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アルネアラボ,小型・低価格化レーザーを
テラヘルツ検査装置内蔵光源へ応用,
カーボンナノチューブを用いた超短時間パルスレーザーで実現


[2009/02/23]


 産総研技術移転ベンチャーのアルネアラボラトリは,カーボンナノチューブ(CNT:Carbon Nanotube)を用いた超短パルスファイバモードロックレーザーの改良バージョンを2009年4月に発売すると発表した。

 アルネアラボラトリの超短パルスレーザーは,レーザー共振器中にリカバリタイムが速く,可飽和吸収特性に優れたCNTを組み入れることで超短パルス化を実現している。従来の可飽和吸収材料における問題点(光対損傷の脆弱性やリカバリタイムが遅いこと等)に起因する複雑なレーザー構成を簡易化できることが特徴だ。
 今回,その高機能な性能はそのままに,従来一品一様で組み立てた電気回路部分を新たにして,電気基板とレーザー部品を一体化させることで大幅な小型化に成功した。その結果,超短パルスレーザーの外形はW90mm×H15mm×D70mm(図1)という大きさを実現した。同社の既存品との体積比で大凡1/8以下程度になり,コスト面においても他社フェムト秒レーザーと比べて半額程度で提供できるようになるという。
 今回の小型化により,機器内蔵用光源としての活用も考えている。応用実例としてテラヘルツ検査装置への応用がある。空港や郵便受け窓口での従来のX線では判別不可能な大麻・爆薬等材料の違いによる所持物の検査やセキュリティ検査,あるいは調剤薬の処方箋時の異物混入検査用などとしての市場展開が期待されている。


図1:今回開発したCNTを利用した超短時間パルスレーザー外形図
図1:今回開発したCNTを利用した超短時間パルスレーザー外形図



有機材料の違いを分光データで瞬時に判別

 現在,持ち物検査用として空港などで使われているX線検査装置は,金属銃刀等の金属の形を視覚的に判別することができても,例えば有機物の異種材料までを正確に区別することはできない。例えば,大麻等の違法物を他の有機系物質と分けて判別するのは難しい。その役目は,現在のところ大麻の匂いを嗅ぎ分けることのできる訓練された探知犬などが担っている。
 しかし,超短時間パルスレーザーを用いたテラヘルツ検査装置を用いれば,有機系の中の異種材料を定量的に特定することができる。その仕組みは次の通りだ。


 シードレーザー装置から超短パルスレーザーを光伝導スィッチ(低温成長GaAs基板上に薄膜アンテナを形成したデバイス)に照射してテラヘルツパルス波が発生する(図2)。そのテラヘルツ波は,対象物に照らされて後検出器に通すことで,分光データが出力される。同じ有機系の材料でもその材料の特性によって分光データには違いが出てくるために材料の種類を特定することができる。結果,例えば衣服の中に隠し持っていた銃刀等を容易に検出することが可能になる(図3)。
   「これまでに,高速可飽和吸収光学素子を利用したフェムト秒レーザーを組み込んだテラヘルツ検査装置が空港に導入された例はあるが,超短時間パルスを生成する可飽和吸収材料の光対損傷性が脆弱なことや光学的偏波依存性等もあるために構成が複雑となる。装置サイズが大きく,装置が一台一億円を超えるような高価なものとなるので,一般的に普及するまでには至っていない」(アルネアボラトリ代表取締役専務 宮地邦男氏)。


図2:分光データ出力までの模式図
図2:分光データ出力までの模式図


図3:検出する場合の実行例
図3:検出する場合の実行例


 元々,アルネアラボラトリはCNTをモードロッカとしてレーザー共振器内に組み入れて,超短パルスレーザーを安定に発振させることに成功し,商品化を進めてきた(図4)。原理は次の通りだ。

 単純にファイバレーザー共振器を作っただけだと単なる連続波に過ぎないが,この共振器内にCNTを組み込むことでパルス発振となり,さらにEDF(Erbium Doped Fiber:光ファイバ)で励起されて共振器内を巡回しながら超短パルス化されていく。
 「ファイバモードロック“リング”レーザーのメカニズムは模式的に言うと,水力発電用のダムのようなもので,リング共振器内で設置されたCNTが,ある閾値を超えるまでは部分的に吸収を続け,超えた瞬間に吸収は停止し(一部が放水された状態),次の瞬間に改めて吸収を開始する(放水が停止した状態)。この状態が共振器中で繰り返されることで“パルス化された”光となって出力される。一般的には出力部で数%程度分岐されて出力されるが,その比率を変えることでレーザー出力も調整することができる。このようにCNTを用いて安定に超短パルスレーザー化するところに当社が保有する様々なノウハウが寄与している」(同氏)という。


図4:CNTによるレーザー出力増幅のメカニズム
(共振器内にCNTを設置することで連続光がパルス化され短パルスレーザーを発振する。)
図4:CNTによるレーザー出力増幅のメカニズム


セキュリティ検査,異物混入検査の他,ナノ微小加工用途など多分野へ展開

 アルネアは,このCNTを利用したレーザー装置を様々な分野に展開したい考えだ。開発の原点であった光通信用分野だけでなく,空港,郵便受け窓口での検査用や,食料品や調剤薬局での処方箋の異物混入検査用などの装置採用に展開していく予定だ。この他,アルネアでは,シードレーザー部分を用いてナノレベルの微小ガラス加工用のレーザーとして活用できるのではないかと見ている。
 今後,このCNTを利用したレーザー装置の特徴を活かし,広範な分野の企業と共同で組み込み装置としての開発や,製品販売を進めていきたいとしている。








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