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変形骨の矯正手術、3Dシミュレーションが可能に
矯正手術支援システム「3D-DCOT」の臨床応用始まる


[2006/03/03]

 骨折や変形性関節症などに対して施される骨矯正手術の支援システムが完成,臨床応用がスタートした。大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学の村瀬剛助手らの研究グループが開発した3次元矯正手術支援システム「3D-DCOT(3D based deformity correction and osteotomy template)」である。骨の矯正手術を3次元的にシミュレーションすることで,正確な矯正手術,治療成績の向上を実現できる可能性が高い。
 骨折が変形したまま治癒する骨折変形治癒や初期の変形性関節症では,変形矯正手術が行われる。これまでの矯正手術は,2次元画像であるX線画像(レントゲン画像)のみを参考に,医師の経験や勘に頼る場合が多かった。そのため,治療成績が安定せず,術後に機能障害が残ることがあった。
 これに対し,「3D-DCOT」は,3次元画像であるコンピュータ断層撮影(CT)画像を基に手術をシミュレーションすることで,矯正手術を支援する。すでに30例の臨床症例に適用しており,「極めて良好な結果を得ている」(村瀬氏)と言う。研究グループでは,まずは骨折や骨疾患などにより変形した四肢(両腕と両足)骨を対象に実証例を増やし,臨床応用を目指していく方針である。

3次元変形軸から正確な手術をシミュレーション
 一般に変形矯正手術は,骨を切断し,正常な位置に移動して固定することで完了する。必要に応じて,人工骨などを移植する。今回,開発した「3D-DCOT」は,このプロセスを3次元的にシミュレーションしていく。
 シミュレーションの中核を担っているのは,3次元変形軸理論に基づいた独自のシミュレーション・アルゴリズムだ。まず,CT画像から変形骨および目標骨(矯正後の骨イメージ)の3次元モデル(図1)を作成し,変形骨の3次元変形軸を求める。この変形軸に基づいて,(1)骨切断面や切断範囲,(2)移動範囲や回転角度,(3)移植骨の最適な大きさや形,などを算出,矯正手術をシミュレーションしていく。「これまで医師の経験に頼る部分が多かったこれらの作業をシステム化することで,治療成績を大きく向上させることができる」(村瀬氏)と言う。
 さらに研究グループでは,骨の切断や移動をシミュレーション通りに再現するために,テンプレート呼ばれる手術部材(図2)の設計・製造方法の実用化にメドをつけた。これは,ラピッド・プロトタイピング(コンピュータ上で短時間に設計物を造形する方法)を用いて,変形骨と目標骨に対する最適なテンプレートを設計・製造する技術。変形骨のテンプレートを用いて骨を切断し,目標骨のテンプレートを用いて正常の位置まで骨を移動することで,シミュレーション通りに手術を再現する。
 なお,今回の「3D-DCOT」は新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO技術開発機構)の支援を受けて開発した。

共同開発パートナーを募集し,完成度,実用性を高める
 今後,研究グループでは,「全国の医療機関と連携して,四肢だけでなく形成外科,口腔外科,脳外科などへ応用展開していくとともに,手術支援システムとしての完成度,実用性を高めていく」(村瀬氏)方針だ。具体的には,(a)シミュレーション・ソフトウェアの完成度向上,(b)手術部材の製造コストの削減,(c)人工骨加工技術の最適化,(d)これらを統合した手術支援システムの開発を進めていく予定で,「各領域の関連企業との連携を図っていきたい」(村瀬氏)としている。そのためにも,研究グループでは共同開発パートナーを募集し,「3D-DCOT」の実用化開発を強化していく考えを示している。
(テクノアソシエーツ 笹木雄剛)


図1:変形骨,目標骨の3次元モデル
図2:テンプレート
変形骨,目標骨の3次元モデル図
テンプレート図


大阪大学大学院 医学系研究科 器官制御外科学からの提案

同大学からのニュースリリースはこちら

【骨変形3D矯正手術支援システムの実用化に向けた共同開発の提案】
詳細は こちら(提案の詳細,3D-DCOTの技術資料,実用化事業形態など)

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記事要点掲載先:日経BP知財Awareness日経BP.JP

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