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Amazon vs Google、AI×自然言語対話型インタフェースは究極の囲い込みツール

[2016/6/28]

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 人工知能(AI)を活用した自然言語対話型インタフェースが注目を集めている。AmazonやGoogle、Apple、MicrosoftといったICT企業から製品が登場している。

2015年11月発売の円筒型人工知能スピーカー「Amazon Echo」
2015年11月発売の円筒型人工知能スピーカー「Amazon Echo」
(出所:Amazon リリース)

 特にその中でも昨年11月に米国で発売された「Amazon Echo」が人気を集めた。発売2週間で100万台を突破するなど、Appleの初代iPhoneを超える勢いだった。
 Amazon Echoはインターネットにつながった円筒型人工知能スピーカーである。価格は約180ドル。サイズは500mlのペットボトルより一回り大きい。もちろんAmazon Echoは単なるスピーカーではない。自然言語を使う対話型インタフェースを備えたデバイスだ。Amazon Echoに、愛称である「Alexa」と呼びかけると会話を始められる。ユーザーは会話を通してストリーミング音楽の再生、オーディオブック朗読、Wikipediaの検索、タイマー/アラームの設定などを行える。例えば、「Alexa、Who is Obama」と呼びかけると、Amazon Echo はWikipediaを検索し、Obama大統領の基本情報を読み上げる。Amazon Echoには7つのマイクを内蔵されており、あらゆる方向の音声を認識できる。
 家庭内にAmazon Echoが置かれ、Eコマースのアシスタントとして活用されることをAmazonは想定している。

 一方Googleは、2016年5月にAmazon Echoと同様のコンセプトの「Google Home」の製品化を発表した。リリースは今年後半の模様だ。Google Homeの中核をなすのが自然言語対話型インタフェースを備える「Google Assistant」である。人工知能を活用し、ユーザーとの会話を通してその人の性格や嗜好、行動パターンを学習し、会話に反映させていく。

 iPhoneで「Siri」と呼ぶ自然言語対話型インタフェースをいち早く実現しているAppleも、家庭内に設置する自然言語対話型インタフェースのアシスタント端末を開発中との情報がネットを賑わせている。まだ何も報じられていないものの、スマートフォンやパソコンで「Cortana」と呼ぶ自然言語対話型インタフェースを展開するMicrosoftも、こうした動きに追随してくる可能性はある。

AIは人間らしさを生み出せるまで進化

 こうした名だたるICT企業が、なぜいま雪崩を打って自然言語対話型インタフェースを備えた家庭用アシスタント端末に参入しているのか。その答えが「AI×自然言語対話型インタフェースによるユーザーの囲い込み」ではないかと考えられる。
 家庭用アシスタント端末とユーザーが会話すればするほど、その裏にある人工知能はユーザーの性格や嗜好、課題、ニーズといった情報を蓄積することができる。その蓄積情報を分析することによって、ユーザーが欲しいと考える情報・製品を提供できるようになる。ときには、ユーザーさえ気づいていない潜在的なニーズを掘り起こすことも可能になるだろう。
 また、会話を通して人工知能そのものにユーザーが人格を感じることさえ起り得る。家庭用アシスタント端末、その裏で動く人工知能はユーザーにとって有能な秘書であり、親しい友人であり、自分を最もよく理解してくれる恋人であるとの錯覚を生じさせる可能性さえある。

 自己学習という機能を手にした人工知能は、そのポテンシャルを十分持っている。そのことを象徴するような事例がある。この5月にNHK(日本放送協会)で放送されたNHKスペシャル「天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る」の中で紹介されたチャットボット「シャオアイス」である。
 シャオアイスは中国で展開されているスマートフォン用のチャットアプリで、ユーザーはテキストでアプリと知的な会話を楽しむことができる。北京のMicrosoft Research Asiaが開発した。すでに4000万人のユーザーがいるという。人気の秘密は、ユーザーが投げかけたチャットに対してアプリが定型パターンのチャットを返信するのではなく、ユーザー一人ひとりに合わせたチャットを展開できるところにある。その結果、ユーザーはシャオアイスを人格が備わった人間と錯覚し、結婚したいという感情まで抱く。この事例は、AI×自然言語対話型インタフェースの技術が人間らしさを生み出せるようになるまで、あるいはそれ以上に進化していることを示している。

 いま、AI×自然言語対話型インタフェースを通して、より深い個人の情報を獲得し、その分析によって消費者市場を押さえようとする企業間競争が始まろうとしている。今後Amazon Echoのようなアシスタント端末が家庭に普及した場合、その裏で動く人工知能はユーザーにとって秘書あるいは友人、恋人となり、聞きたい情報、欲しいもの、健康や心の悩み等を相談できる無二の相手になるだろう。こうしたユーザーと人工知能の関係がいったん時間をかけて形成されてしまうと、そこに他社の人工知能が入り込む余地はなくなる。まさに「AI×自然言語対話型インタフェースは究極の囲い込みツール」と言うことができよう。

宮崎信行=テクノアソシエーツ


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