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従来2〜3時間かかっていたデータ処理作業を数分で実行可能な
故障検出・予知IoTシステム「conandesse」

[2016/12/26]

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 工場に導入されたIoTを通して収集された大量のセンサデータの仕分けや異常値の上限、下限を簡易に設定できる解析判定機が登場した。三重県のエンジニアリング会社中山水熱工業が開発した「conandesse」である(図1)。「conandesseは、これまで技術者が2〜3時間かけて行ってきた収集データの前処理作業をわずか数分で処理することができる。異常を検知するための上限データや下限データの設定も、取得したデータを可視化することによって簡易に実行できる」と、同社代表取締役社長の中山慎司氏(写真)は説明する。

 現在、多くの工場でIoTの導入が進められている。工作機械にセンサを取り付け、駆動モータの電流値や油圧装置の圧力等のデータが取得されている。取得されたデータは生産される部品の品質管理や工作機械の保全管理、故障検知・予知に活用される。概念的にはIoTデータは極めて容易に活用できるように見受けられる。しかし実際に生産ラインにIoTシステムを実装し、大量の取得データを有効に活用しようとすると、ユーザーはさまざまな問題に直面する。

 現在の多くの生産ラインは多品種変量生産に対応したラインとなっている。このため一つの工作機械で複数の部品を製造する場合が多い。そうした生産ラインのセンサデータを取得しても、部品ごとにデータを仕分けして解析しなければ有効な解析結果は得られない。「こうしたデータ解析の前処理に多くの時間が費やされる。極端な場合、データを収集するだけで放置されてしまうこともある」と中山氏は指摘する。


写真●中山水熱工業代表取締役社長の中山慎司氏
写真●中山水熱工業代表取締役社長の中山慎司氏
図1●最大1ms〜30sごとに電流値等をサンプリングするconandesse
図1●最大1ms〜30sごとに電流値等をサンプリングするconandesse

複数部品の加工から取得したサイクル波形の仕分けが容易

 中山水熱工業が開発したconandesseは、幅115mm×長さ97mm×高さ40mm、重さ450gの筐体の中に汎用のボードコンピュータ「BeagleBone Black」と32GバイトのmicroSDカードが搭載されている。計測方法は、例えば工作機械のモータの電源線に電流センサを挟み込む。電流センサの出力をconandesseへ入力し、数十msごとに電流値をサンプリングする。測定されたデータはmicroSDカードに格納される。判定プログラムが良否を判定、結果はコントローラにフィードバックされる。工作機械の刃に異常があれば、conandesseがフィードバック信号を使ってコントローラを制御し、工作機械の動作を停止させる。なおmicroSDカードに蓄積されたデータはLAN経由またはmicroSDカードを使って製造ラインの履歴としてサーバーに保存することができる。

 conandesseの真骨頂は取得したデータの解析手法や表示方法、ユーザーインタフェースにある。取得したデータは横軸を時間軸、縦軸を計測値としたサイクル波形として一つのパソコン画面上に重ねて表示される。数千サイクルの波形を重ねて表示することが可能だ。重ねて表示された波形はその波形パターンの出現頻度別に色分けして表示される(図2)。非常によく集中している波形パターンは黄色に、ある程度安定的に出現している波形パターンは赤色に、まれにしか出現しない波形パターンは青色に表示される。色分けすることによって直感的に異常波形を認識することができる。さらに複数の部品を一つの工作機械で生産した場合でも、X軸(時間軸)とY軸(計測値軸)の数値を指定することによって波形パターン別(製造される部品別)に仕分けて表示できる。図3は複数の部品を製造した大量のデータから、3種類の特定波形パターンを仕分けした結果である。

 これらの機能を実現しているのがconandesseに付属する「conalyzer」と呼ばれるソフトウェアである。conalyzerにはこのほか、トレンドグラフやヒストグラムを作成する機能(図4)、不良データを排除して正常な波形のみのサイクル波形を表示する機能などが備えられている。

図2●conalyzerが波形パターンの出現頻度別に色分けして表示(縦軸電流値、横軸時間)
図2●conalyzerが波形パターンの出現頻度別に色分けして表示(縦軸電流値、横軸時間)

図3●複数の部品を製造した大量のデータから、3種類の特定波形パターンを仕分けした結果(縦軸射出圧力(アナログ信号電圧)、横軸時間)
図3●複数の部品を製造した大量のデータから、3種類の特定波形パターンを仕分けした結果(縦軸射出圧力(アナログ信号電圧)、横軸時間)

図4●conalyzerのズーム、トレンドグラフ、ヒストグラム機能(縦軸電流、横軸時間)
図4●conalyzerのズーム、トレンドグラフ、ヒストグラム機能(縦軸電流、横軸時間)

conandesseのビジネスモデルを検討

 中山氏は「conalyzerはconandesseで取得した大量のデータを一瞬で処理し、ユーザーの見たい情報を直ちに表示できるところが評価されている」と、conalyzerの導入効果を強調する。事実ユーザーから「conalyzerは操作が簡単で非常に使いやすい。これまで2〜3時間かけていた処理がほんの数分で終了し、生産性が上がったという評価を受けている」と同氏は説明する。同社がこのようなユーザーの使い勝手を意識したソフトを開発できたのは、これまで生産現場でエネルギーに関する機械の保全管理、コスト削減などの提案を行い、生産現場におけるユーザーの抱える課題を十分理解していたからだと同氏は言う。

 現在、中山水熱工業はconalyzer をハードウェアと切り離し、conalyzerだけでも販売することを計画している。すでに工作機械からセンサデータを取得するIoTシステムを実装している企業は多く、conalyzerだけを使いたいという声がユーザーから挙がっているためだ。そこで同社はいくつかの開発をスタートさせた。第一は、既存のIoTシステムから取得したデータをconalyzerのデータフォーマットに変換するためのソフトウェア開発である。このソフトウェアが開発されれば、既存のIoTシステムを使って取得したデータの仕分け作業や解析作業が短時間で実行できるようになる。第二は、conalyzerの機能をクラウドサービスとして提供することだ。現在、大手IT企業やセキュリティ会社とその開発を進めている。

 「すでにセンサデータを取得するハードウェアは現場に存在する。集めたデータを短時間でどう処理するかが極めて重要である。精度を評価したり、異常を診断したりといった作業だ。conandesseのデータ解析手法や波形表示方法、ユーザーインタフェースはユーザーから高い評価を受けている。こうしたことを考慮し、現在、conandesseのビジネスモデルを見直すことを検討している。」と中山氏は言う。conandesseのビジネスは将来、ソフトウェアの販売・サービスが中核になるかも知れない。

説明資料ダウンロード
コナンデッセによる多数の計測結果を見ることができます


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