECの藤田俊弘氏)。計測技術の進歩と国際標準化によって研究者が信頼性の高いデータを取得できようになり、今後理論的解明も進展することが期待される。

説明資料ダウンロード
「超微細気泡生成技術GALFの原理と環境分野でのアプリケーション」
ウルトラファインバブル発生装置「UltrafineGALF」 説明資料
農業・植物工場向け「agriGALF」

(IDEC社 提供)


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