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創晶,結晶化とX線構造解析を一括受託する新サービスを開始
理研,JASRIの協力企業としてSPring-8の利用が可能

[2006/06/23]

 バイオ・ベンチャー企業の創晶は,たんぱく質や低分子化合物などの結晶化およびX線構造解析を受託するサービスを開始する。このほど同社は,理化学研究所および高輝度光科学研究センター(JASRI)が新たに実施する「タンパク質結晶メールイン測定サービス事業」の協力企業の1社に指定された。これにより,従来から展開している結晶化受託サービスに加え,X線構造解析を受託する体制が整う。
 理研とJASRIが開始するタンパク質結晶メールイン測定サービス事業は,兵庫県播磨にある大型放射光施設「SPring-8」のビームライン(BL26B2)を利用し,製薬企業や研究機関,大学などの依頼に基づいて,放射光によるX線回折データを有償で提供するサービス。SPring-8を利用したい企業などは,通常,課題募集に応募して採択される必要があるが,このサービスを受けるとこうした手続きが不要になる。そのため,ユーザーは協力企業に宅配便などで試料を送付して解析を依頼すれば,ビームラインに足を運ぶことなしに,約1週間で測定結果を得られる。ビームライン実験操作の習熟も必要なく,利便性や実験効率が向上する。また,SPring-8の安全管理上必要な情報以外は提供を求められないため,情報のブラックボックス化が可能になると言う。
 創晶は,大阪大学助教授の森 勇介氏や高野和文氏らが開発した独自のたんぱく質結晶化技術を基に,2005年7月に設立された(関連記事)。たんぱく質や低分子化合物,共結晶などを対象にした結晶化受託サービスを主要事業としている。同社はこれまで,「候補化合物はもちろん,標的としているたんぱく質の情報も秘匿したい」というニーズに応えるために,結晶化の受託に特化してきた。今回の指定を受け,こうしたニーズに答えながら,結晶化とその次工程であるX線構造解析をパッケージにすることが可能になる。製薬企業をはじめとするユーザーにとっては,情報を公開することなく結晶化からX線構造解析まで一貫してアウトソースできる環境が整う。

結晶作製技術を強みにX線構造解析の受託サービスを展開
 創晶は,(1)従来の成功率を大幅に上回る結晶化技術,(2)レーザーによる結晶加工技術,といった結晶作製技術に大きな強みを持つ。(1)に関しては,たんぱく質の場合,従来は高くても20%台という成功率に対し,60〜70%という高い成功率を達成している。短波パルスのレーザーを照射して強制的に結晶の核を発生,溶液を攪拌(かくはん)することで短期間で結晶を作製する。結晶化に必要な期間は,たんぱく質の場合は平均1〜2カ月,低分子化合物の場合は平均1週間程度と言う。
 得られた結晶を微調整して高品質の結晶に仕上げるのが(2)のレーザー加工技術である。ニコンとの共同開発により開発したもので,多結晶や損傷が発生した結晶から単結晶を切り出す。これまではメスなどによる研究者の手作業が中心で,加工の再現性が低かった。この技術により高品質な結晶を容易に得られると言う。X線回折データの精度も向上する。
 創晶は,こうした結晶化に関する技術優位性を背景に,たんぱく質結晶メールイン測定サービス事業を展開していく考えである。同社代表取締役社長の安達宏昭氏は,「高品質な結晶がなければ創薬に役立つ立体構造情報は得られない。この部分を創晶の技術でカバーし,今回のサービスの“売り”にしていきたい」と意気込む。

結晶化,X線構造解析はアウトソーシングの時代へ
 X線構造解析によって得られる立体構造情報は,医薬品候補化合物のスクリーニングや薬剤設計といった創薬プロセスを促進すると期待されている。実際,英Astex Technology社は,たんぱく質の立体構造情報を活用してリード化合物(医薬品の元となる化合物)の発見と最適化をほぼ同時に進め,創薬期間の短縮に成功している。
 また,国内では文部科学省の「タンパク3000プロジェクト」や日本製薬工業協会加盟会社22社が参画する「蛋白質構造解析コンソーシアム」が,SPring-8などを活用したたんぱく質の立体構造解析を重点的に進めている。阪大の研究者を中心に2002年9月に発足した「創晶プロジェクト」は,2004年12月に蛋白質構造解析コンソーシアムと共同研究契約を交わし,たんぱく質の結晶化を進めている。
 これまでは結晶化がボトルネックとなり,立体構造情報の活用は思うように進んでいなかったが,創晶の登場が一気にブレークスルーをもたらした。さらに今回のサービスにより,X線構造解析まで一貫してアウトソースできる環境が整った。結晶化,X線構造解析はアウトソーシングの時代に入ろうとしている。
(テクノアソシエーツ 笹木雄剛)


【本記事に関する問い合わせ先】
株式会社 創晶
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2−1
大阪大学 先端科学イノベーションセンターA207号
担当:代表取締役社長 安達 宏昭
TEL:06−6877−5659
e-mail:adachi@so-sho.jp


記事要点掲載先:日経BP知財Awareness日経BP.JPバイオテクノロジージャパン

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