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産総研ベンチャー,
コストパフォーマンスに優れる高減速(減速比1/150も可能)の減速装置を開発


[2009/12/16]

 産総研技術移転ベンチャーの新産業技術開発センター(東京都港区,石川桂 代表取締役社長)は,従来の遊星歯車機構を複数段接続した構成と比べ高減速比(1/150を試作済)を2段構成で実現可能な「高減速複合遊星歯車機構」(特開2008-275112)を開発した。特殊な部品や加工を必要としないためコストパフォーマンスに優れた小型軽量な減速装置として提供できるのが特長だ。


従来の遊星歯車機構の制約と高減速へ向けた挑戦

 高減速が必要とされる産業用機械やロボットの関節部品などの分野では,古くから遊星歯車機構を利用した減速装置が一般的に用いられてきた。しかし,近年の産業技術の目覚しい高度化により,従来の遊星歯車機構の設計限界以上の高減速比を備えたコンパクトな減速装置への需要も高まりつつある。様々な装置の組み合せや新しい原理・概念に基づいた減速装置が開発されているが,複雑な機構や特殊な部品・加工を使うことで大型化,あるいは価格が高くなるなどの課題があった。
 遊星歯車機構は入力側の太陽歯車,複数の遊星歯車,遊星歯車を保持するとともに出力となるキャリアおよび内歯車から構成されている。このような遊星歯車機構で実現可能な減速比は1/8程度が上限であり,これ以上の高減速比を得るためには一般に複数段の遊星歯車機構を直列に接続する。しかし多数段の遊星歯車機構を使用すると減速装置のサイズ重量が増大するとともに,部品点数や製造コストが膨れ上がる。

 この問題に対して,2基の遊星歯車機構を単純な直列接続とは異なる形式で組み合わせることにより,高減速複合遊星歯車を構成することができる(図1)。一般の遊星歯車機構では内歯車を固定するのに対して,高減速複合遊星歯車では第1段,第2段の内歯車が一体となって回転することが大きな特徴である。この内歯車の回転は減速装置の出力となる第2段キャリアの回転を打消す逆回転として作用するため,きわめて大きな減速比を実現することができる。

図1 2基の遊星歯車を組み合わせた「高減速複合遊星歯車機構」の構造図
図1 2基の遊星歯車を組み合わせた「高減速複合遊星歯車機構」の構造図



コンパクトでコストパフォーマンスに優れる減速比を可能にする機構原理

 ところが,前述の高減速複合遊星歯車の設計・製作において遊星歯車の配置を等間隔に限定すると歯車が正しくかみ合わず,実際には機構を組立てることができない状況が生じる(図2左)。この制約により,多くの設計候補では目的とする高減速比が達成不可能になってしまう。これに対して遊星歯車の不等間隔配置を許容すれば,全ての歯車が正しくかみ合うことができる(図2右)。ただしこの場合,不等間隔配置に起因する力学的な不釣合いにより,騒音振動が生じることが知られている。 そこで,新産業技術開発センターでは,共同開発している産総研・知能システム研究部門フィールドロボティクス研究グループの前川仁主任研究員との連携で,キャリアが回転しない第1段遊星歯車機構のみを不等間隔配置とすることにより,高減速比を実現すると同時に騒音振動など実用化に向けた諸問題を解消することに成功した。特殊な部品や加工を使用しない,コストパフォーマンスに優れた小型軽量の減速装置として,今後様々な分野での応用に期待がもたれる(表1)。

図2 等間隔配置の遊星歯車(左図,歯車がかみ合わない)と不等間隔配置の遊星歯車(右図,全ての歯車が正しくかみ合う)
図2  等間隔配置の遊星歯車(左図,歯車がかみ合わない)と
    不等間隔配置の遊星歯車(右図,全ての歯車が正しくかみ合う)



表1 高減速複合遊星歯車と従来の遊星歯車の特徴比較
表1 高減速複合遊星歯車と従来の遊星歯車の特徴比較



実用化を目指した研究開発を加速

 新産業技術開発センターの石川社長は,「高減速比を備える機構は他にも存在するが,特殊な部品や加工が必要であるなど製品単価が比較的高額。特に高い精度が求められる産業用機械などでは採用されているようだが,我々が開発した高減速複合遊星歯車は基本的に特殊部品を必要としないのが特徴。最近の産業用機械ではより高い技術や小型化が必要とされる一方で,既存の技術を組み合わせるなどコスト削減が図られている。小さなスペースで自由に設計できる幅の広い高減速比の減速装置が手軽に欲しい需要は結構ある」と語る。
 今後,新産業技術開発センターでは,組込み先の各用途のニーズに合わせた開発を進めて行く。適用先となる産業用機械・装置などのメーカーやユーザーと共に技術的な意見交換や提携を通じて実用化を加速して行く予定。




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