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産総研,携帯電話やPCの機能を用いて疲労計測,自己の健康管理が可能に

[2009/10/05]

 独立行政法人産業技術総合研究所・人間福祉医工学研究部門くらし情報工学グループの原田暢善博士は,携帯電話やPCのアプリケーションソフトをダウンロードすることで,ユーザーが自分自身の疲労度合いを簡易に計測できる疲労計測システムを開発した(図1)。
 これまで人間の疲労度合いの測定には主に質問紙法が用いられていたが,測定結果を出すまでに手間がかかるという問題があった。また,これまでも主に労働衛生分野の研究で用いられてきたフリッカー値計測標準機は存在したが,装置自体大きく高価であり,個人が持ち歩いて日常的に計測を行えるものではなかった。(表1)。今回,携帯電話で疲労を「気軽に」「いち早く」「頻繁に」計測・管理するシステム技術を開発したことで,健康管理の一環としての疲労計測の市場創生に大いに貢献するものと思われる。

図1 フリッカー計測標準機との測定結果相関(終夜労働時の疲労計測結果)
図1 フリッカー計測標準機との測定結果相関(終夜労働時の疲労計測結果)


 終夜労働時の疲労蓄積を,フリッカー値計測標準機(青線)と産総研で開発した携帯電話(黄緑色,紫色線)・PC(赤線)上で動作する疲労計測アプリケーションソフトで計測した。午後2時30分から翌朝午前8時30分にかけて,時間の経過と共にそれぞれのフリッカー値が減少(疲労が蓄積)してゆく様子や,仮眠(午前9時〜11時30分)をとった後に疲労が回復するとともにフリッカー値がもとの値に回復していることが確認できる。また,実験の中盤に被験者が水泳に行ったことで,フリッカー値が一時的に回復している。今回産総研が開発した手法による測定結果は,フリッカー計測標準機のそれと近似していることが分かる。

表1 産総研が開発した本技術と,他計測手法との比較
表1 産総研が開発した本技術と,他計測手法との比較


 50年以上前に,点滅する光刺激のちらつきが見えなくなる周波数(フリッカー値)が,疲労の蓄積に伴って減少することが発見されて以来,フリッカー値は疲労度合いの定量的な計測方法として,主に労働衛生分野の研究等で用いられてきた。
 今回産総研が開発した計測システムは,このフリッカー値の計測を標準的な携帯電話やPC上で,アプリケーションソフトをダウンロードするだけで実現するというもの。産総研はこれまでに,点滅周波数の代わりに画面のコントラストを変化させることにより,携帯電話・PCのディスプレイやTVのように,垂直同期周波数(リフレッシュレート)が固定された表示装置でも,フリッカー検査の実施を可能にする技術の開発を行った。この原理に基づくフリッカー値の計測は,従来からのフリッカー計測標準機を用いた計測結果と非常に良好な相関関係があることが,産総研の実験によって確認されている。

 実際の計測は,ユーザーが携帯電話の液晶画面およびLED上に示される光点のちらつきを感じた時にボタンを押すというものである。第3者の専門計測者を必要とせず,ユーザー本人だけで自発的に計測することが可能となり,測定も短時間でできる。インターネット上に置かれたサーバーで検査履歴を蓄積,データベース化することで,ユーザーの疲労に関する健康状態をチェックするシステムとして活用できる。

 産総研の人間福祉医工学研究部門くらし情報工学グループとベンチャー開発センターでは,2009年10月6日(火)〜10日(土)の5日間,幕張メッセで開催される最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN2009」にて,同技術を携帯電話端末のアプリケーションソフトに組み込んだ疲労計測システムを出展・展示する。産総研では,このシステム技術を活かした応用展開も視野に入れている。同システム技術を開発した原田氏は「企業法人の従業員健康管理システムといった健康産業向け用途のほかにも,子供向け玩具やテレビゲーム機・ソフトウェアなどにユーザーの疲労度合いを組み込むことで,全く新しい概念の商品を生み出すことが可能なのではないかなど,様々な応用の可能性を検討している」と語る。




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