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コラーゲンの用途開発を強化、新田ゼラチン
シンポジウムで専門家による最新エビデンスを報告

[2016/11/24]

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 新田ゼラチンは、2016年10月4日、コラーゲンの研究成果を発表するコラーゲンペプチド・シンポジウムを2年ぶりに開催した。美肌素材の代名詞として市場を牽引するコラーゲンだが、近年では骨や血管、生活習慣病など、多様な機能性に注目が集まる(関連記事)。
 シンポジウムを主催する新田ゼラチン代表取締役社長の尾形浩一氏は、「機能性表示食品制度の導入、インバウンド市場の拡大などが追い風となり、コラーゲンペプチドの市場は活性化している。ヨーグルトやノンアルコールビールなど一般食品への採用も広がりを見せている。市場拡大に向け、新たな用途につながるエビデンス開発を主導していきたい」と意気込みを見せる。
 シンポジウムのファシリテーターを務めた日経BPヒット総合研究所上席研究員の西沢邦浩氏は、「コラーゲンペプチドの効果を体感する消費者は多く、市場の成長を支えている。近年は、作用メカニズムの解明に加え、従来の肌や骨以外にも、セルライト改善や血糖値抑制、筋力増強、髪質改善、寿命延長など、多様なエビデンスが報告されている」と開発動向を概観する。
 同シンポジウムからコラーゲンの最新動向を報告する。



見た目年齢、肌年齢、体年齢から考えるアンチエイジング

 2006年に国立大学初のアンチエイジングドックを開設した愛媛大学附属病院抗加齢予防医療センターの伊賀瀬道也氏は、「アンチエイジングドック受診による健康維持の重要性および最新のコラーゲン研究成果について」と題して講演。2009年に発表された双子研究を事例に「見た目年齢が、その後の死亡率や認知機能などに影響することが報告されている。見た目が老けていると、体自体が老けている可能性がある」(伊賀瀬氏)と指摘。アンチエイジングドックで評価した体年齢と見た目年齢の比較解析を実施した。
 体年齢は、頚動脈エコーで測定した血管の動脈硬化度(血管年齢)を指標に評価。見た目年齢は、肌診断装置であるロボスキンアナライザーで撮影した顔写真を、20名の評価者が評価した。その結果、血管年齢が高いほど見た目年齢が高く、両者に相関があることを確認した(Geriatr Gerontol Int.12(4),733-40,2012)。
 次に肌年齢と体年齢についても評価。シミの面積やシワの数・長さといった皮膚ドックの検査項目と血管年齢を比較。シミの面積と体年齢に相関関係があることを確認した(Skin Res Technol,22(1),20-4,2016)。
 「シミと血管年齢をつなぐ要素を調べると、内臓脂肪が浮かび上がってきた。仮説段階だが、内臓脂肪の増加が体内のたんぱく質の糖化を促進し、メラニン産生に関与するエンドセリン1を増やしている可能性がある」(伊賀瀬氏)と見る。
 糖化とは、コラーゲンをはじめとする体内のたんぱく質に糖が結合し、異常たんぱく質に変わってしまうこと。糖化したたんぱく質である糖化最終生成物(AGEs)は、本来の機能を失い、肌や体の老化を加速させる。糖尿病や皮膚の老化、動脈硬化、アルツハイマー病などの一因になるといわれている。
 「糖尿病では、血管中膜のコラーゲンの糖化が見られる。一般的に糖尿病患者は老けて見え、糖化が見た目年齢に影響を与えている可能性がある。糖化は紫外線より、食事など内部因子の影響が大きい。AGEsは焼き目のついた食品に多いので、揚げ物や炒め物ではなく、ゆで料理や蒸し料理を中心にする、皮膚や血管の構成成分であるコラーゲンを適切に摂取するなど、生活習慣を改善していくことが大切になる」(伊賀瀬氏)と日々の生活の改善を勧める。


