(株)テクノアソシエーツ TOPページへ テクノアソシエーツサイトへ

TOPページへニュースへ連携提案へ注目技術&事業コラムへコラムへ

建設・土木現場での3次元測量を安価で簡単に
産総研発ベンチャー,高精度・高速度の3次元計測を実現


[2008/01/23]

 設備補修するオフィスビルの内壁360度,細かい損傷や劣化の状態を正確に短時間で計測診断できる。汎用カメラデバイスを用いた簡易なシステム構成なので費用も安い。こんな事を可能にするシステムを,アプライド・ビジョン・システムズ(茨城県つくば市)が開発した。

 同システムは「高機能3次元視覚システムVVV(Versatile Volumetric Vision)」と呼ばれ,ステレオカメラからの画像を高速,高精度に画像照合し,リアルタイムに対象物を認識することができる。汎用のカメラでもシステムを構成することができるため,3次元レーザースキャナのような高価で大掛かりな設備を必要としない。


 建設・土木の業界では,(1)既存の建設物を修復する前に,現地の実情を正確に把握したい(2)進行途中に設計図面通りに工事が行われているかを逐次確認したい(3)工事途中での現場の状況を正確に把握し,クレーン車等が作業できるかどうかを事前に確認したい,といったニーズが高まってきている。このニーズに応えるには,大型対象物を正確に計測・分析する技術が必要である。
 現在,3次元レーザースキャナで計測・分析しているが,これは「レーザースキャナは高価な計測器であり,膨大な点群データを取り込むために現場で要求される目的に合わせていかに採取量を減らすか工夫が求められ,またそのデータ処理に多大な労力を要することが多い」(3次元計測コンサル会社 スパーポイントリサーチ 代表 河村幸二氏)。デジタルカメラを用いて画像処理する写真測量という手法もあるが,写真の合成やモデリングに時間が掛かる。安価で簡易に3次元計測する手法が望まれていた。

 VVVの技術は元々,産総研の知能システム研究部門が知能ロボットの基礎技術として長期に渡って研究してきた。この独占的ライセンスを受けてアプライド・ビジョン・システムズが商品化開発をしている。
 VVVを最も特徴付ける機能は,独自の3次元物体認識にある。構造的な解析方法を用いるためCADデータとの親和性が高く,すでに工場生産の自動化等に向けての応用が先行している。加えて画像を一時的に蓄積するハイパーフレーム法によって,毎秒50フレーム以上でもリアルタイムで3次元運動が解析できる。「カメラを使用中に発生する物理的な誤差までも自己修正するセルフアジャストメント手法があり,様々な環境下で高い水準の精度が得られる。市販のカメラと組合せても,ステレオカメラ方式としては精度が非常に高く,50m先でもミリ単位での計測に使用された実績がある。」(アプライド・ビジョン・システムズ 代表取締役社長 高橋裕信氏)。

 同社は,この成果の実用化を促進するために,2004年に設立した。設立以来,同社は,電機部品の検査システムを東京エレクトロンデバイスと共同で開発したり,自動車の検査工程での画像処理システムの開発をオムロンと提携して行うなど,さまざまな分野での用途開発を進めている。
 土木用途には,産総研や複数の大学,企業と共同で山祇(やまづみ)プロジェクトと呼ばれる建機の自律化に向けた実証実験を進めている。このプロジェクトでは現在VVVを搭載した建機が自動的に土砂を認識して,無人でダンプへの積み込みまで行うことに成功している(写真1)。高橋氏は「土砂の3次元計測と建機の姿勢補正を高精度に行えることが実証できた。」と語る。

VVVを搭載した建機が自動的に土砂を認識して,無人でダンプへの積み込みまで行う様子 【写真1】
山祇(やまづみ)プロジェクトでの建機への搭載


ホイールローダーのキャビン・ルーフの上にある
白い部分がVVVシステム。
土砂山の形状を自動的に計測。

 アプライド・ビジョン・システムズは,適用用途に応じてその業界に精通したパートナー企業と連携して,事業展開する計画。上記の用途以外にも,「店舗の景観シミュレーションや事業計画段階での簡易な測量シミュレーションなどにも使える」と高橋氏は建設・土木業界での応用の候補を挙げる。「最終ユーザーであるゼネコンや測量会社などとの意見交換を通じて期待される機能や性能を確認し,ソリューションを提供する企業との連携によって,建設・土木業界での実用化を促進していきたい」(同氏)。


【関連記事】
  ・卓上型シンクロトンを用いた可搬型高精度非破壊検査装置開発に光子発生技術研究所が成功
  ・小型風力発電機が実用レベルで本格離陸へゼファーが「Airdolphin Mark-Zero」を出荷
  ・メカロ秋田がスクリューマグナス風車を製品化 10kWの小型で太陽光より低コストへ

記事要点掲載先:日経BP.net




| 産業イノベーションHOME | 技術&事業インキュベーション・フォーラムHOME |
Copyright (c) 2005-2013 TechnoAssociates, Inc. All rights reserved.

INTERVIEW Index ブレークスルー技術Index 提案Index コラムIndex イベントIndex お問い合せ