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東京工業大学 大学院総合理工学研究科

東京工業大学 大学院総合理工学研究科からの提案
オリビン型燐酸鉄を用いた大型リチウムイオン電池用電極の技術開発に関する
意見交換や共同研究の提案



安全性,高安定動作,コストダウン等,リチウムイオン電池を自動車用バッテリーとして採用する為の技術障壁は高い。この障壁に対するブレークスルーとして,オリビン型燐酸鉄を用いた電極の仕組みが解明された。今後,更に本材料の機構解明を通じた最適化を行い,早期に本材料を用いた実用化,量産化を目指す。先ずは本研究テーマに関する意見交換や,共同研究を,広く自動車メーカー,電力会社,材料メーカーから募る。

●技術ニーズ
 環境保全問題への意識の高まりから,自動車用途を中心に高性能大型蓄電池への期待は,かつてない高まりを見せている。リチウムイオン電池が飛びぬけて高いエネルギー密度を有しているにも関わらず,小型用途に限定されているのは,(1)材料コストが極めて高いこと,(2)安全性が確保できないこと,の2点が大きな要因である。これらを解決可能な新規電極材料の開発が望まれている。

●研究テーマ/技術成果
 研究対象としている電極材料であるオリビン型燐酸鉄は鉄を中心構成元素にしているため,メタル価格ベースでは1/1000以下までのコストダウンが可能である。リンを構成元素に含み酸素と強く共有結合しているため,電極由来の危険因子が全く存在しない。構成元素は全て豊富な資源であり,供給不安の問題もない。さらに現用材料と遜色のない高いエネルギー密度を有している等,大型用途に対して理想的な諸特性を提供するが出力特性に大きな難があるとされてきた。本研究では,本材料の機構解明を通じて最適化を行い,高出力動作に目処をつけた。

●特 徴
 精密構造解析に適した均一試料の合成法を確立し,電池の充放電時の微弱な熱の出入りを検出するための精密測定システムを高性能化した。その結果,これまで詳細な知見のなかった充放電時の相変化を,精密構造解析,高感度熱測定,平衡電位測定の3つの手法により正確に決定することに成功した。LiFePO4の充放電反応は,これまで言われてきたような完全相分離によって進行するのではなく,充放電中にリチウムと電子が固体中に“溶けて動ける”中間状態を自発的に形成していることを突き止めた。このような中間状態ができやすいほど電極活性が向上する傾向もわかった。上記知見を元に最適化を進め,すでに50Cの放電レートにおいて容量利用率50%を実現している。すなわち,約1分の放電でも全容量の半分以上が利用できることになる。

●実用化に向けた課題
 合成には不活性雰囲気が必要でコスト要因となる。・メタルベースでは安価だが実際は2価の高価な原料が必要・カーボン等の導電性物質の複合化が必要で体積エネルギー密度が低下する。・微粒子化により活性を上げるため,体積エネルギー密度が低下傾向になる。・決定的な量産技術が確立されていない。等の技術的課題がある。

●今回の提案内容
 充放電機構に対する影響因子を多角的に検討整理することで,さらなる特性向上を実現する。さらに量産化技術を確立することで,安価,安全かつ高性能な大型リチウム電池実現につながる可能性がある。関連する自動車会社,電力会社,材料メーカに対し,当研究を通じて蓄積された材料合成・評価技術を開示し,量産実用化検討の効率化に資する。さらに,最新の学会情報や独自の体系的知見をベースに意見交換を行い,実効的な開発戦略立案を行う。

●論文/特許実績
 本年5月に英科学誌ネイチャーマテリアルズに掲載されると同時に,11月にメキシコのカンクンで行われた210th Meeting of the Electrochemical Societyから講演招待を受け,大きく取り上げられた。さらに,12月にアメリカのボストンで行われるMaterials Research Society Fall Meeting 2006や,来年度シンガポールで行われるICMAT2007をはじめとする複数の権威ある国際会議からも招待を受けており,世界的に大きな反響を得ている。特許1件出願中。

●備 考
 本成果は,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)産業技術研究助成事業による研究成果です。

【本件に関する問い合わせ先】
東京工業大学 大学院総合理工学研究科   助教授:山田淳夫
TEL&FAX:045-924-5403
e-mail:yamada@echem.titech.ac.jp
URL:http://www.echem.titech.ac.jp/~yamada/index.html

【ニュースリリースはこちら】
  ・大型リチウムイオン電池実現に光明 [2006年12月07日]
【関連記事】
  ・Liイオン2次電池の安全性向上 根本的な解決を図るための新正極材料に注目 [2007年01月10日]


記事要点掲載先:Tech-On!

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