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産業技術総合研究所 環境化学技術研究部門

産業技術総合研究所からの提案
「リンの高分子骨格への直接導入による有機材料の耐燃化」の
実用化共同研究開発の提案



リン系難燃剤が環境対応型難燃材料の一つとして注目されているが,現行の技術では,製品の機械的強度の低下や耐水性さらにリークなどの諸問題がある。我々は,リンを化学結合で高分子骨格に直接導入すること新技術を開発し,これにより,僅かなリンを導入することにより,材料の本来の性能を損なうことなく,ほぼ半永久的に耐燃性を持たせることを実現した。RoHS指令や,環境ホルモン等プラスチックを採用する企業・業界にとっての課題を解決しうる本新技術の実用化に向けて,プラスチック製品を開発,製造する企業との共同開発を提案すると共に,様々な用途が考えられる本技術に付いて,興味の有る企業と広く意見交換を募集する。

●技術ニーズ
 高分子・プラスチックの製品化過程において,耐燃化(難燃化)が必須である。現在は,難燃剤を高分子に混ぜるなどをして,製品の耐燃性を高めている。この目的に使われる難燃剤は,世界では108万トン/年(日本では15万6000トン/年)にも上っている。これまで,ハロゲン系難燃剤は古くから使用されてきたが,製品の廃棄処理からダイオキシンが発生するため,現在はこれらの化合物使用は,制限又は禁止されている(PoHS指令(Restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment))。このPoHS指令の世界的な広まりの影響を受けて,難燃剤のノンハロ化が世界の流れとなっている。ノンハロ環境対応型難燃材料の開発競争が各国間でしのぎを削って行われている。
 リン系難燃剤は,環境対応型難燃材料の一つとして注目されている。現在,各種リン酸エステル,含リンポリオールなどがこの目的に多く用いられている。しかし,これらのリン系難燃剤は,(1)液状タイプのものが多いため製品の機械的強度,耐衝撃性を低下させてしまう。また,(2)容易に加水分解するため,製品の耐水性に問題がある。特に絶縁性が求められる電気,電子材料には使用できない。さらに,(3)低分子のリン化合物を高分子類に練り合わせて使うため,これらリン化合物が徐々に放出し,環境ホルモン汚染公害を引き起こすことが懸念される。

●研究テーマ/技術成果
 リンを化学結合で高分子骨格に直接導入すること技術を開発し,これにより,ごく僅かなリンを導入することにより,プラスチックや高分子の本来の性能を損なうことなく,ほぼ半永久的に耐燃性を持たせることが実現した。また,リンが安定な結合により導入されるため,これまでリン系難燃剤が抱える諸問題点,例えば,加水分解や環境への放出などが克服される。産業界から要望の強い新規なノンハロ環境対応型難燃技術の確立に成功した。

●特 徴
1. リンを化学結合で高分子骨格に導入する新技術
2. 少量の添加で高耐燃性実現
3. 半永久的に材料に耐燃性を付与し,しかも材料の本来の性能を損なわない。
4. 難燃剤のリーク,難燃性劣化などの問題を克服
5. 比較的安価に行うことが可能


●実用化に向けた課題
1. 研究室レベルでの製造実証は完了したが,実証が必要
2. 製造した耐燃性材料を実際のデバイスに用いる時の実証実験


●今回の提案内容
 上記開発した技術の実用化,その改良,或いはこの技術を利用した他分野への応用などに関する共同研究,共同開発のパートナーを募集する。

●論文/特許実績
Journal of Polymer Science Part A Polymer Chemistry, 2005; 43: 5328.
Tetrahedron Lett., 2006; 47: 421.
J. Am. Chem. Soc., 2006; 128: 7422.
出願中特許:12本

●備 考
 本成果は,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)産業技術研究助成事業による研究成果です。

●研究者の略歴
昭和63年 大阪大学工学部応用精密化学科 卒業
平成5年 大阪大学工学部応用精密化学専攻後期課程 修了(工学博士)
平成9年 物質工学工業技術研究所(現産総研)に入所,主任研究官
平成13年〜現在 独立行政法人化に伴い,「産業技術総合研究所」と改称。企画本部企画主幹(H16),主任研究員。
その間 平成14年〜平成15年 科学技術振興事業団 若手研究者海外派遣事業により米国留学(University of California at Berkeley)
【受 賞】
平成12年 日本化学会 進歩賞
平成11年 物質工学工業技術研究所 所長賞
研究業績:学術論文45本,特許出願85報
世界に先駆けて触媒手法によるリン類の合成法を見出し,内外によりきわめて高く評価され,現在同分野をリードしている。
  (1) 新聞(化学工業日報(2000.4.19);米国化学会C&E News (2000.9.4)報道
  (2) 日本化学会「化学と工業」化学のフロンティア’99に入選(1999)
  (3) 英国王立化学会 Chem. Commun. のカバーページを飾る。 (1999)
  (4) 日本化学会より表彰(2000年進歩賞)
  (5) 触媒・合成化学のトピックスとしてコンスタントに紹介される。
    【例】化学, 1997,52,66;触媒,1999, 41, 199; 1999, 41, 142; 化学と工業, 2001, 54, 187; Chem. Rev. 2000, 100, 3205; 2000, 100, 3221; 2004, 104, 3079; Curr. Org. Synthsis, 2004, 1, 355.

【本件に関する問い合わせ先】
産業技術総合研究所 環境化学技術研究部門   主任研究員:韓 立彪
TEL:029-861−4855 FAX:029-861−4511
e-mail:libiao-han@aist.go.jp URL:http://www.aist.go.jp/

【ニュースリリースはこちら】
  ・プラスチックの難燃化 新技術を開発 [2006年12月18日]
【関連記事】
  ・リン系難燃剤の新合成法を開発 環境問題に対応する新プラスチック難燃化技術 [2007年01月11日]



記事要点掲載先:Tech-On!

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