技術&事業インキュベーション・フォーラム

TOPページへニュースへ連携提案へ注目技術&事業コラムへイベント・セミナーお問合せ


新方式「マグナス効果」を使った風力発電
メカロ秋田が製品化に向けて開発を加速


[2006/02/23]

 「マグナス効果」と呼ばれる原理を使った新方式の風力発電装置の開発を進めるベンチャー企業のメカロ秋田が,その実用化開発を加速し始めた。風力発電は環境問題への対策が急務な中,環境負荷が少ない発電方式として太陽光発電などと並んで近年急速に注目を集めるようになっている。この流れに乗り,多数の風力発電装置メーカーが製品開発や市場開拓にしのぎを削っている。その中で,今回の方式を使った風力発電は通常の方式に比べ,(1)発電効率と費用対効果を高くできる可能性がある,(2)強風に強く構造的な耐久性が高い,といった特徴を持つ。この結果,現在の風力発電が抱えている問題を解決し,その普及を一気に拡大させる可能性がある。これに対してメカロ秋田は,これまで風車の直径2mといった比較的小型の実験機を使って基礎データを積み上げてきたが,2006年1月末に製品版に相当する直径10mの実験機を使ったフィールド実証試験を開始した。並行して2006年2月からは製品版向け試作機の設計にも着手する。

野球のカーブなどの原理を活用
 この風力発電に使われているマグナス効果は,野球でピッチャーがカーブを投げる際にボールが曲がったり,ストレートを投げた際にボールが浮き上がったりする原理である。自転している球や円柱が向かい風を受けると,向かい風と自転方向が一致する側では風の流速が速くなって圧力が小さくなるが,その反対側では流速が遅くなって圧力が大きくなる。この結果,球や円柱は一致する側へ向いた力を受けて,その方向に進むことになる(図1)。
 この原理を風力発電に利用するためには,通常の風車では羽に相当する部分に複数の円柱を放射状に取り付ける。この複数の円柱をモーターなどで同じ方向に回転させながら,向かい風を受けさせると,マグナス効果によって風車が回転する。この回転エネルギーを電力に変換すれば風力発電が可能になる。このような原理は専門家の間では従来から知られており,マグナス効果を利用した風力発電を実現することは原理的には可能であることが分かっていた。しかし,これまでは十分な出力を得ることができず,実用化には至っていなかった。
 メカロ秋田はこの難題に取り組み,マグナス効果を使った風力発電の利点を,実際の試作機でほぼ確認できるところまでこぎ着けた。まず,直径70cm の円柱1本を使った実験から,円柱の最適形状を検討し,単純な円柱ではなく円柱にスパイラル状のフィンを巻き付けた形状にすると出力を大幅に向上できることを見い出した。次に,直径2mの風車を試作し,円柱の周辺部をどのような形状にするかなどの風車設計,円柱を回転させるための機構を風車に組み込むための機械設計,さらに試作機の実際のデータとして発電効率を示す値Cpが0.34と通常の風力発電を上回ることを確認した(図2,図3)。続いて,直径5m機(図4)を開発,これを使って3カ月連続のフィールド試験を実施して分解検査をし,羽に換えて円柱を使っているので耐久性が高いことを証明できるデータも手に入れた。この際には,偶然台風により瞬間最大風速32m/秒という強風でも壊れることなく,発電できることも確認できた。通常の風力発電では,このような強風時には損壊を防ぐために発電を止める必要があるが,今回の方式では円柱の回転数を調節することで稼働させることが可能である。
 現在は,10m機を使って実用化を意識したフィールド実証データの収集を進めている(図5)。実験継続中で詳細なデータは2006年6月ごろにまとまる見込みだが,すでにフィールド実証データから十分な出力が得られるメドが立っている。フィールド結果から(a)機械損失を減らせること,(b)スパイラル円柱の動バランスを改良して回転数を高めること,という2つの改良を実施できるメドが立っており,これらの改良に伴う改善効果をフィールド実証データに反映させると,図6,図7のような出力特性や年間発電量予測が得られることが分かってきた。

図1
マグナス効果について

図2
マグナス風車2m機車載実験

図3
直径2m機車載実験データ
図4
新型マグナス風車

図5
10m機画像

図6
10m機出力特性

図7
正味年間発電量予測

【ニュースリリースはこちら】
  ・次世代風力発電機「スクリューマグナス風車」の本格的な製造・販売へ 10kW小型風車で太陽光を上回る低コストを実現 [2007年02月26日]
  【テクニカルノートはこちら】
    株式会社メカロ秋田からの提案
・スクリューマグナス風車のさらなる高効率化のための意見交換や共同研究の提案 [2007年02月26日]
  【関連記事はこちら】
    ・メカロ秋田がスクリューマグナス風車を製品化 10kWの小型で太陽光より低コストへ [2007年02月26日]

記事要点掲載先:日経BP知財Awareness日経BP.JP

オープンイノベーション・フォーラム

オープンイノベーション静岡

トピックス
【座談会】レアアース泥の採泥・揚泥は戦略技術、焦らず段階を踏んで確実に商用化を目指す

【座談会】安定・潤沢な国産レアアースの利用に、日本の産業界は飛躍の未来を感じている

IoT、大手自動車メーカーが製造ラインに導入約60万円のシステムで不良品の発生を大幅低減

人気記事ランキング(2017年10月-12月)















オープンイノベーションコラム

オープンイノベーション・フォーラム




| 産業イノベーションHOME | 技術&事業インキュベーション・フォーラムHOME |
Copyright (c) 2005-2013 TechnoAssociates, Inc. All rights reserved.

お問い合せ イベントIndex コラムIndex 提案Index ブレークスルー技術Index INTERVIEW Index topへ テクノアソシエーツへ