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産学連携の実現へ,大学・研究機関による企業ニーズの理解が必須
NEDOのアンケート調査から研究者の課題が明らかに(上)

[2006/03/27]

 産学連携を目指す大学・研究機関の研究者にとって,研究開発段階の課題は「企業のニーズを理解すること」。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO 技術開発機構)が大学,研究機関の若手研究者40名に対して実施したアンケート調査から,このような結果が得られた。同機構は大学,研究機関の若手研究者を対象に産業技術研究助成事業を実施しており,その一環として産学連携を促進するための広報支援活動を展開している。この支援活動のための説明会に参加した40人に対し,2005年11月〜2006年1月にアンケート調査を実施した結果,研究開発の方向性に企業ニーズが反映されていないため,その後の産学連携がうまくできない実態が浮き彫りになった。

大学・研究機関,企業ニーズの理解に努力するも課題あり
図1:企業側のニーズを理解しているか
円グラフ図
2005年11月〜2006年1月にNEDO 技術開発機構が実施したアンケート結果
  このアンケート調査では,企業側のニーズに対する理解度,企業ニーズを理解するために実施している調査手法,産学連携で達成したい事項などを調べた。その結果,産学連携の候補企業との直接面談を軸に企業ニーズを理解しようと努力している一方,実際の企業ニーズの獲得に当たっては乗り越えるべき課題が残されていることが明らかになった。
 企業側のニーズに対する理解度については,産学連携を目指した研究開発を推進する場合,研究開発の初期段階で方向性を決める時点から企業ニーズをある程度は考慮する必要があり,その観点から企業ニーズの把握は必須といえる。さらに,研究者本人がかなり理解していると思っていても,企業側から見ればニーズの理解が不十分という場合が少なくない。このことから,産学連携を目指す研究者は,ほぼ100%が企業ニーズを「かなり理解している」と答えることが望ましい。
 しかし実際には,今回のアンケートで「かなりの理解がある」という答えは15%に留まった(図1)。「一定の理解がある」を合わせても62.5%である。逆に,企業側のニーズを「未調査段階」という答えが37.5%だった。このことから,企業ニーズに対する研究者の理解度が不足していることがうかがえる。このことに関し,NEDO技術開発機構は「研究者側に,企業の技術ニーズを理解するための努力や工夫の余地が残っている」と指摘する。
 企業ニーズを理解するために実施している調査手法については,「企業との意見交換」が55%と最も多く,続いて「公開情報調査」が30%だった(図2)。以下,「外部有識者からのアドバイス獲得」(27.5%),「学内組織からのアドバイス獲得」(17.5%)などが続く。このような調査を試みているものの,「市場関係者の約20%程度にしかコンタクトできていない。地方大学なので,特に都市部の企業との面談機会を得るのに苦労している」(医療系研究者),「色々な調査方法を実施してみたが,直接会って議論してみないと本当のニーズは分からない」(工学系研究者)といった悩みを訴える研究者がいた。
 実際,多くの大学・研究機関は産学連携には至っていない。このことを考慮すると,企業ニーズを理解するための努力はしてはいるが,産学連携にたどり着ける大学・研究機関は,現状では一部に留まっている可能性が高い。

図2:企業との技術ニーズの理解を深めるために実施されている調査手法は(複数回答可)
棒グラフ図1
2005年11月〜2006年1月にNEDO 技術開発機構が実施したアンケート結果

産学連携を通じて達成したい事項は多岐に渡る
 産学連携を通じて達成したい事項については,研究者によって様々な期待を抱いている現状が垣間見えた。「事業化のためには,専門家である企業との連携が不可欠」(工学系研究者),「ラボ(研究室)レベルでの研究成果を,実用レベルに引き上げるためには企業からの情報や設備が必要」(医療系研究者),「応用分野に関する理解度を高めるために,コンタクト先として最初の1社を見付られる否かにかかっていると考えているが,これが非常に難しい」(工学系研究者)など,情報交換による研究成果の洗練化,研究資金の獲得から,事業化の促進,保有技術の第三者評価,研究成果の技術移転,企業の設備・施設の利用まで,多岐に渡っている。
 産学連携のビジネス・モデルについては,77.5%の研究者が「企業との共同研究あるいは委託研究」を希望した(図3)。このような希望を持つ研究者の中には「現在進めている研究開発を産業応用するためには補完技術が必要。この補完技術を企業との共同研究で開発したい」との声があった。また45%の研究者が「意見交換の場の獲得」と答えている。ここでは「意見交換を通じて技術と市場のニーズの感触をつかみたい」(バイオ系研究者)というコメントがあった。
 NEDO技術開発機構は,今回の調査結果を踏まえ,産学連携の促進に向けて,企業との面談機会創出の支援していく計画である。(関連記事
次回に続く

図3:産学連携のビジネス・モデルは(複数回答可)
棒グラフ図2
2005年11月〜2006年1月にNEDO 技術開発機構が実施したアンケート結果

【関連技術記事】
  ・研究成果の応用分野を広げることに意欲的な大学研究者
若手研究者の産学連携への意欲と課題が明らかに[2008年05月16日]



記事要点掲載先:日経BP知財Awareness日経BP.JP

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