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横浜国立大学

横浜国立大学 エネルギー機器材料研究室からの提案
自己き裂治癒能力を持つ構造用セラミックスの
実用化を加速するための共同開発の提案



セラミックスには,高温強度は優れているが,脆い材料であるために表面にき裂が存在すると強度が大幅に低下するため,加工コストが高いという問題点がある。 同研究室では,優れた自己き裂治癒能力と機械的性質を併せ持つムライトセラミックスの開発に成功した。本材料の高温用ばねをはじめとする高温機器用材料としての実用化を加速するため,ばね成型技術に実績のある企業や高温機器メーカー,研究機関との意見交換,共同開発を提案する。

●技術ニーズ
 エネルギー需要の増加,石油価格高騰を背景として,発電効率の向上が求められている。発電効率を上げるためには,作動温度のさらなる高温化が不可欠であるが,そのような高温に耐えられる材料が開発されていない。具体的には,高温型燃料電池やガスタービン等の構成部材の支持用部品等として適用可能な高温用ばねの需要がある。金属製のばねの耐熱限界は600℃程度で,1000℃程度でも長時間の使用に耐えうる耐酸化性と疲労強度特性を有する代替材料によるばねが求められている。セラミックスは破壊靭性値が低く,損傷許容性が低いために,加工後の部品を無欠陥化する必要があるほか,加工コストが極めて高く,使用中にき裂が発生した場合には,信頼性が大幅に低下する恐れがある。近年,窒化ケイ素製のセラミックばねが開発されているが,加工コストの低下,高温における耐酸化特性の向上,長寿命化が必要である。

●研究テーマ/技術成果
 ムライトに炭化ケイ素のウィスカーと微粒子を同時複合することにより,ムライトに優れた自己き裂治癒能力を発現させるとともに,従来のムライトに対して,曲げ強度を2.6倍,破壊靱性値を1.7倍にまで向上させることに成功した。この優れた自己き裂治癒能力は,加工中に導入されるき裂や使用中に導入されるき裂の治癒を可能とし,加工コストの低下および部材の長寿命を可能とする。本材料は,高温用ばね用材料をはじめとする高温機器用材料としての応用が期待される。

●特 徴
1. 従来のムライトに対して,曲げ強度を2.6倍,破壊靱性値を1.7倍にまで向上した。
2. 本材料のヤング率は,窒化ケイ素などの高温構造用セラミックスのヤング率に対して,2/3程度と変形能力に優れている。
3. 本材料を1300℃,1時間の大気中で熱処理することにより,強度を70%程度も低下させる0.1mmの表面き裂を完全に治癒することが可能である。
4. 治癒した材料は1200℃までの高温化において,優れた高温強度を有している。
5. 本材料は,使用環境を想定した高温の応力下において,き裂を自己治癒する能力を持つ。したがって,部材の長寿命化が可能である。


●実用化に向けた課題
1. セラミックばねの形状の検討
2. セラミックばねの成型方法に対する検討
3. 高温ばね用材料以外の高温部材としての応用


●今回の提案内容
 本技術の実用化を加速するため,ばね成型技術の実績のある企業との共同開発を進める予定です。さらには,本材料の高温機器用材料としての実用化を進めるため,ばね成型技術に実績のある企業や高温機器メーカー,研究機関との意見交換,共同開発を提案する。

●論文/特許実績
1. Wataru NAKAO,Shuntaro MORI,Jun NAKAMURA,Masahiro YOKOUCHI,Koji TAKAHASHI and Kotoji ANDO,“Self-Crack-Healing Behavior of Mullite/SiC Particle/SiC Whisker Multi-Composites And Potential Use for Ceramic Springs”,Journal of the American Ceramic Society. 89-4 (2006),PP. 1352-1357.
2. 中尾航,中村潤,横内正洋,高橋宏治,安藤柱,き裂治癒したムライト/炭化ケイ素マルチ複合材の静疲労限度,ばね論文集,第51号,2006年


●備 考
 本成果は,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)産業技術研究助成事業による研究成果です。

【本件に関する問い合わせ先】
横浜国立大学大学院工学研究院   助教授:高橋宏治
TEL:045-339-4017 FAX:045-339-4024
e-mail:ktaka@ynu.ac.jp URL:http://www.bsk.ynu.ac.jp/~andolab/

【ニュースリリースはこちら】
  ・優れた自己き裂治癒能力と機械的特性を併せ持つ高温用セラミックス材料を開発 高温セラミックばね用材料としての応用に期待 [2006年12月15日]
  【関連記事】
    ・き裂を自己修復するセラミックス 長寿命と優れた機械的特性を保つばね材としての活用へ [2007年01月24日]



記事要点掲載先:Tech-On!

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