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光トポグラフィの解析精度を大幅向上
食総研が新空間解析法を開発,臨床応用へ


[2006/03/13]

 脳の機能解析などに用いる光トポグラフィ(fNIRS: functional near-infrared spectroscopy)の測定位置推定精度を大幅に高める手法を食品総合研究所(茨城県つくば市)の研究グループが開発した。同研究グループが開発した「バーチャルレジストレーション法」を使うと,脳の計測位置を10mm以内という高精度で推定することが可能になる。脳の機能解析やてんかん,アルツハイマーといった脳神経系疾患の診断・治療などへの光トポグラフィの応用を促進することが期待できる。すでに研究グループでは,バーチャルレジストレーション法の解析ソフトの開発に成功しており、今後はユーザー・ニーズに応じた改良を加えて光トポグラフィにおける標準ソフトとしてデファクト・スタンダード(事実上の業界標準)化を目指したいとする。

バーチャルレジストレーション法で測定位置推定精度が10mm以内に
 光トポグラフィは,近赤外線照射検出装置(プローブ)を被験者の頭に取り付け,そこから近赤外線を照射,得られた検出光データから脳の活動を画像化する。数千万円で装置の導入が可能で,十数億円といわれる陽電子放出断層撮影(PET),機能的磁気共鳴画像(fMRI),脳磁計(MEG)などの脳機能画像化装置と比べ,導入コストが1ケタ以上低い。頭に装置を取り付けるだけなので患者の負担が小さい(非侵襲,拘束が少ない),近赤外線は太陽光に含まれる程度の赤外線なので人体に無害,といった特徴がある。
 しかし,これまでは,頭の上からの計測なので「脳のどこを計っているかがよく分からない」(檀氏)という問題があり,測定位置の推定には核磁気共鳴撮像法(MRI)などの画像技術を併用する必要があった。すなわち,光トポグラフィ単独で測定位置を検証できる解析手法が確立されておらず,臨床応用に向けたボトルネックとなっていた。
 そこで同研究グループでは,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)産業技術研究助成事業の支援を受け,光トポグラフィの測定位置推定精度を高める解析手法の開発に着手,バーチャルレジストレーション法を確立した。この方法は,「他人の頭と脳を借りてくる」(檀氏)のが特徴であり,被験者が属する母集団(日本人,成人,男性などといったプロフィールで分類)から任意に抽出した脳の核磁気共鳴画像(MRI)を「参照脳」として用いる。この参照脳に得られた検出光データを使い,大まかな位置データを取得,参照脳の数を増やして繰り返すことで,統計的に位置推定精度を高めていく手法である。同研究グループは,この解析ソフトをほぼ完成させており,位置推定精度が10o以内に収まることを確認した。「脳は,脳回と呼ばれる機能単位で構成されているが,この脳回の幅が約10mmである。今回,このレベルの空間分解能を実現したことで,光トポグラフィの最大の課題であった位置精度の問題を解決できるメドが立った」(檀氏)と言う。

共同研究を通じて,臨床応用への最適化を図る
 バーチャルレジストレーション法の解析結果は,fMRIやPETで用いられている標準脳座標系上の座標値として表される。つまり,これまでこれらの装置で得た膨大な脳機能の研究結果を光トポグラフィに活用することが可能になる。
 今後,同研究グループでは,バーチャルレジストレーション法の解析ソフトを光トポグラフィの脳機能解析用プラグイン・ツールとして適用させ,光トポグラフィの普及を目指していく。この実現に向け,研究機関や小児科を中心とした臨床研究者との共同研究を進め,実際のニーズに応じて解析ソフトの改良を進めていく方針である。具体的には,参照脳データを保有している研究者との連携を通じ,バーチャルレジストレーション法の臨床応用へ向けて最適化していく。檀氏は,「MRIは解析処理ソフトウェア『SPM』で普及が促進した。今回のバーチャルレジストレーション法を光トポグラフィにおけるSPMにしていきたい」と意気込む。

図1:光トポグラフィによる解析結果例
解剖学的に色分けされた標準参照脳テンプレートの上に,光トポグラフィ測定点(30チャネル)の空間推定プロファイルを描画。各円の真ん中が推定点の最確値,円の半径が推定精度(誤差)となる。赤い枠が舌を規則的に動かすときに有意な脳活動が計測された位置で(被験者は15名),この場合,口腔運動感覚野と呼ばれる領域の活動が予想される。(*)は,これまでの99例のPET研究から導き出された口腔運動感覚野の推定位置。
光トポグラフィによる解析結果例図


食品総合研究所食品物理機能研究室からの提供資料

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【お問い合わせ】
独立行政法人食品総合研究所
食品物理機能研究室
檀 一平太
TEL:029-838-7357
E-mail:dan@nfri.affrc.go.jp
URL:http://brain.job.affrc.go.jp/



記事要点掲載先:日経BP知財Awareness日経BP.JP

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