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次世代エコカー開発の鍵を握る熱設計シミュレーション

[2010/03/31]

 次世代エコカーの開発競争がいよいよ激化してきた。2009年の年間販売台数でトヨタのハイブリッド車「プリウス」が20万8,876台でブランド別首位となり,多くの消費者の意識が,“環境にやさしい自動車”,“燃費のよい自動車”に向けられるようになってきた。世界中の自動車メーカーがハイブリッド車や電気自動車,燃料電池車などの研究開発強化を図っているが,成功の大きな鍵の一つが,大容量の電力を制御するパワーエレクトロニクス技術だ。


 電気自動車,ハイブリッド車をはじめ,これら次世代エコカーの多くの動力源はモータあるいはその一部を利用するため,大量の電力を使うとともにその効率化が課題となっている。
 パワーエレクトロニクスにおいては,一般の情報処理用エレクトロニクス部品とは異なり,桁違いに大量の熱が発生する。そのため,絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT),サイリスタ,整流ダイオード,パワートランジスタなど,パワーデバイス(電力用半導体素子)の製品設計・開発をスムーズに進めるためには,構成している材料表面やデバイス全体の熱物性データに基づく定量的な熱設計・シミュレーションの必要性が求められてきている。
 バルク材料に対しては,これまでも熱拡散率といった熱物性値の測定用普及技術であるレーザフラッシュ法により測定することはできた。しかし,パワーデバイス構成部品・材料の微小化に際して必要とされるナノメートル,マイクロメートルオーダーの薄膜の測定は難しかった。

 そこで,独立行政法人産業技術総合研究所の馬場哲也上席研究員らの薄膜熱物性グループは,従来バルク材料のみに適用可能であったレーザフラッシュ法の測定速度を,飛躍的に高速化して薄膜の測定を実現した。産総研技術移転ベンチャーのピコサーム(茨城県つくば市,石川佳寿子代表取締役社長)は,薄膜熱物性グループの成果を社会に広く提供するために技術移転を受け,膜厚ナノメートルから数マイクロメートルの薄膜の熱物性値を高精度に絶対測定できる薄膜熱物性測定装置(パルス光加熱サーモリフレクタンス法)を実用化した(図1)。
 有機材料やセラミックスなどの様々な新材料の開発は,トライアンドエラーにより進められるのが現状であるが,本技術によって求められる正確な熱物性値にもとづいたシミュレーション解析,分析能力は,開発力に大きな差をもたらす。ピコサームの技術を導入することにより,ナノレベルの薄膜材料の熱物性測定が可能となり,研究開発スピードの飛躍的な向上が期待される。

図1:測定原理(サーモリフレクタンス法)
測定原理(サーモリフレクタンス法
図1:パルス光加熱サーモリフレクタンス法は,基板上に形成された薄膜試料をパルスレーザで瞬間的に加熱し,熱拡散に伴う薄膜裏面または表面の温度変化を測定することにより,薄膜の膜厚方向の熱拡散率,熱浸透率を計測する。


 また,ハイブリッド車はモータと従来のエンジン(ガソリンをエネルギーとした内燃機関)を組み合わせて低燃費を実現するが,例えばエンジンの主要構成部品であるピストンとそのしゅう動性の向上は,直接燃費向上に結びつく重要な技術だ。自動車にはそうした駆動系・動力系(パワートレイン)のしゅう動にかかる薄膜コーティングなど様々な技術が必要とされている。 ピコサームは,厚さ数100nm〜10µmの薄膜を測定できる薄膜熱物性測定装置「NanoTR」のほか,更に薄い数nm〜300nmの膜厚の薄膜測定に対応した薄膜熱物性測定装置「PicoTR」を用意している。顧客のニーズに合わせて測定装置のカスタマイズすることも可能だ。2008年の会社設立以来,受託計測・分析も継続実施しており,今後もより広範な材料,熱物性値の測定装置の開発を進めていくという。


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