コラーゲン特有のジペプチドが傷んだ組織を修復

 京都大学大学院生命環境科学研究科教授の佐藤健司氏は「皮膚再生における内因性及び食事由来コラーゲンの役割」と題して講演した。
 「2005年にコラーゲンペプチドを口から摂取すると血中に移行することを報告した(J Agric Food Chem 53(16):6531-6, 2005)。中でも、2つのアミノ酸が連なったコラーゲン特有のジペプチド(ジは2つという意味)である、プロリル・ヒドロキシプロリン(プロリンとヒドロキシプロリンが結合/Pro-Hyp)やヒドロキシプロリル・グリシン(ヒドロキシプロリンとグリシンが結合/Hyp-Gly)が特徴的に血中に存在する。難消化性のコラーゲンペプチドの血中移行は、それまでの栄養学の常識の大きな転換だった」と振り返る。
 同氏は、コラーゲンペプチドが皮膚の再生に大きく関与していると見る。「皮膚や組織が炎症すると、生体にもともと存在するコラーゲンが分解され、Pro-Hypが生じている可能性がある。マウスの実験では、炎症部位において、4時間程度でコラーゲンの再合成と分解が劇的に進行している可能性示した(Biosci Biotech Biochem.79,1356-61,2015)」(佐藤氏)。
 Pro-Hypに代表されるコラーゲンペプチドが線維芽細胞の増殖を促進。コラーゲンなどの細胞外マトリックス成分の産生を促し、組織を修復すると考えられる。
 「実際に、褥瘡(床ずれ)患者や50歳前後の女性を対象に、コラーゲンペプチドを摂取した試験では、褥瘡の治癒を早めたり、皮膚の弾力やシワを改善したりすることが報告されている。肌に損傷や老化などのダメージを持つ人では、サプリメントや機能性食品を通じたコラーゲンペプチドの補充で、アンチエイジング効果を得やすい可能性がある」(佐藤氏)と話す。


骨・関節への機能性を健康寿命の延伸に役立てる

 一方、骨・関節という観点から、「コラーゲンペプチドの骨・関節における働き」と題して講演したのが城西大学薬学部食品機能学教授の真野博氏だ。同氏は、高齢化が進む中、高齢者のQOL(生活の質)改善につながる栄養研究を進めており、5大栄養素、食物繊維に続く、第7の栄養素として食品機能性成分に着目。中でもコラーゲンペプチドの有する生理活性に期待する。
 コラーゲンは骨の20%を占め、硬くてしなやかな骨を作るのに重要な成分と言われる。骨折や転倒による骨や関節の衰えは、高齢者の介護の誘因となる。その予防は健康寿命の延伸に役立つと期待される。
 「骨は、骨を壊す破骨細胞と骨を作る骨芽細胞によって毎日作り替えられ、1年に10%が入れ替わっている。こうした骨の“リフォーム”には、カルシウムの他、コラーゲンやビタミンD・Kなどの栄養成分が必要となる。カルシウムのみでは、硬いだけで折れやすい骨になってしまう。コラーゲンやビタミン類を摂取し、骨の質を高めることが重要なアプローチになる」(真野氏)と話す。
 活性型コラーゲンペプチドとして骨芽細胞に作用していると見られるのがPro-Hypだ。「骨芽細胞の分化には、FOXG1やRunx2遺伝子などが関与している。Pro-HypはFOXG1と結合し、核内に移行。Runx2発現のスイッチを入れ、骨芽細胞の分化を促すと考えられる」(真野氏)。
 また、箱根駅伝への出場でも有名な同大の陸上部部員を対象としたコラーゲンペプチドの摂取試験では、トレーニング期における血中酸化ストレスマーカーや炎症マーカーの減少を確認。「過度な運動をしているアスリートでは、コラーゲンペプチドの摂取が怪我予防につながる可能性があり、今後検証していきたい」(真野氏)とした。


専用ラボでコラーゲンペプチドの用途開発に力

 では、どの程度のコラーゲンペプチドを摂取すればよいのだろうか。
 「肌を対象としたこれまでの試験の多くは1日5g以上の摂取が中心だったが、3g程度でも効果があることが分かってきた」というのは、今回のシンポジウムを主催した新田ゼラチンペプチド事業部主任の小泉聖子氏。「コラーゲンペプチドの美肌効果とメカニズムについて」と題した講演の中で、「コラーゲンペプチドを3g配合したドリンクの摂取で、シワ、保湿性、弾力性、ハリの改善効果が確認された」(小泉氏)と同社が実施したヒト試験の結果を発表した。
 コラーゲンペプチドが、真皮の線維芽細胞の増殖を促進し、ヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチンの産生を促進するとともに、表皮ではアクアポリンやヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現を活性化。結果として肌の水分量や弾力性を向上し、シワの改善につながったと見られる。
 「エラスチン産生促進剤、美白促進剤、アトピー性皮膚炎改善剤として特許を出願している。我が社では、『東京アプリケーションラボ』を設置しており、コラーゲンペプチドを含む様々な商品の用途開発に力を入れていく」(小泉氏)と話し、今後、同社ではメーカーへの提案力を強化していく方針。


新田ゼラチン社 コラーゲンペプチド 機能性研究情報サイト「Wellnex」


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