技術&事業インキュベーション・フォーラム

TOPページへニュースへ連携提案へ注目技術&事業コラムへイベント・セミナーお問合せ



[2006/12/13]

ニュースリリース
報道関係者各位
横浜国立大学大学院工学研究院

優れた自己き裂治癒能力と機械的特性を併せ持つ高温用セラミックス材料を開発
─ 高温セラミックばね用材料としての応用に期待 ─


【新規発表事項】
 横浜国立大学工学研究院エネルギー機器材料研究室(横浜市保土ヶ谷区)は,優れた自己き裂治癒能力と機械的特性を併せ持つ高温用ムライトセラミックスの開発に成功しました。ムライトは優れた耐熱性を有するため,高温機器用材料としての使用が期待されていますが,破壊靭性値が低いために,表面に欠陥が存在する場合には,強度が大幅に低下するという問題があります。研究室では,ムライトに炭化ケイ素のウィスカーと微粒子を同時複合することにより,ムライトに優れた自己き裂治癒能力を発現させるとともに,従来のムライトに対して,曲げ強度を2.6倍,破壊靱性値を1.7倍にまで向上させることに成功しました。この優れた自己き裂治癒能力は,加工中に導入されるき裂や使用中に導入されるき裂の治癒を可能とし,加工コストの低下および部材の長寿命化を可能とします。ムライトは窒化ケイ素などの高温構造用セラミックスに対して,ヤング率が2/3程度と変形能力に優れているため,高温用ばね用材料をはじめとする高温機器用材料としての応用が期待されます。本成果は,同大学,高橋宏治助教授,中尾航助手,安藤柱教授らによる研究成果です。

【背 景】
 エネルギー需要の増加,石油価格高騰を背景として,発電効率の向上が求められています。発電効率を上げるためには,作動温度のさらなる高温化が不可欠ですが,そのような高温に耐えられる材料が開発されていません。具体的には,高温型燃料電池やガスタービン等の構成部材の支持用部品等として適用可能な高温用ばねの需要があります。金属製のばねの耐熱限界は600℃程度で,1000℃程度でも長時間の使用に耐えうる耐酸化性と疲労強度特性を有する代替材料によるばねが求められています。セラミックスは破壊靭性値が低く,損傷許容性が低いために,加工後の部品を無欠陥化する必要があるほか,加工コストが極めて高く,使用中にき裂が発生した場合には,信頼性が大幅に低下する恐れがあります。近年,窒化ケイ素製のセラミックばねが開発されていますが,加工コストの低下,高温における耐酸化特性の向上,長寿命化が必要です。

【訴求点】
 研究チームは,各種のセラミックスに炭化ケイ素の微粒子またはウィスカーを複合し,優れた自己き裂治癒能力の発現と機械的性質(特に高温強度,破壊靱性値など)向上を同時に達成する技術を有していました(特許出願済み,論文多数)。この技術を応用し,ムライトに炭化ケイ素のウィスカーと微粒子を同時複合することにより,ムライトに優れた自己き裂治癒能力を発現させるとともに,機械的性質を大幅に向上させることに成功しました。本材料を1300℃,1時間の大気中で熱処理することにより,強度を70%程度も低下させる0.1mmの表面き裂を完全に治癒することが可能です。さらに,治癒した材料は1200℃までの高温下においても,優れた高温強度を有しています。また,本材料は使用環境を想定した1200℃の引張応力下においても,前述のき裂を完全に治癒することができることが明らかになりました。このために,部材の長寿命化が達成できると考えられます。

【今 後】
 今後,研究チームは,今回独自に開発したセラミックスの機械加工材に対する最適き裂治癒条件の決定と治癒材の強度特性の評価を行います。自己き裂治癒を行うことにより,加工コストの大幅な低下が可能であることを示したいと考えています。さらに,本技術の実用化を加速するため,以下の項目に関するより具体的な使用先評価を得るために,ばね成型技術の実績のある企業との共同開発を進める予定です。

・セラミックばねの形状の検討
・セラミックばねの成型方法に対する検討
・高温ばね用材料以外の高温部材としての応用

●備 考
 本成果は,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)産業技術研究助成事業による研究成果です。

●論文
1. Wataru NAKAO, Shuntaro MORI, Jun NAKAMURA, Masahiro YOKOUCHI, Koji TAKAHASHI and Kotoji ANDO, “Self-Crack-Healing Behavior of Mullite/SiC Particle/SiC Whisker Multi-Composites And Potential Use for Ceramic Springs”, Journal of the American Ceramic Society. 89-4 (2006), PP. 1352-1357.
2. 中尾航,中村潤,横内正洋,高橋宏治,安藤柱,き裂治癒したムライト/炭化ケイ素マルチ複合材の静疲労限度,ばね論文集,第51号,2006年


●本研究に関連する受賞
1. 第1回セラミックス国際会議にて特別賞を受賞(2006年6月,トロント)
2. ばね論文集に掲載された上記論文が日本ばね学会技術賞を受賞(2006年11月,京都)


【本件に関する問い合わせ先】
横浜国立大学大学院工学研究院   助教授:高橋宏治
TEL:045-339-4017 FAX:045-339-4024
e-mail:ktaka@ynu.ac.jp URL:http://www.bsk.ynu.ac.jp/~andolab/

【テクニカルノートはこちら】
  横浜国立大学 エネルギー機器材料研究室からの提案
・自己き裂治癒能力を持つ構造用セラミックスの実用化を加速するための共同開発の提案 [2006年12月15日]
  【関連記事】
    ・き裂を自己修復するセラミックス 長寿命と優れた機械的特性を保つばね材としての活用へ [2007年01月24日]


オープンイノベーション・フォーラム

オープンイノベーション静岡

トピックス
パナソニックの住宅関連事業を支える耐酸被覆鋼板、接着技術や樹脂コーティング法に独自ノウハウ

【座談会】レアアース泥の採泥・揚泥は戦略技術、焦らず段階を踏んで確実に商用化を目指す

IoT、大手自動車メーカーが製造ラインに導入約60万円のシステムで不良品の発生を大幅低減

人気記事ランキング(2018年8月)










オープンイノベーションコラム

オープンイノベーション・フォーラム




| 産業イノベーションHOME | 技術&事業インキュベーション・フォーラムHOME |
Copyright (c) 2005-2013 TechnoAssociates, Inc. All rights reserved.

お問い合せ イベントIndex コラムIndex 提案Index ブレークスルー技術Index INTERVIEW Index topへ テクノアソシエーツへ