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パナソニックの住宅関連事業を支える耐酸被覆鋼板
接着技術や樹脂コーティング法に独自ノウハウ

[2018/8/24]

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分野横断的に大きな需要を秘める

 B2B事業へのシフトを強化するパナソニックは、住宅関連事業を成長戦略の柱に置いている。同事業を所管する社内カンパニー「エコソリューションズ(ES)社」は、水廻り商品や建築内装、住宅等を手掛けている。ES社で、1970年代からのロングセラー商品として市場の支持を得ているのが耐酸被覆鋼板だ。

 住宅や建造物を対象とした外廻り事業の主力商品で、旧松下電工住建事業の創業商品である、住宅用雨といを源流に持つ。主に工場やプラント、空港・港湾、スポーツ施設等の大型建造物・インフラの屋根材として利用され(図1)、高シェアを握る。鋼板表面を耐酸難燃性高分子樹脂で被覆し、「サビや酸・アルカリに強い」、「摩耗しにくい」、「色あせしにくい」、といった特徴がある(図2)。

 「大型施設や建造物の屋根は、長時間の風雨や直射日光など過酷な環境に置かれる。頻繁に交換することができないため、耐久性や防錆性が求められる。鋼板を樹脂で包み込んだ部材を用いることで、屋根に鉄の高強度と樹脂の耐候性等を持たせ劣化を防ぐことができる」(パナソニック外廻りシステムビジネスユニット事業戦略・商品企画部部長川村正英氏)。

図1●耐酸被覆鋼板の施工事例
図1●耐酸被覆鋼板の施工事例
図2●パナソニックの耐酸被覆鋼板「屋根コイルE」
図2●パナソニックの耐酸被覆鋼板「屋根コイルE」

接着剤と接着工法を改良し耐久性を高める

 ただ開発当初は、鋼板と樹脂がはがれることも多かった。「実際の環境下では、雨や雪、雹(ひょう)のほか、石やごみなどの飛来物、鳥の糞などにさらされる。研究室レベルでは高い耐久性を示せても、実際に屋外に設置すると性能を再現できないケースがある。開発当初は、はがれた樹脂部分からサビが発生し、メンテナンスを繰り返した」(パナソニック米原工場工場長中村元彦氏)と振り返る。

 樹脂のはく離や劣化を防ぐためにパナソニックが目を付けたのが、鋼板と樹脂をつなぐ接着剤と接着工法だ。材料技術の専門チームを設け、複数の接着剤の配合を最適化し、樹脂と鋼板を高い密着性で接着する独自の接着剤を開発。さらに接着剤自体に防錆性の成分を加え、サビに対する耐性を高めた。「防錆成分を増やすと密着性が損なわれるというトレードオフを解決するため、実験を繰り返し、ベストのバランスを導き出した」(パナソニック外廻りシステムビジネスユニット商品・技術開発部材料技術開発課主務中川雅貴氏)。
接着工法については、接着剤を鋼板に塗る厚さや乾燥時間を最適化した。「接着剤は厚くても薄くても、高い密着性を確保することはできない。樹脂や鋼板との相性を踏まえ、厚みや乾燥時間をコントロールすることで安定した品質を担保できる」(中川氏)という。

独自の樹脂コーティング法で厚みをコントロール

 さらに耐酸難燃性高分子樹脂は、「成形加工のしやすさ」と「燃えにくさ」を考慮し、添加剤の配合を調整。樹脂のコーティングは、他社が採用する塗装やめっきではなく押出法を採用。「塗装の場合、鋼板に塗る溶剤が揮発して目に見えないピンホールが発生する。そこから水が浸入し劣化を招く。押出法は無溶剤の樹脂を高温高圧で接着するためピンホールが発生しない」(中村氏)。

 押出法により、鋼板に数十μmから数百μm(1μmは0.001mm)の厚さで樹脂を均質に被覆することが可能。厚みをコントロールすることで、衝撃やサビへの耐性を高めることができる。同社の試算によると塗装めっき鋼板と比べ、イニシャルコストは高くなるが、メンテナンスを含めたトータルコストは安くなる(図3)。同社の耐酸被覆鋼板を採用した建造物では、20年近く交換をしなくても目立った損傷は見られず、そのコストパフォーマンスの高さは現場が証明している。

図3●イニシャル、メンテナンス含めたトータルコストは安くなる
図3●イニシャル、メンテナンス含めたトータルコストは安くなる

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