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新たな骨医療の実現に向け,「骨質研究会」が発足
学際的な連携を強化し,骨質指標の臨床応用を目指す

[2006/04/25]

 骨粗しょう症などの骨疾患や骨強度を評価・診断する新たな骨質指標の確立に向け,「骨質研究会」が設立された。メンバーには,医学(臨床および基礎医学),歯学,工学など分野の枠を超えて主要な骨質研究者が結集,学際的に骨質研究を進める体制が整った。こうした試みは国際的にもほとんど例がなく,骨医療の前進が期待される。
 メンバーは,画像解析による骨構造評価を専門とする長崎大学医学部・歯学部附属病院放射線部助教授の伊東昌子氏,骨代謝学を専門とする国立長寿医療センター研究所運動器疾患研究部部長の池田恭治氏を中心とし,顕微鏡による細胞・基質解析を専門とする新潟大学超域研究機構教授の網塚憲生氏,結晶工学を専門とする大阪大学大学院工学研究科助教授の中野貴由氏,同教授の馬越佑吉氏,コラーゲンの解析を専門とする東京慈恵会医科大学整形外科助手の斎藤充氏,整形外科医として豊富な臨床経験を持つ慶応義塾大学医学部整形外科助手の金子博徳氏,同教授の戸山芳昭氏が名を連ねている。

臨床データとの相関解析で骨質指標を評価
 現在,骨強度や骨疾患の評価・診断は,主に骨密度(単位面積あたりのアパタイトの量)を指標に行われている。しかし,例えば骨粗しょう症の場合,治療薬の骨折抑制効果を骨密度の変化だけでは十分に説明できないといった問題があった。臨床現場では,積極的な治療介入の遅れによる骨折が問題となっており,骨密度に加えて,新たな骨質指標に対する医師のニーズが高い。
 骨質研究会では,骨疾患の病態や骨強度を正確に反映する骨質指標を確立し,こうした問題の解決を目指す。骨疾患の解明,新たな診断・治療法の開発へとつなげ,現在の骨密度に大きく依存した医療から,新たな骨質指標を組み合わせた医療への転換を促していく考えだ。具体的には,研究開発と啓蒙活動の強化を図っていく方針で,定期的な勉強会や研究成果報告,セミナー開催などを予定している。
 具体的な骨質指標としては,(1)骨微細構造,(2)骨細胞機能と代謝マーカー,(3)骨の細胞と基質成分の形態,(4)コラーゲン成分や元素,(5)コラーゲン架橋パターン,(6)アパタイト/コラーゲン配向性,などを想定している。(1)を伊東氏,(2)を池田氏,(3)を網塚氏,(4)(5)を斎藤氏,(6)を中野氏と馬越氏,が担当する。臨床データ(骨力学機能や疾患の進行状態など)との相関関係を解析し,指標を評価していく。解析に用いるサンプルおよび臨床データを金子氏と戸山氏が提供する。すでに中野氏と馬越氏らの研究チームは,新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)の支援を受けて,アパタイト/コラーゲン配向性と骨力学機能を定量的に関連付けることに成功(関連記事)し,臨床応用を進めている。

同一サンプルの解析で,診断・評価に最適な骨質指標を選別
 今回,骨質研究者のネットワークが構築されることで,研究の加速が期待できる。例えば,これまでは対象疾患は同じでも,それぞれ別々のサンプルで研究が進められていた。そのため,データの比較ができず,指標の正確な評価や疾患の全体像の解明が難しかった。骨質研究会では,各研究者は,金子氏らが採取・提供する同一のサンプルを解析していくため,「各々のデータを比較・精査することが可能。各疾患の診断や骨機能の評価に最も重要な指標を選別できる。病態の解明にもつながる」(伊東氏)と言う。まずは骨粗しょう症を対象に研究を進め,将来的には対象疾患を拡大していく予定だ。
 また,研究者同士の情報交換や連携体制も強化していく。2006年2月4日には,1回目の勉強会を開催し,中野氏,斎藤氏が研究成果を報告した。今後,骨質研究会では同様の勉強会を定期的に開くとともに,臨床医や患者,企業関係者を対象としたセミナーも開催していく予定である。「研究者,臨床医,患者,関連企業を交えて,現在の骨医療の妥当性を議論していきたい」(伊東氏)と抱負を語る。
(テクノアソシエーツ 笹木雄剛)

「骨質」医療のための日本初の医歯工連携による骨質研究会〜「骨量」医療から「骨質」医療へ〜
「骨量」医療から「骨質」医療へ図

「骨質研究会」資料

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記事要点掲載先:日経BP知財Awarenessバイオテクノロジージャパン

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