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産総研技術移転ベンチャーのグリーンソニア
新たな遺伝子サイレンシング技術で植物の形質改変ビジネスに参入

[2008/12/10]


 産業技術総合研究所の技術移転ベンチャーであるグリーンソニアは,同研究所が開発したCRES-T(Chimeric Repressor gene Silencing Technology)法と呼ぶ新規遺伝子サイレンシング技術を植物に応用する。
 グリーンソニアが展開するCRES-T法は,植物の遺伝子の発現を制御する転写因子を転写抑制因子に変換することにより,転写因子欠損型の新たな機能を有する植物を生み出す一種の遺伝子操作技術である。この技術を利用すれば,例えばパルプ用材のポプラやユーカリの細胞壁に含まれる難分解性のリグニンを減らし,パルプの原料となるセルロースを増やすことや,バイオエタノールの原料になるサトウキビやナタネの糖質や脂質を増やすことも可能になる。


転写因子にリプレッション・ドメイン(転写抑制部位)を付加,
下流遺伝子の発現を抑制


 CRES-T法は,このリプレッション・ドメインを使った遺伝子サイレンシング技術である。モデル植物での実験では,この技術の特徴は3つあるといえる。一つは,すべての転写因子を転写抑制因子に変換することができるという点である。二つ目は,従来のRNAi法やアンチセンス法では有効で無かったケースでも効率よく機能することである。つまり機能重複遺伝子の存在下においても有効である。三番目は,リプレッション・ドメインが植物間で保存されているため多種植物で機能する点である。(図1
 つまり,本法は,植物の形態形成やストレス応答,代謝にかかわる一つの転写因子にリプレッション・ドメインを付加するだけで,機能重複した遺伝子に優先して下流遺伝子の発現を抑制することにより,欠損型の新規形質の植物を作出することができるので,植物の形質改変を進めるうえで,画期的かつ極めて効率的な手法である。

 図1:産業技術総合研究所が開発したCRES-T法
図1:産業技術総合研究所が開発したCRES-T法



 産業技術総合研究所では,全ゲノム情報が判明しているシロイヌナズナを使って,CRES-T法の有効性を示している(図2)。
 例えば,NAC転写因子ファミリーに属するCUC1,CUC2の転写因子は重複機能を持っており,両方の転写因子が欠損した場合のみカップ状の子葉が形成されることが知られている。同所は,いずれか一方の転写因子にリプレッション・ドメインを付加することによって,カップ状の子葉が形成されることを確認している。
 このほか,植物細胞壁に含まれるリグニンを欠失することで直立性を維持できなくなった品種や,葉,茎などに形成される突起状のトライコームを持たない品種,タンニンが蓄積されていない種子などの作出に成功している。すでに同所は,10種類以上の環境耐性遺伝子の同定および改良植物の作出に成功しているという。


 図2:遺伝子が欠損し,カップ状の子葉を形成
 野生型(左),キメラリプレッサー発現体(右)
図2:遺伝子が欠損し,カップ状の子葉を形成


バイオマス分野,製紙業界,種子産業,化学・医療分野等へ展開

 グリーンソニアは,CRES-T法が機能性植物の作出に有効な方法であり,植物関連産業での応用が期待できるという。例えば,バイオマス分野では高糖質,高脂質化による付加価値の高い植物の作出に,製紙業界では高成長,高品質木材の創出に,化学・医療分野では化学合成物質や医薬品材料の高機能,低コスト化などに利用できる。
 グリーンソニアは,シロイヌナズナに関する転写因子とリプレション・ドメインに関する形質転換のライブラリを保有しており,今後,CRES-T法を使って工業的に付加価値の高い機能性植物の創出を目指すとしている。


【テクニカルノート】
  グリーンソニアから『パルプ原料の開発』の提案[2008年12月10日]
  グリーンソニアから『バイオマス原料の開発』の提案[2008年12月10日]
  グリーンソニアから『ストレス耐性植物の開発』の提案[2008年12月10日]
  グリーンソニアから『薬用植物成分由来の医薬品等の開発』の提案[2008年12月10日]



 図3:リグニンが欠失して直立に成長できないシロイヌナズナ
図3:リグニンが欠失して直立に成長できないシロイヌナズナ
野生型
リグニン含量が抑制
されたキメラリプレッサー
発現体

 図4:葉のトライコームの欠失
 キメラリプレッサー発現体(右),野生型(左)
図4:葉のトライコームの欠失

 図5:タンニンの生合成の抑制
野生型(左),PAP1キメラリプレッサー発現体(右)。キメラリプレッサー発現体種子は,タンニンの生合成が抑制され、明るい黄色になる
図5:タンニンの生合成の抑制







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