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産総研ベンチャー,有機ELなど先端薄膜材料の開発スピードを
向上させる高精度熱物性測定装置を開発


[2009/10/14]

写真1 薄膜熱物性測定装置「NanoTR」
写真1  薄膜熱物性測定装置「NanoTR」

 産総研技術移転ベンチャーのピコサーム(茨城県つくば市,石川佳寿子代表取締役社長)は,産総研計測標準研究部門で開発された「パルス光加熱サーモリフレクタンス法による薄膜熱物性測定技術」を実用化し,膜厚百ナノメートル〜数マイクロメートルの薄膜の熱物性値を高精度に測定できる薄膜熱物性測定装置「NanoTR」を開発した(写真1)。

 バルク材料の熱拡散率を測定する場合の標準的測定法であるレーザーフラッシュ法を高速化することにより,薄膜の熱拡散率と界面熱抵抗を絶対測定することを実現した(図1)。この方法は金属,半導体,セラミックなど様々な薄膜の熱物性を迅速かつ正確に測定できるのみならず,近年特に注目されている有機系(有機ELやTIM(サーマルインターフェイスマテリアル)など)の薄膜にも適用可能である。基板が透明であるか不透明であるかを問わず,任意の基板上に形成された薄膜を測定することができるので,デバイス等内部の積層構造を反映した状態での測定が実現する。石川社長は「先行的に研究委託を頼まれている研究者からは,研究開発の初期段階で薄膜材料の熱物性値を分析・解析できるようになったので実用化開発のスピードアップ化に繋がる,との評価を頂いている」と語る。


図1 ピコサームが開発した本技術と,他測定手法との比較
 図1 ピコサームが開発した本技術と,他測定手法との比較


 電子機器や電子デバイスの高集積化,高速化において発熱による故障や誤動作,短寿命化が深刻化しているなか,実装レベルからデバイス内部に至るまで正確な熱物性データに基づく定量的な熱設計・シミュレーションが求められている。しかしながら,これまでは熱設計に必要な薄膜の熱物性値を十分な信頼性で測定できる実用熱物性測定装置がなく,バルク材料に比べ薄膜の熱物性データも十分整備された状況になかった。
 バルク材料に対しては,パルス光加熱による材料の温度変化を放射温度計により観測する「レーザーフラッシュ法」により十分な精度で熱拡散率を求めることができる。しかしながら,ナノメートル,マイクロメートルオーダーの薄膜を測定するためには放射温度計では温度検出の応答が遅いため,温度を高速で測定できないことがボトルネックとなっていた。

 ピコサームが「NanoTR」に採用した測定原理は,パルス光加熱サーモリフレクタンス法と呼ばれるもので,基板上に形成された薄膜試料をナノ秒パルスレーザーで瞬間的に加熱し,表面の温度変化を測温用のレーザーで検出する。測温用レーザーの反射光強度が試料表面温度の変化に比例して変化する(サーモリフレクタンス)ことを利用し,薄膜表面加熱後の薄膜内部への熱拡散による表面温度の低下速度(図2(a)),あるいは基板側から薄膜裏面を加熱した後の薄膜表面温度の上昇速度を測定する(図2(b))。このことにより,薄膜の膜厚方向の熱拡散率の高精度な絶対測定を実現した。また,これまで測定が困難であった多層薄膜間の界面熱抵抗もこの手法により測定が可能になった。
 ピコサームは低価格で測定値を高速信号処理できるシステムを構築し,膜厚百ナノメートルから数マイクロメートルの薄膜の試料まで対応する測定装置を実用化した。

 ピコサームでは,測定装置のユーザーとの接点の拡大を図るため,2009年10月15日(木)〜16日(金)に開催される産総研オープンラボで「NanoTR」の紹介を行い,意見交換や議論する場を設ける。ピコサームによれば,測定可能膜厚が更に薄い「PicoTR」の一部開発状況についても披露する予定。

図2 パルス光加熱サーモリフレクタンス法の測定原理
 図2 パルス光加熱サーモリフレクタンス法の測定原理


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