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国内最大級のバス会社が,バイオ・ディーゼルの実証実験を行う理由
西日本鉄道 インタビュー

[2008/01/22]


松寺昌文氏
西日本鉄道株式会社
事業創造本部 新規事業室

松寺昌文氏
 
 日本における二酸化炭素の排出量のうち約2割を運輸部門が占めている。運輸部門の二酸化炭素の排出量は,2005年には1990年比で18%も増えており,この部門でのCO2削減対策は非常に重要である。削減策の一つにバイオマス燃料の活用が挙げられる。ガソリン代替となるバイオ・エタノールについては,国内消費量50万klを目指して伸長してきている。しかし軽油代替となるバイオ・ディーゼル(BDF)に付いては,国内全体でまだ5000kl程度。一部の自治体が廃食用油を回収して市バス用燃料などに利用する程度に留まっている。こうした状況下,国内有数のバス会社である西日本鉄道が,自社バスにBDFを用いる実証実験を2007年から開始している。同社の取組を同社 事業創造本部 新規事業室 松寺昌文氏に聞いた。

━ 西日本鉄道(西鉄)がBDFに注目した理由は何ですか?
 西鉄グループは,主に九州を基盤に鉄道,バス,航空貨物事業などの運輸業の他,流通業,不産業,レジャー・サービス業などを行っています。地域密着型企業として,環境問題を始め,社会の要請に応えていくことは最重要課題の一つです。
 主力の運輸業の中でも,特にバス部門は保有台数3000台以上,年間乗降客2億8000万人と,国内最大級の規模であり,このバス部門からのCO2換算排出量はグループ全体の50%以上を占めています。この部門でのCO2削減はグループ環境経営(西鉄の環境経営書)上,非常に重要です。
 一方で,私の所属する事業創造本部では,新規事業を絶えず探索・開発しています。新規事業テーマとして,最初にBDFに注目したのは2004年でした。バイオ燃料は,効率的に海外から燃料を輸入して,国内集配を行うことが重要になります。運輸業とのシナジー効果も高く,九州全体の中でバス保有台数シェア35%超という当グループの強みも活用可能です。環境問題にも貢献し,且つ非常に有望な新規事業シーズであると判断しました。以来,グループでの活用を前提に,将来的な九州地域でのバイオ燃料販売事業までを視野に入れて,BDFの検討を進めて来ました。

━ BDFにも幾つもの種類が有りますが,その選定は?
 今回の実験では,サンケァフューエルスという筑波大学発ベンチャー企業が製造,販売しているひまわりから採取したBDFを使っています。廃食用油を用いた実例などを複数調査してきましたが,安定供給の問題や,品質のバラツキがエンジンに与える影響などを考え候補から外しました。
 サンケァフューエルスのBDFはひまわりのバージン油を使っており,品質的に安定しています。ひまわりは輪作作物であり,他の品種と順番,組み合わせすれば,耕地の有効活用できます。食と燃料の取り合いといった他の作物で起こる課題に対応します。また,サンケァフューエルスは,海外でのプランテーション運営の計画を持つなど安定・大量供給にも対応可能と聞いています。サプライヤーが色々な顧客から発注を受けて量産効果を出し,コストを下げていく事は顧客にとっても好ましい循環です。サンケァフューエルスのベンチャーとしての積極的な提案姿勢(参考:サンケァフーエルス提案書)や筑波大学発というブランドが持つ信頼感も重要な選定理由です。

━ BDF実証の進捗や結果については?
 実証実験は2つ実施しています。1つは,ひまわりBDF100%を使用したバスと軽油100%のバスを2日間走行し,燃費や黒煙濃度,騒音,体感などに付いて比較した試験です。2007年3月に実施,完了しました。もう1つは,ひまわりBDF100%を使用したバスでエンジンへの影響分析や排ガス分析などを行う試験で,こちらは2007年11月から開始し,2008年3月に完了する予定です。
 1つ目の実験では,走行中の燃費は軽油に比べてやや落ちたものの,アイドリング中は逆に軽油に比べて良好であるという結果が出ました。BDFの場合,エンジンに負荷がかかると,出力が低下し燃費効率が若干悪くなると考えています。黒煙濃度は軽油に比べて15%以上低下したことを確認しました。騒音やそれ以外の体感テスト結果は,軽油とほぼ同等という結果です。
 2つ目の試験では,特にコストに大きく影響するエンジンへの影響と,排出ガス規制にきちんとクリア出来ているかに付いて確認する計画です。

━ 今後の展望は?
 実証実験などを通じて,BDFの実用化に付いてきちんと見極めていくことが非常に重要です。現時点では,軽油とのコスト差がもう少し解消されれば,BDFを実際の営業バスに利用したり,新規事業化を更に進めていきたいと考えています。
 西鉄グループの場合,年間約65,000klの軽油を消費しています。現状のコスト差のままでBDF5%に乗り換えると,燃料コストが年間約1%は上昇する試算です。コスト低減に向けては,BDF製造会社とも協調して進めていきたい,と考えております。一方で,政府や自治体からの優遇税制などの支援にも期待しています。


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