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ハイブリッド車が牽引する大電流回路向けプリント配線基板の進化
品質と使い勝手を損なうことなく従来比50%に軽量化

[2007/02/05]

 ハイブリッド車の電源回路での使用を想定して,富士ネームプレートが重量を従来比で半分にできる大電流回路向けプリント配線基板技術を開発した。スルーホールを備える通常の両面基板の構造を変更することなく,配線を形成する導体層をCuからAlに変更することによって軽量化を図った技術である。開発した技術の名称は「アルパワー」。独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO 技術開発機構)の研究開発型ベンチャー・中小企業支援を対象にする産業技術実用化開発助成事業による開発支援の研究成果を利用して開発している。
 現在,自動車業界が強力に推し進めるハイブリッド車や電気自動車などの開発が,インバータを始めとするデバイスやプリント配線基板などハイパワー関連の電子部品の進化を促進している。安全性の確保が人命に直結する自動車に向けた電子部品は,他の機械や機器と比較しても非常に高い水準の品質と信頼性が要求される。自動車業界で利用できる部品は,こと品質や信頼性の面では他の応用にも展開できる水準を超えているといえる。

重量の9割を占める導体層の材料をCuからAlに変更
 ハイブリッド車の電源に使われるインバータ回路に向けた基板の場合,配線の抵抗を下げるため通常の電子機器向け基板と比較すると非常に厚い導体層を形成する。その結果,導体層の重量が大きくなる。ハイブリッド車のインバータ回路の場合,重量の約9割がCu配線の導体層が占めている。燃費の向上などに向けて,自動車を構成する部品の軽量化をグラム単位で推し進める自動車メーカーにとって,この部分の軽量化は無視できない。
アルパワーの導体層に用いるAlの比重は2.7であり,Cuの8.9と比較して約1/3である。しかし比抵抗はAlの2.7×10-6Ω/cmに対し,Cuの1.7×10-6Ω/cmと約1.6倍になってしまう。比重と比抵抗の双方を考慮すると,同じ抵抗値の配線を形成したときの導体層の重量は,AlがCuの約半分になる。
 導体層の材料を変えることによって,設計や実装の容易性が損なわれては応用分野が狭くなる。アルパワーでは,Al配線にCu皮膜を被せることによって,Cu配線の通常基板上への搭載を想定したデバイスも,特殊な端子に変更することなくハンダ付けできるように工夫して使い勝手を維持している。通常,Al上にCuをメッキすることは,非常に困難である。富士ネームプレートは,オートバイのマフラーなどの製造に利用されていた,Alに特殊な表面処理を施し,複数工程を経てメッキを可能にする技術を応用してCu皮膜を形成している。この工程によって製造する場合でもコスト面ではCuの導体層をもつ基板と同等にできる。

高温での信頼性を確保
 ハイブリッド車の電源回路においては,配線抵抗の低減のほか,回路を流れる電流量を抑えて損失の少ない回路を作るために,従来12Vだった電源電圧を高圧化する試みが進んでいる。しかし,これらの放熱しにくくするための手法を駆使しても,実際にはプリント配線基板で100℃以上,デバイスでは150℃まで高温になる。このため,プリント配線基板には熱の放散性を高めるための工夫が必要になる。Cuの導体層をもつ形状の基板の場合,プリント配線基板に熱を放散させるためのAl板を張り合わせた構造の基板が使われる。しかし,この構造ではAl板とプリント配線基板の熱意膨張係数の違いによって,剥離が起こる可能性があった。これに対しアルパワーでは,断面が対称の構造を採っているため,高熱の環境下でも剥離する可能性が少ない。
 現在開発中のアルパワーのAl導体層厚は100μm〜500μm,基板厚は1.6mm〜3.2mmである。最小線幅は導体の厚さの4倍以上である。最小スルーホール径は0.5mm。富士ネームプレートは,導体層を500μmまで厚くできると,ハイブリッド車向けの仕様としては十分に余裕があるとみている。同社は自動車の用途のほかに,様々な機器の電源基板やLED基板などに応用が広がるのではないかとみている。
 設計ツールは通常のプリント配線基板向けのCADをそのまま利用できる。ただし実装機には,アルパワー向けに仕様をカスタマイズしたものが必要になる。この点については,富士ネームプレートは,「実装機を作成できる会社を通じて,実装機のカスタマイズにも対応する」としている。また,実装機を開発・製造する企業にアルパワーの仕様や特性を開示して,対応機の開発を支援する用意もあるという。


【ニュースリリースはこちら】
  ・大電流高放熱軽量プリント配線板の開発に成功 アルミニウムを主導体とした次世代プリント配線板 [2007年01月30日]
【テクニカルノートはこちら】
  富士ネームプレート株式会社からの提案
・具体的なアプリケーションを想定したプリント配線板の開発 [2007年01月30日]


記事要点掲載先:日経BP.netTech-On!


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