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金属に樹脂をナノレベルで直接接合するNMT
大成プラスが自動車・家電の応用展開を活発化

[2006/04/28]

 大成プラスが金属とプラスチック樹脂をナノ(分子)レベルで直接接合する「ナノ・モールディング・テクノロジー(NMT)」の応用展開を活発化させ始めた。まず,アルミニウム(Al)合金と樹脂のNMT技術を使って,自動車用のECモジュールを作成した。次に,マグネシウム(Mg)合金と樹脂のNMT技術のユーザー応用実績を示した。これらの取り組みにより,軽量化が進む自動車部品やデジタル家電への応用展開を加速していく計画である。

自動車用のECボックスを試作
NMTは,金属表面を特殊処理してナノスケールの凸凹を付け,これによってプラスチック(硬質)樹脂とナノ(分子)レベルで接合して一体成型する技術である。大成プラスは,この技術によって,「ナノテック2004」の「ナノテク大賞」を受賞した。 この技術の特徴は以下の3つである(図1)。
 図1:NMTによってAl合金にボス(突起状)樹脂を接合

 ・マグネシウムとボス樹脂の接合にも成功した(左)。
 ・NMTによってAl合金にボス(突起状)樹脂を接合した(中央)。
 ・ハンマーで叩いても接合部分は剥離しない(右)。
(1)金属に樹脂をナノ(分子)レベルで直接接合でき,安定した強度を実現できる。
  (Alの場合で,接合強度はせん断は弾力で250〜300kg/cm2,単純引き抜き強度が100〜120kg/cm2
(2)同一の金型内で金属と樹脂の射出一体成型が可能で工程が削減できる。
(3)ナノ(分子)レベルの接合によって高いシール(密封,気密)性能を実現できる。
 今回,大成プラスは自動車メーカー向けにABS(アンチロック・ブレーキ・システム)などに使われるECボックスのコンセプト・サンプルを作成した(図2)。ECボックスとは,運転制御系のコントローラLSIなどの電子部品を水やほこりから守るために密閉容器に納めたモジュール部品である。高級車になると20個以上が取り付けられている。これをNMT技術で作ることで,大幅な軽量化と気密性向上を実現できる。「NMTはAl合金と樹脂をナノレベルで接合させるので,溶接よりもシール性能が格段に高まる。熱にも強いので自動車部品への採用に期待と自信を持っている」(大成プラス代表取締役社長の成富正徳氏)。
 耐熱性を検証する温度衝撃試験では,Al合金とPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂で作った部材を,エンジン・ルームを想定した条件で試験した。具体的には,−55℃で1時間と150℃で1時間というサイクルを3000回繰り返した。これはエンジン・ルーム10年分に匹敵する温度衝撃に相当するが,これによって接合強度にほとんど変化が見られなかったと言う。

図2:ECボックスの既存の製品と,NMTを使って薄型化できたECボックスの試作品
ECボックスの既存の製品と,NMTを使って薄型化できたECボックスの試作品画

既存部品の1/3に挑むマグネシウムの新技術
 ECボックスのサンプル作成に加え,Mg合金のNMT技術の応用例を明らかにした。従来は金属としてAl合金,樹脂としてはPPSやPBT(ポリブチレンテレフタレート)が中心だった。これに対し,Mgは比重がAlの約2/3,鉄(Fe)の1/4と軽い一方,強度はAl合金や鉄鋼より高いため,パソコン(PC)のきょう体といった軽量化と強度の両方が要求されるデジタル家電の分野などで採用が進んでいる。ただし,Mgは硬いため,プレス加工などにおける自由度が限られ,細かいデザイン要求に答えにくい欠点があった。この問題をNMT技術で解決,デザインの自由度を大幅に広げた。大成プラスでは,Mg合金への応用なども足がかりにして,デジタル家電分野にNMT技術の採用を広げていきたいとしている。
 これまでにデジタル家電分野で具体的な採用例としては,2005年6月に発売されたソニー製のデータ・プロジェクタ「VPL-シリーズ」がある。このプロジェクタは厚さ約52mmと薄型であるが,Al合金製のきょう体にNMTが活用されている(図3)。大成プラスが今後,期待しているのが,フラットパネル・ディスプレイへ(FPD)分野である。FPDは,大画面化が急速に進んでいるが,それに伴って製品が重くなりすぎる問題が目立ち始めている。「NMTをPDPなどのきょう体部分に適用することで,強度を落とさずに全体重量を1/3にでき,壁掛けディスプレイの実現可能」(成富氏)と見る。
 このほかにもNMTの特性を生かし,新しい応用展開を提案していきたいと大成プラスは意気込む。例えば,「接合強度を安定的にコントロールできる特性を活用すれば,物が壊れるポイントや方向を正確に設計することが可能になる」(成富氏)とする。具体的には,自動車のバンパーの中にあるクラッシュ・ボックスにNMTを適用し,一定の衝撃が加わった際にクラッシュ・ボックスが一定方向に壊れ,衝撃を逃がすような構造を設計することが考えられる。同社は今後,NMTを軸に,成形物の受託加工や素材・部品の提供,技術のライセンス供与などを通じて事業の拡大を図っていく計画である。

図3:NMTを採用したソニー製のデータ・プロジェクタ「VPL-シリーズ」
NMTを採用したソニー製のデータ・プロジェクタ「VPL-シリーズ」画
大成プラス提供のNMTに関する技術資料

NMTに関する技術資料は大成プラスのホーム・ページからダウンロードできます。
大成プラスのホーム・ページ : http://www.taiseiplas.com/

【NMTに関する問い合わせ先】
大成プラス株式会社 取締役 営業第一本部 部長 板橋 : m.itabashi@taiseiplas.com
三菱商事 中部支社 化学品部 機能化学品・開発チーム 硯田 : kazuhiro.suzurida@mitsubishicorp.com


記事要点掲載先:日経BP知財Awareness

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