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骨粗しょう症などの診断・治療に新機軸
新骨質指標「アパタイト/コラーゲン配向性」を大阪大学が開発


[2006/02/13]

 骨粗しょう症や変形性関節症といった骨疾患の診断や骨機能の評価に有効な新指標が登場した。大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻助教授の中野貴由氏,教授の馬越佑吉氏らの研究チームが開発した骨質指標「アパタイト/コラーゲン配向性」である。
 高齢化社会の進展に伴って骨粗しょう症や変形性関節症といった骨疾患の患者数が増加する中,骨機能を正確に評価・診断する新たな骨質指標が求められていた。従来は,主に骨密度(アパタイトの存在量)が利用されてきたが,治療薬で骨密度の減少を抑制しても骨折率が上昇する場合があったからだ。すなわち骨密度だけでは,骨疾患の診断や治療効果の把握,骨折リスクの評価などが十分にできなかった。
 これに対し,今回のアパタイト/コラーゲン配向性を使うと,骨疾患の進行状態の診断,再生骨を使った治療効果の確認などを,より正確に把握できるようになる。例えば,再生骨の場合,「力学機能のうち約30%が骨密度,約70%がアパタイト/コラーゲン配向性によって説明でき,両者を組み合わせることで力学機能が完全に説明できる」(中野氏)と言う。骨医療分野の新たな評価・診断基準として,今回の新しい指標が臨床応用される可能性が見えてきた。

アパタイト/コラーゲン配向性と力学機能を定量的に関連付け
 骨は,主にアパタイト(リン酸カルシウムの一種)とコラーゲンがナノレベルで規則的に配列した構造をしている(図1)。今回の骨質指標は,両者の配向性(配列の方向性や配列割合)を基準にしている。これらの配向性は,骨疾患の状態や骨の力学機能を定量的に関連付けられることを中野氏らの研究グループは見出しており,この結果を使って骨疾患の診断や治療効果の把握,骨折リスクの評価などを実施しようとしている。
 中野氏らは,正常・疾患・再生状態での骨組織におけるアパタイト/コラーゲン配向性と関連する力学機能を解析した結果,配向性と力学機能を定量的に関連付けた。具体的には,微小部でのX線回折によりアパタイトの配向性を解析し,そこからコラーゲンの配向性を算出,得られたアパタイト/コラーゲン配向性を数値化し,強度やひずみ応答といった力学機能との相関を求めた。その結果,外部からの負荷や圧力の分布,骨の代謝回転などに応じて配向性は変化し,力学機能を変化させていることを見出した。
 さらに,アパタイト/コラーゲン配向性が骨疾患や各生体部位に応じて異なることを確認している。このため,各々の配向性の数値をデータベース化できれば,骨機能や疾患の評価・診断が可能になる。すでに「骨粗しょう症や変形性関節症の進行状態,再生骨の再生状態の解析に適用可能であることを確認した」(中野氏)と言う。
 なお,今回の骨質指標は新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO技術開発機構)の支援を受けて開発した。

図1:骨の微細構造を表す模式図
骨の微細構造を表す模式図


共同開発パートナー募集で,評価システムの開発を強化
 実際の臨床では,骨密度を組み合わせた評価・診断方法を想定している。「骨密度とアパタイト/コラーゲン配向性の両者を診断基準に採用することで,より的確な治療戦略の構築が可能になる」(中野氏)と見ている。今後の臨床応用に向けて,(1)臨床医,骨研究者に対するアパタイト/コラーゲン配向性の啓蒙,(2)適用骨疾患の拡大,を進めていく方針を立てている。
 さらに同研究チームでは,骨研究者に広くアパタイト/コラーゲン配向性を評価してもらうため,研究用の評価システムの開発を進めていく計画だ。具体的には,医療機器メーカーと連携して,小動物や骨サンプル用の研究機器の開発を進めていく。「骨疾患の病態解明や治療薬開発における新たな研究用ツールとしてニーズは大きいと考えている。将来的には,低侵襲(患者の負担が小さい)のアパタイト/コラーゲン配向性評価システムの開発につなげていきたい」(中野氏)と言う。
(テクノアソシエーツ 笹木雄剛)


図2:アパタイト/コラーゲン配向性と力学機能の関係
アパタイト/コラーゲン配向性と力学機能の関係



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記事要点掲載先:日経BP知財Awareness日経BP.JP

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